パテック フィリップまで揃える老舗時計店のスタッフに、失敗のないウオッチの買い方“ステップアップ時計”について聞いた

“腕時計を学ぶ、遊ぶ、愛でる”をテーマに、腕時計に関する様々な話題を取り上げているウオッチナビサロン。腕時計に趣味性が求められるようになってから久しいが、まだまだこの分野では伝えきれていない部分がある。そのようなことを、ユーザーにもっとも近いショップスタッフとの会話を通じて紹介したい。

本記事がテーマとする“ステップアップ時計”(=順を追って時計を購入するスマートな買い方)は、時計を趣味とする人、またはこれから趣味にしたいと考えている人に向けたひとつの提案である。

<トミヤ メカミュージアム>小川 店長

「仕事と同じく、腕時計も堅実なステップアップが理想と言えます」

小川さんは腕時計好きが高じて時計学校に入学し、卒業後にカジュアルウオッチから雲上ブランドまで取り揃える西日本の老舗時計店、トミヤに入社した。技術者出身らしい視点も含めた商品解説で、信頼も厚い。現在は本格的な機械式時計がラインナップされているトミヤ メカジュージアムの店長として活躍している。

「私も実際そうでしたが、多くの方にとって最初の腕時計はカジュアルウオッチだったと思います。そこから順にステップアップし、やがて機械式に興味が移って、こだわるポイントで選択が多岐に分かれてゆく印象です。そうした点からも、あらゆるブランドを幅広く扱うトミヤは、時計の趣味を末永くサポートできる体制が整っています」

―― では、最初に選ぶ本格時計として相応しい一本とはどんなモデルでしょうか?

「代表例を挙げるとしたら、IWCのポルトギーゼ・クロノグラフをご提案したいです。シンプルで飽きのこないデザインが、スーツからカジュアルまであらゆる服装に溶け込んでくれます」

―― 現行モデルは2020年に登場しました。売れ行きはいかがでしょうか?

「リニューアル後もほぼ変わらぬスタイルを貫いており、さらに人気が高まっています。ブレスレットタイプも追加され、今まではターゲットにしていなかった方々にも響くモデルになっています。新旧で見た目が変わっていないということは、それだけ完成されたデザインであるという証明です。ムーブメントが自社製になったことで初めてシースルーバック化され、裏側を見る楽しみも増えました。10年、20年、30年と使い続けていくことをリアルに想像できるドレス系クロノグラフと言えます」

IWC「ポルトギーゼ・クロノグラフ」Ref.IW371617 101万2000円/自動巻き(自社製Cal.69355)、毎時2万8800振動、46時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径41mm(厚さ13mm)。3気圧防水

 

「角型時計のシンボルにして、紳士用腕時計のルーツを語れる存在」

―― 一本目にIWCの定番クロノグラフを選んで、高級時計の魅力にハマったとしましょう。次に手に取る腕時計となると、どういったモデルがイメージできますか?

「トミヤをご利用いただいておりますお客様では、一本目に堅実なモデルを、二本目に趣味性の高いモデルを選ばれる傾向があります。“ステップアップ時計”として理想的と言えるでしょう。文字盤カラーがユニークなモデルも一手ですが、ひと目でそれとわかるデザインのモデルも選択肢のひとつです。となると、カルティエのサントス ドゥ カルティエが想像できます」

Vincent Wulveryck © Cartier

 

―― 素材やサイズのバリエーションも豊富で、気兼ねなく使えるクオーツ(サントス-デュモン)も揃えるなど、選択肢が多くて魅力的ですよね。

「二本目にスクエアウオッチを所有いただくことで、ぐっとコレクションの幅も広がるはずです。ラウンドモデルを着けている感覚と、異なる気分を味わえるのもメリットでしょう。さらにサントスは、世界で初めて製作されたメンズウオッチという由緒正しき歴史を持っており、語りどころは十分。その佇まいも、ローマ数字のインデックスやブルーの針などを使っていて実にエレガントです」

―― 角型の腕時計は他にも存在しますが、サントス ドゥ カルティエを選んだ理由は?

「誰もが知る伝統的かつアイコニックデザインながら、先進的な機能を取り入れていることです。安定した精度を実現し、磁気耐性もある自社ムーブメントの搭載や、ブレスレットとカーフスキンストラップがセットになっているうえに自分で交換ができるクィックスイッチのシステムを備えています。こちらも汎用性の高さが魅力です」

カルティエ「サントス ドゥ カルティエ LM」Ref.CRWSSA0018 82万5000円/自動巻き(自社製Cal.1847 MC)、毎時2万8800振動、約40時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース&ブレスレット(交換用カーフスキンストラップが付属)。幅39.8mm(厚さ9.08mm)。10気圧防水 Vincent Wulveryck © Cartier

 

「“上がり時計”として最終的に行き着きたい最高峰ブランドの逸品」

―― 時計好きになったユーザーが最後の手にしたいと思うモデルはどんなモデルが思いつきますか?

「やはり誰もが憧れる時計界の最高峰ブランドから選びたいと思います。それは、スイスの最高権威であるパテック フィリップ。歴史、技術、そしてステータス性において傑出した存在です。日本国内でも取り扱いが認められているショップはわずかで、どこでも購入できるという腕時計ではありません」

―― その中でも一本を選ぶとするなら、小川さんはどのモデルを選びますか?

「これまで(IWCのポルトギーゼ・クロノグラフとカルティエのサントス ドゥ カルティエ LM)はステンレススチールモデルを選んだため、ゴールドケースを。さらにクロノグラフよりも複雑なフライバック・クロノグラフと、特許取得の年次カレンダーを融合させたリファレンス5905を選びたいです」

―― このコンプリケーションウオッチの魅力とは?

「パテック フィリップが誇る複雑機構を2つ同時に搭載していることで、ハイクラスにいっそう磨きをかけています。それとローズゴールドケースと絶妙に調和しているブラウン・ソレイユダイアルも秀逸です。ゴールド製の植字インデックス、曜日・日付・月の小窓、クロノグラフ用の60分積算カウンターとその中の昼夜表示など、配置のすべてがバランス良く整えられています。誰もが憧れるパテック フィリップにしか到達できない、ステップアップ時計の“終着点”と言えるのではないでしょうか」

パテック フィリップ「コンプリケーション 5905」Ref.5905R-001 808万5000円/自動巻き(自社製Cal.CH 28-520 QA 24H)、毎時2万8800振動、最大55時間パワーリザーブ。18Kローズゴールドケース(シースルーバック)、アリゲーターストラップ。直径42mm(厚さ14.3mm)。3気圧防水

 

「例えば、仕事を頑張り、憧れていたモノを手に入れたときの満足度や幸福感は、何ものにも代え難い体験です。そのように自分の成長を実感する証として、腕時計は有力な候補になるはずです。人生における重要なポイントにおいて腕時計をステップアップさせることは、目標までのプロセスをより実感し、楽しむことにも繋がるのではないでしょうか」

 

<取材・撮影協力>
トミヤ メカミュージアム

TEL:086-226-1038
住所:岡山県岡山市北区表町2-1-39
営業:11:00~19:30
定休日:無休
https://www.tomiya.co.jp/

取り扱いブランド:パネライ、ゼニス、ブライトリング、クストス、IWC、モンブラン、ロジェ・デュブイなど

 

※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、休業日や営業時間の変更、一時休業などを行っている可能性があります。

※スタッフは接客時、感染症予防のためマスクを着用しています。

 

Text/WATCHNAVI編集部