ロンジンのエレガンスをもっとも深く知るCEOウォルター・フォン・カネル氏に聞くブランドの展望

様々なコレクションを展開し、世界各国の多くの人々に愛され続ける名門ウオッチブランドのロンジン。その中興の祖というべきウォルター・フォン・カネル氏が来日した。その目的は、ロンジンがパートナーを務める日本競馬界の祭典ジャパンカップである。齢80に迫ってなお精力的な活動をこなす同氏に貴重な時間をいただき、編集部はインタビューを行った。

 

ロンジンと乗馬競技の深い関係性

今回のカネル氏の来日の目的は、日本を代表するG1レースのひとつ「ジャパンカップ」。この映えある大会に、ロンジンは2014年からオフィシャルパートナー兼タイムキーパーを務めている。その真意について、改めて話を伺った。

「ロンジンには19世紀から乗馬競技の計時を行ってきた歴史があり、私たちが最初にサポートしたスポーツだといっても過言ではないでしょう。加えて、1880年ごろには私たちのクロノグラフがアメリカの競技で使われた事実も残っており、ブランドが発展するために欠かせないことだったことがわかっています。創業当初からの取り組みをいまも継続しているわけですが、そのパートナーシップはいまや世界各国へと広がっています」(ロンジンCEO/ウォルター・フォン・カネル氏)

今回のジャパンカップのオフィシャルウオッチ「ロンジン マスターコレクション」Ref.L2.919.4.78.3 31万7900円/自動巻き(Cal.899)。64時間パワーリザーブ。毎時2万5200振動。ステンレススチールケース(シースルーバック)。直径42mm。3気圧防水

 

ロンジンは様々なスポーツと関わりが深く、日本に関して言えば体操の内村航平選手も同社のアンバサダーとなっている。そのなかでも乗馬競技については、やはり特別のようだ。

「馬という動物に対するリスペクトを持つ紳士淑女が集まり、競い合った後は互いを称え合う競技場は、その環境そのものがロンジンのエレガンスを体現していると思っています。とくにJRAの姿勢は目を見張るものがありますね。馬やジョッキーへの理解がとても深い。その彼らの活躍をサポートするのが、日本のオーディエンス。レースのスタートからゴールまで盛り上がり続ける姿は、個人的には日本だけで見られる光景だと思っています。これからもJRAとロンジンが良好な関係を続けられることを、私自身、願ってやみません」

ジャパンカップ
ロイヤル アスコット
ロンジン ディアヌ賞

「2020年もバーゼルワールドには出ませんよ」

さて、継続的なブランドの取り組みという点では、2019年から出展を取り止めたバーゼルワールドに端を発する新作発表の今後の在り方が気になるところ。思い切ってCEOに直撃した。

「次もバーゼルワールドには出ませんよ。重要な発表があるときにはそれに相応しいタイミングで、しかるべき人々にお伝えしていきます。2019年の新作発表も問題はなかったと思いますが、どうでしたか?(笑)」

ロンジンは、時計ブランドとしてロレックス、オメガに次ぐ規模を誇る。だからこそ、年間を通じて適材・適時・適所でのアピールが必要なのだろう。日本とヨーロッパでは注力する商品は当然、異なってくる。それでもロンジンはとても魅力的なプライスで腕時計を作り続けてくれる、スイスの名門ブランドであるという認知は世界共通だ。

最後に、日本ではしばらくコンクエストのラインナップ拡充が中心になっていた感があるが、今後もスポーツウオッチに力を入れていくのか。展望を尋ねた。

「いまに限らず、私たちにはマスター コレクションやラ グラン クラシック ドゥ ロンジンなどの魅力的なコレクションがたくさんあるので、それぞれを絶えず強化・拡充していく必要があります。それとは別に、ウェディング向けの提案も積極的に行なっていきたいですね。2020年も様々な新作の予定はありますが、いずれにせよ皆さんのイメージに合ったプライスは守るのでご心配なく(笑)」

ロンジンCEO ウォルター・フォン・カネル氏。1941年にドイツで生まれ、1945年からスイスで過ごす。税関の技術担当職に就いたのち、1964年に時計の文字盤とケース製造メーカーに転職。1969年にロンジン・フランシオン社に入社以降、その手腕を発揮して一時代を築く原動力となる。1988年よりロンジン社CEOに就任

 

問:ロンジン TEL.03-6254-7351
https://www.longines.jp/