“B”列車で行こう!目的地のジュネーブでブランド初のコンプリケーションとご対面!【ブライトリング取材レポート】<2日目>
創業140周年を記念し、1年を通じてさまざまなアニバーサリーキャンペーンを展開してきたブライトリング。その大きな区切りとなるのが、2020年から5回目の開催となる「ジュネーブ・ウォッチ・デイズ」での新作発表だ。筆者は、その開催前日となる8月28日にチューリッヒで行われたポップアップミュージアムの取材を完遂。翌日、取材2日目のプログラム参加に向け、ジュネーブ行きのブライトリング特別車両に乗り込んだ。
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チューリッヒ駅に出現した“ブライトリング特別車両”でいざジュネーブへ!
ジュネーブ・ウォッチ・デイズの初日となる8月29日は、午前中からジュネーブへ移動すべくチューリッヒ駅へと向かう。事前にブライトリングから受けとったチケットに「9:43発」とあったため、確認すべく駅の電光掲示板を見上げる。と、わかりやすく「BREITLING – 140 YEARS OF FIRST to Genève. Enjoy your journey」の表示があった。駅を行き交う人は何事かと思ったことだろう。案内に従って10番ホームへと向かい、ブライトリングのコスチュームを纏った女性にチケットを見せて車両に乗り込んだ。当たり前だが車内はブライトリング関係者のみで、昨日に話を聞いたジェンティル氏や著名なブライトリングコレクターのフレッド・マンデルバウム氏らの姿もあった。車窓越しに風光明媚なスイスの自然や街並みを眺めながら約3時間。終着となるジュネーブ市のメインターミナルであるコルナヴァン駅に到着した。
ジュネーブは10年以上も毎年のように取材で訪れている都市だが、8月末に訪れることはほぼないため新鮮な印象。平日にも関わらず多くの人が街を往来していたのは、夏休みの時期だったからだと後で知った。新作発表のプレスカンファレンスまで時間があったため、ジュネーブにあるブライトリングブティックを日本からの取材チーム全員で訪問する。ここではヘリテージピースの展示会「THE TIME CAPSULE」が行われており、昨日に続き新旧のタイムピースを通じてブライトリングの歴史を体感することができた。ちなみにジュネーブにあるこのブティックは飲食店「ブライトリング キッチン」を併設している。昼下がりの時間帯ながら盛況だった。そしていよいよ新作発表の時間。ブティック近くにある「フォーシーズンズホテル」内の会場へと向かう。
披露されたのはブライトリング初の「パーペチュアルカレンダー」搭載クロノグラフ
記者会見場の席に着くと、壇上には再びジョージ・カーンCEOが登場。オープンしたばかりのTHEN & NOWミュージアムほか140周年というアニバーサリーイヤーにおける様々なトピックスのために忙しく過ごしていることや、これから披露する新作へと辿り着くまでのエピソードが語られる。そしてプログラムは、お馴染みの動画プレゼンテーション「ブライトリング・サミット・ウェブキャスト」による新作発表へと移る。動画は以下より(日本語訳あり)。
今回披露された新作は、ブライトリング初となるパーペチュアルカレンダー クロノグラフ キャリバーB19を搭載した3つのモデル。「プレミエ」「ナビタイマー」「クロノマット」のコレクションから発表された3部作は、それぞれ18Kレッドゴールドのケースをまとい、140本限定で製造されるという。また、それぞれが特製ボックスに収められるほか、140周年を記念して製作されたブランドブック「140 YERAS IN 140 STORIES」の特別表紙版も付くことなどが明かされた。そして別室にていよいよ3部作と対面の瞬間が訪れる。コレクションの誕生年から順に取り上げていこう。
約1世紀の正確なカレンダー表示を可能にするコンプリケーション3部作
創業一族の3代目、ウィリー・ブライトリングの「コックピットから社交場へ」という発案から1943年に登場したプレミエの現行世代にキャリバーB19を搭載した「プレミエ B19 ダトラ 42 140周年アニバーサリー」は、艶やかなブラックラッカーのダイアルが目を惹く。外周にはクロノグラフ秒目盛りの入ったレッドゴールドのリングをセット。さらにその外縁を一段高い位置で取り囲むのは、タキメータースケールが記されたマットブラックのリングだ。コレクションの特徴であるアラビア数字インデックスのほか、顔を描いたムーンフェイズディスクの月、ボックス型サファイアガラスとプレーンベゼルの組み合わせなど、現代ブライトリングらしいモダンレトロな雰囲気に仕上がっている。
「ナビタイマー B19 クロノグラフ 43 パーペチュアルカレンダー 140周年アニバーサリー」は、サンレイフィニッシュが施された18Kレッドゴールドのダイアルにブラックの回転計算尺を組み合わせた一本。ナビタイマーは、航空機オーナー協会(AOPA)向けに1952年に開発された時計でありながら、そのスタイリッシュなデザインにより著名なアスリートやミュージシャンも愛用。1962年には宇宙を飛んだ初のスイス製クロノグラフとしても知られる、永久不変のアビエーションウオッチである。その歴史的な意匠を残しながら、永久カレンダーとムーンフェイズのディスプレイを立体的に加えることで高級感がありながら計器としての魅力も増した印象を受けた。計算尺を含む様々な情報が整然と並んだ文字盤からは、デザイナーの優れた手腕がうかがえる。
