MY TIME〜私の時間術〜 Vol.2 常に時間を意識しているのは、“1分”の重みを知っているから――中竹竜二

時間は誰にでも平等。だからこそ1日24時間、その限られた時間をどう使うかが「人生を楽しむ」ための鍵となります。様々な業界で活躍する人物から「時間術」を聞く本連載。第2回は元ラグビーU20日本代表ヘッドコーチ、現在は日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二氏にお話を聞きました。

撮影/高橋敬大 文/赤坂匡介

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大学時代は、けがに悩まされ、全身麻酔をともなう手術を7度経験。けがをするたび、「ラグビーをやめよう」と思ったそうです。しかし、それでも続けてきたからこその“いま”があります。2006年に早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任すると、その卓越したコーチング技術によって、2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇。2010年にはその手腕を買われ、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任しました。2012年には、U20日本代表ヘッドコーチを兼任。現在はさらに、コンサルティング会社の経営者としても活躍するなど、多忙な毎日を送っています。

そんな中竹さんに日々、どんな時間の使い方をしているのか聞いてみました。そこには、「消費より投資を大切にする」という中竹流の時間術がありました。

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――日本ラグビーフットボール協会の仕事だけなく、会社経営までされています。非常にお忙しい日々を送られていると思うのですが、毎日欠かさずしている“日課”はありますか?

1日のシミュレーションを、前日の夜にすることです。つまり、私にとって「今日」は、前日の夜から始まっています。

コーチとしても経営者としても、大切なのは「準備」と「振り返り」だと私は考えています。そのために、毎日テーマを持って行動しています。ちなみに今日のテーマは「切り替え」です。午前中には重要な面談があり、午後には取材、夜には講演会もあります。頭を「切り替え」ながら、1日を過ごしています。

――分刻みの毎日の中で、“いちばん好きな時間”は何をしているときですか?

仕事が好きなので、「仕事をしている時間」と答えたいところですが、それ以外ですと、食事をしているときでしょうか。私は1日1食ということが多いです。だからその1回に賭ける思いは、他の人よりも大きいと思います(笑)。そのために、どこで何を食べようかと調べることも好きです。その時間は無駄ではなく、私にとっては投資です。

私は時間を消費することが嫌いです。たとえば不毛な議論や武勇伝を自慢し合ったりする会。悪いとは言いませんが、生産性のある時間とは言い難いかと思います。

――睡眠時間も“投資”だと思うのですが、中竹さんの平均睡眠時間はどれくらいですか?

3、4時間くらいです。私はショートスリーパーで、短時間で深い睡眠をとることができるようです。だいたい夜は深夜の2時頃に就寝し、朝5時には起床しています。多少、寝不足を感じても、電車の移動中にひと駅だけでも眠れば、ほぼ解消できます。

移動時間に眠らないときは、思考の整理をしています。特に飛行機は最高です。空の上には基本、インターネット環境がありませんから(笑)。メールも電話も来ない静かな環境で、ゆっくり考え事をできるというのは、いまの私にとって非常に貴重な時間です。

――時間の使い方に信念を持っている印象ですが、腕時計を見るのはどんなときですか?

分刻みのスケジュールをこなしていることもあり、1日の中で、何度も見ます。それこそ腕時計をして寝るくらいですから、起きたらまず腕時計を見て、「いま何時か」を確認します。

私はラグビーだけでなく、ビジネスのコーチングもしているのですが、どちらのメニューも分単位で作成します。だから普通の人よりは、1分の感覚を正確に持っていると思います。

1分というと、短く感じる人もいるかもしれませんが、何かを全力で1分間続けることは、実は非常に難しいことです。たとえば全速力で1分間走り続ければ、プロのアスリートでも、しばらく立てなくなるほど疲労します。

もしスポーツの試合なら、“1分”あれば、勝敗が逆転することもありますよね。それくらい1分という時間に隠された可能性は大きい。その重みを知っているからこそ、私は常に、時間を大切に使いたいと思っています。

――1日の中で見る機会が多いとなると、日によって着ける腕時計も変えているのですか?

はい。その日に会う人や予定に合わせて、着ける腕時計は変えています。今日は、初めて会う人や講演会の際などに着ける「ジャガー・ルクルトの腕時計」をしています。

私にとって腕時計は、メンタルにまで影響を与えるものです。だから出張の際には、オンとオフ用で分けて数本持っていきます。

時計を選ぶ際に大切にしていることは、着け心地です。サイズも、文字盤が大きいものよりも、小さいものの方が邪魔にならず、フィット感があって好きです。この時計は5年ほど前に購入したのですが、文字盤も大き過ぎず、見た目も上品で、シックなデザインが気に入っています。

中竹氏が「オフィシャルな場で着けることが多い」と語るジャガー・ルクルトの腕時計
中竹氏が「オフィシャルな場で着けることが多い」と語るジャガー・ルクルトのレベルソ

 

――日々、時間を大切に使っている中竹さんですが、今後はどんな風に時間を使っていきたいですか?

“いま”を大切にしていきたいですね。その積み重ねが未来ですから。そしてできるだけ、自分にとって「いい時間」を多くしたいです。

そのためには、日々、準備をして、振り返りながら反省し、1日の中で無駄を減らし、「いい時間」を増やしたいです。

そして、いつになるかわかりませんが、ひたすら思考を巡らす時間を作られたらいいなと思っています。時間無制限の中で、とことん物事を追求する。そんな時間を持ってみたいです。そのときばかりは、腕時計も外して、のんびりと贅沢な時間を過ごしたいです。

中竹竜二(なかたけ・りゅうじ) 元ラグビーU20日本代表ヘッドコーチ、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター 1973年福岡県生まれ。早稲田大学4年時に、ラグビー蹴球部の主将を務め、全国大学選手権準優勝。大学卒業後、渡英。2006年早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇。2010年4月、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任。2012年より、U20日本代表ヘッドコーチを兼任。監訳を務めた「マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力」(英治出版)が発売中。
中竹竜二(なかたけ・りゅうじ)
元ラグビーU20日本代表ヘッドコーチ、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター 1973年福岡県生まれ。早稲田大学4年時に、ラグビー蹴球部の主将を務め、全国大学選手権準優勝。大学卒業後、渡英。2006年早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇。2010年4月、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任。2012年より、U20日本代表ヘッドコーチを兼任。監訳を務めた「マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力」(英治出版)が発売中。

 

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