<後編>ロレックスの激レアさん「コスモグラフ デイトナ」を深掘り。手巻きの第1~3世代、自動巻きの第4~6世代それぞれの相場は? ポール・ニューマンは?

魅力的なコレクションを揃えるロレックスの中でも、断トツで人気No.1を誇る「コスモグラフ デイトナ」を改めて検証する特集記事の後編は、すでに生産を終えているものの需要が絶えることのない初代から先代(第5世代)までの特徴や価格の相場、デイトナの人気を証明する現象、そしてロレックスの技術力について掘り下げていきます。

KEYWORD 3 相場

初代コスモグラフ デイトナ【生産終了】
Ref.6239
相場:700~800万円(ノーマルブラックダイアル)

連綿と続くデイトナのオリジナルモデルは1963年に誕生。スイスのバルジュー社製の手巻きムーブメントをベースとするキャリバー72系を搭載しています。ベゼルに速度を計測できるタキメータースケールを刻印していることから、当初からレーシングウオッチとして開発されたことが推察できます。

第2世代コスモグラフ デイトナ【生産終了】
Ref.6262
相場:2500万円~(ポール・ニューマンダイアル)

ムーブメントが高性能なキャリバー727へと進化。手巻きデイトナはどの世代も写真の“ポール・ニューマンダイアル”の設定があり、一番人気の第3世代仕様はオークションで2億3000万円もの値が付いたこともあります。さらにポール・ニューマンの私物だったという一品は約20億3000万円で落札されました!!

第3世代コスモグラフ デイトナ【生産終了】
Ref.6263
相場:1200万円~(ノーマルブラックダイアル)

ねじ込み式のリューズを使用したオイスターケースモデルになり、実用的な50m防水へとスペックアップ。メタルベゼルタイプよりもプラスチックベゼルタイプの方が人気で、相場が高くなります。手巻きデイトナ最終型であることから、通常の黒文字盤だとしても需要が高く、超プレミアム相場を推移しています。

第4世代コスモグラフ デイトナ【生産終了】
Ref.16520
相場:~500万円

傑作エル・プリメロを独自に改良したキャリバー4030を搭載するモデルは、1988年にリリースされました。ゼニス社からムーブメントの供給を受けた唯一のコラボレーション作であることで、近年急激に注目度が上昇。また次々と希少ディテールが発見されており、相場1000万円級の個体も存在します。この5桁品番のモデルより、デイトナは晴れて自動巻き化されたのです。

第5世代コスモグラフ デイトナ【生産終了】
Ref.116520
相場:300万円前後

キャリバー4130の開発によってクロノグラフ・ムーブメントの内製化に初めて成功し、搭載する新世代のモデルとして2000年に登場。デビュー直後から品薄状態になるなど、“デイトナ=激レア”を決定的なものにしました。ムーブメントから外装パーツまでいくつかのマイナーチェンジを経ることで完成度を高めたとされており、とくに高年式の未使用品の相場は300万円を優に超えています。

 

  • キーワード3補足 注として記載

※相場はあくまでも参考データで、時計のコンディションや希少ディテールの有無、市場の変動によって大きく差が生じます

KEYWORD 4 デイトナ・マラソン

フィクションのような現実のストーリーである“デイトナ・マラソン”をご存知でしょうか? これは正規店でコスモグラフ デイトナを買うために、毎日のように何軒もの正規店を巡回するというものです。今やデイトナは希少価値の高いプレミアムモデルなので、並行店のほとんどが正規価格よりも100万円以上高い値付けをしているので手が出しにくい存在です。そのため通常の価格で購入したい人、さらには信頼の置ける正規品を手に入れたい人もデイトナ・マラソンをしていると聞きます。いくつかの正規店を調査したところ、デイトナは予約や取り置きをしていないため入荷した時点で店頭に並べるようにしているとのこと。ですから、もし出会えたら相当ラッキーということです。逆に言うと永遠買えない可能性もあります。もちろん入荷日の情報は口外禁止。実際にこの方法で購入できた強運の人もいるそうですが……。恐るべし、デイトナ人気!!

KEYWORD 5 最先端スペック

第6世代コスモグラフ デイトナ【現行】
Ref.116500LN
正規価格127万4400円
新品相場280万円前後 

どの世代のコスモグラフ デイトナにも言えることですが、ロレックスのフラッグシップたる頂上モデルですので常に最新のテクノロジーが投入されています。2016年にリリースされた現行のステンレススチール製デイトナも例外ではありません。シリーズ初採用の傷が付きにくいモノブロック セラクロムベゼルは、その目盛りにPVD加工によってプラチナの微粒子で薄いコーティングを構築させて美しく鮮明に仕上げました。ムーブメントは先代Ref.116520から引き継ぐキャリバー4130ですが、日差±2秒と5年間を保証する高精度クロノメーターを取得しているなど、外装も内部もバージョンアップしているのです。ちなみにブラックセラミック製ベゼルは、手巻き時代のプラスチックベゼルをモチーフに考案されたもので、当時のスタイルをより強く彷彿とさせるホワイトダイアルモデルの人気が高いのだとか。そのため並行店の相場は、ホワイトダイアルの方が若干高いです。これまでに蓄積してきた技術をベースに生まれた第6世代もまた、後世に名を残すデイトナとなることでしょう。