1983年の誕生以来、ブライトリングの歩んできた時代が色濃く反映されてきた「クロノマット」のキャリバーB19搭載機は、直径44mmの大型モデルをベースにした「スーパークロノマット B19 44 パーペチュアルカレンダー 140周年アニバーサリー」。このタイムピースで特筆すべきは、なんといってもスケルトンダイアルだ。文字盤側から複雑な永久カレンダーのメカニズムが垣間見られる特別デザインは、時計ファンなら心が踊らずにはいられないだろう。また、このブランド初となる仕様を採用してもなおひと目で「クロノマット」とわかる存在感は、セラミックベゼルの15分おきに配置された突起型ライダータブや「オニオン」型リューズ、伝統的なルーローブレスレットをモチーフにしたラバー・ストラップなどのディテールが、いかに強い個性を持って設計されているかを再認識することにもなった。
そして改めて、これら3つのモデルに共通して搭載されるキャリバーB19である。すぐ目に飛び込んでくる18Kレッドゴールドの自動巻き上げローターには、ブライトリングが現代クロノグラフの基盤となるメカニズムを生み出したモンブリランのファクトリーをエングレービング。あまりの緻密さに自動レーザー加工かと考えたが、聞けばこれにも職人技が介在しているとのこと。メカニズムに目を向ければ、2009年に開発されたブライトリング初のマニュファクチュールキャリバー01をベースに用いているものの、石数は47石から39石へと減少。その一方で、パワーリザーブが約70時間から約96時間にまで延長されている。キャリバーB19は12時間計を持たないが、それに代わる形で6時側のカウンターには月と閏年の同軸表示があり、さらに12時側にはムーンフェイズの表示も加わっているのだ。28、29、30、31の月ごとの日にちの終わりを自動判別して約1世紀にわたり正確なカレンダー表示を行う複雑機構を組み込み、ロングドライブ化まで達成したブライトリングの新たな合理設計には、舌を巻くばかりである。
重要な節目を記録するブランドブック「140 YEARS IN 140 STORIES」
こうして3部作をひと通り吟味し終えて会場をあとにした筆者は、しばしの休憩を挟んで夜に開催されるブランドブック「140 YEARS IN 140 STORIES」の完成披露イベントにも参加。ここでもジョージ・カーンCEOの挨拶があり、続いて本を出版したリツォーリ社の担当がキュレーターとなってのトークイベントが始まる。登壇者は、書籍の編集者であるNATASHA MEKHAIL氏や歴史家のFRED MANDELBAUM氏、ウィリー・ブライトリングの息子GREGORY BREITLING氏。随所で書籍の中に綴られている140のエピソードの中から、逸話にゆかりのある人物(宇宙飛行士スコット・カーペンターの娘KRIS STOEVER氏や、戦闘機ウォーホークのパイロットTAYLOR STEVENSON氏ら)による朗読も行われるなど、バラエティに富むプログラムだった。
今回の2日間で、“140 Years of Firsts”と銘打って2024年に始まった数々のアニバーサリーキャンペーンは、ひとつの集大成を迎えたように筆者は思う。そのタイミングをジュネーブ・ウォッチ・デイズに合わせてきたのは、この世界的な時計ショーの発展をまるで予見していたかのようで、改めてジョージ・カーンCEOの先見の明の鋭さに感服した次第である。
ブライトリングの成し遂げてきた偉業について思うこと
ギフトで受け取った「140 YEARS IN 140 STORIES」のページをめくりながら、ブライトリング一族が心血を注いだクロノグラフの開発だけに留まらない偉業の数々と、その背景にいた人の多さに想いを馳せる。たとえば、現代における腕時計は時間を知るために必須のツールからある種の芸術品へと価値を変えたものも数多くあるが、その潮流をブライトリングは1940年代の「プレミエ」ですでに実践していたのである。1970年代に起こったクオーツ危機に対しては、スイスに伝わる機械式時計製造の技術をもって乗り越え、スイス時計界の復興に貢献。さらに1999年の「100%クロノメーター宣言」を実現したことは、近代時計史に残る重要な偉業といえよう。そして2009年には自社製クロノグラフキャリバー01を完成させ、それをベースにスプリットセコンドクロノグラフや、今回のパーペチュアルカレンダーまでも自社開発するに至ったのである。では、いったい何がブライトリングの旺盛なウオッチメイキングを支えているのか。その実態を知るべく、取材3日目はラ・ショー・ド・フォンにある製造拠点「クロノメトリー」へと向かう。
140周年記念ブック「140 YEARS IN 140 STORIES」を5名様にプレゼント!記事内に登場したブライトリング創業140周年記念本「140 YEARS IN 140 STORIES」は、創業からキャリバーB19まで、ブライトリングにまつわる140のエピソードを収録。このファン必携の一冊の日本語版を、5名の読者にプレゼントします! 以下の応募フォームより、ぜひご応募ください!!(応募締切:2024年11月15日23:59回答分まで) |
問い合わせ先:ブライトリング・ジャパン TEL.0120-105-707 https://www.breitling.com/jp-ja/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/Daisuke Suito (WATCHNAVI)