MY TIME〜私の時間術〜 Vol.24 いちばん好きな時間は、子どもとあそんでいる時間――てぃ先生(保育士/顧問保育士)

時間は誰にでも平等。だからこそ1日24時間、その限られた時間をどう使うかが「人生を楽しむ」ための鍵となります。様々な業界で活躍する人物から「時間術」を聞く本連載。第24回は保育士として働きながら、他園のアドバイザーや講演などでも活躍中の、てぃ先生にお話を聞きました。

Photos:高橋敬大 Text:赤坂匡介

 

「現役の保育士」だからこそ、発信できる言葉がある

てぃ先生は現役の保育士。園でのかわいらしい子どもたちの日常をTwitterでつぶやいたところ、それが話題となり、瞬く間にフォロワーが増加。現在では、“顧問保育士”として、他園のアドバイザーや講演、執筆など幅広い分野で活躍しています。
そんな、てぃ先生に、日々どんな時間の使い方をしているのか聞いてみると、そこには「どんなときも子どもと全力であそぶ」という、てぃ先生流の時間術がありました。

 

――現役保育士として働きながら、講演や執筆などさまざまな仕事をされています。大変ではないですか?

大変ですが、苦ではありません。自分の気持ちとしては、どちらも100パーセントで臨ませてもらっているつもりです。保育士の仕事は自分の原点であり、「現役の保育士」だからこそ、発信できる言葉があると思っています。
昨年は私をモデルにした漫画がアニメ化されたんですが、これも少し前なら信じられないようなことです。環境の変化に驚きつつも、個人的には「保育士の可能性」を追求したい気持ちがあるので、いまは日々、充実感に包まれています。

 

 

――お忙しい毎日の中で、日課にしていることはありますか?

「子育て」関連のニュースは、日々チェックするようにしています。ただ、ニュースになるようなものは暗い話題が多いですよね。もっと「子育ては楽しいもの」というニュースがないと、若い世代は出産に対して不安になってしまう気がして、それが心配です。だから声を大にして、私は言いたいんです。「子育ては大変なこともあるけれど、根本、とっても楽しいものですよ」と。

 

――ちなみに、好きな時間は何をしているときですか?

「子どもとあそんでいる時間」です。これ、取材だから格好つけて言っているわけじゃないですからね(笑)。本当に心からそう思っています。心掛けているのは、「どんなときでも、全力であそぶこと」です。私も楽しんでないと、子どもにもそれは絶対に伝わりますから。
ただ「あそぶ」と言っても、保育士は常に狙いを持って、子どもたちとあそんでいるんです。たとえば、かけっこをするのは脚力の強化を狙ってのものです。つまり子どもは、あそびながら成長しているんです。

 

――保育士は子どもだけでなく、親御さんとも向き合いますよね?

はい。親御さんへのケアも保育士の重要な仕事のひとつです。それは、お客様だから、ということではなく、「育児は楽しいと同時に大変でもある」からです。親御さんは送迎なども含め、物理的にも精神的にも負担を抱えているものです。なのに世間は、そこになかなか目を向けてくれません。もっと社会全体が育児の大変さを理解し、サポートすることだ大切だと感じています。

 

――てぃ先生の思う、子育てを楽しむコツとは?

「子どもに期待し過ぎないこと」です。子どもは基本、とても自由です。「靴を履いて」と頼んでも、平気で「嫌だ!」と断りますから(笑)。でも、それが子どもらしさでもあるんです。
だから「思い通りに行かなくて当然」と余裕を持つことが大切です。できないことが多くて当たり前じゃないですか。成長の途中なんですから。

 

愛用しているのは、ジョブスも愛したSEIKO「シャリオ」の復刻版

――今日お持ちいただいた時計は、SEIKO「シャリオ」の復刻版です。スティーブ・ジョブスが愛用していたことでも知られるモデルですね。

はい。スティーブ・ジョブスは時間の使い方がストイックで、憧れの人でもあります。彼は洋服選びの時間を短縮するために、同じ服をいくつも持っていたことで有名ですが、私もそれを真似しています。
今日着ている服も同じものを5着持っています。選ぶ時間がなくなると、気分的にもとっても楽ですね。

SEIKOの「シャリオ」は、非常にシンプルなデザインをしているところが気に入っています。どんな服装にも合いますし、サイズ感もちょうどいいので、仕事中も邪魔になりません。何より時間が見やすいんです。ぱっと見て時間がわかる。この使いやすさは、非常にありがたいですね。
ジョブス好きの私は、ニュースで復刻モデルが販売されると知った瞬間から、「絶対にほしい」と思っていました。だから手に入れられたときは、本当にうれしかったです。これからもずっと、大切にし続けたいと思っています。

――最後に、てぃ先生の夢を教えてください。

現在「保育士」で検索すると、ネガティブなワードがずらりと並ぶんです。それを変えたいです。まずは、子どもたちが憧れる職業になりたいと思っています。そのために“顧問保育士”という新たな肩書きを作り、保育園のアドバイザーなどを手掛けるようになりました。そうすれば、「保育士になれば、いろんなことができる」と感じてくれる人もいるでしょうし、働く上でのモチベーションにもなると思うんです。

子どもたちもやがて大人になります。その未来まで見据え、子どもたちの自主性を育てる「未来志向の保育」というのを掲げているのですが、その普及、実現をするのがいちばんの夢です。また形はどうであれ、関わった子どもたちには幸せになってほしい。それがもうひとつの夢であり、願いです。

 

てぃ先生
保育士/顧問保育士

1987年生まれ。都内の保育園に保育士として勤務する傍ら、Twitter(@_HappyBoy)でのつぶやきが好評を博し、フォロワー数は現在、44万人を突破。また、「顧問保育士」の肩書きで保育園のコンサルティング、アドバイザー、講演なども行なっている。2018年4月にオープンした「なごころ保育園」では監修を担当。著書に『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』、『ハンバーガグー!』(KKベストセラーズ)。漫画『てぃ先生』(KADOKAWA/メディアファクトリー)は2017年にアニメ化もされた。