【試着レビュー付き】スイスの機械式時計ブランド「ロンジン」が、ビジネスウオッチとしても使えるデザインと機能を備えた3針時計&クロノグラフをリリース

スイス時計界でも屈指の歴史を誇る1832年創業の「ロンジン(LONGINES)」は、卓越した技術で伝説的な飛行士チャールズ・リンドバーグのオーダーに応える航空ウオッチなどを製作。2020年はこれまでのノウハウを生かした、新たなパイロットウオッチスタイルの新作時計をデビューさせる。一足早く、WATCHNAVI Salonではこのニューモデルを拝見する機会を得たため、ここでレポートする。

歴代のパイロットウオッチや冒険時計に込められた“精神”を具現化

新作「ロンジン スピリット」と対面した瞬間は、特別に目新しさを感じるものではなく、むしろ“定番”の二文字が頭に浮かんだ。ロンジン伝統の翼のついた砂時計マーク、お馴染みのアラビア数字、古い航空時計に散見される大型リューズなど、これに近いデザインのモデルがロンジン ミュージアムに眠っていそうな雰囲気を持っていたからである。

しかしまじまじと見つめ、角度を変えたりしながらディテールを吟味してゆくと、これまでの同社スポーツウオッチとは一線を画す魅力がじわじわと伝わってきた。

まずはクラシカルなフォルムのケース。やや縦長に見える形状で、風防も古風なドーム型になっており、1930年代~40年代の航空時計をイメージさせる外装となっている。リューズは大きめの逆三角形型で、かつてパイロットグローブを着けたままでも操作しやすいようにと考案されたものだ。

文字盤には立体的なアラビア数字のアプライドインデックスが配され、サンディ針と呼ばれる形状の長短針と同じく中にスーパールミノバ夜光が塗布されている。これによって暗闇においても時刻の判読が可能である。なおダイアルは、光の反射を抑えるマットブラック、グレイン加工を施したシルバー、光を帯びて美しさを際立たせるサンレイブルーの3型がラインナップ。ブラックとシルバーはクラシック、ブルーはモダンな印象を与える。

安易なカラーバリエーションではなく、異なる仕上げを施すあたりにロンジン流のこだわりが感じられる。雰囲気も違うので、好みや年齢に合わせて選択ができるのもメリットといえる。

 

冒険家を支える計測機器としての歴史を、クロノメーターの高精度で体現

「ロンジン スピリット」のこだわりは、外観に留まるものではない。かつてアメリア・イアハート(女性で初めて大西洋単独横断飛行)、ポール=エミール・ヴィクトール(2か月にわたりグリーンランドを探険)、 エリノア・スミス(1931年当時、高度記録3万2576フィートを飛行)、そしてハワード・ヒューズ(1938年当時、3日19時間14分の世界1周最速飛行)など、偉大な挑戦者たちを正確な時計で支えたように、最新モデルも高精度が追求された。

搭載されている自動巻きムーブメント「キャリバーL888.4」は、同社専用設計のうえ、ヒゲゼンマイに最新のシリコン素材を使った耐磁性と耐久性を高めた仕様。スイスの公式クロノメーター検定機関(COSC)により、高精度を証明するクロノメーターの認定を受けている。その証を6時位置に「CHRONOMETER」として表すが、直上の星も高精度モデルのクオリティーを示す特別な印で、1950年代にロンジンが使っていたものをヒントにあしらった。ちなみに5つ星は最高評価に値する。

さらに同ムーブメントは、ゼンマイをフルに巻き上げれば2日半以上動き続ける実用的なパワーリザーブを装備。金曜日の夜に外しても翌週の月曜日の朝に停止していることがないため、平日のビジネスタイムに着用する一本としても適している。

腕に沿うカーブフォルムで腕にフィット。ベゼル薄で視認性と存在感を発揮

装着すると直径40mmの適度なサイズが実感できるものの、それ以上の存在感が感じられた。その理由が段差のあるベゼルにあり、立体的でありながらスリムな設計のため文字盤の面積に割くことができた。よって、パイロットウオッチの必須条件である“瞬時の視認性”に優れるデザインとなっている。

一方の装着感は、ケースからラグへと流れる緩やかなカーブによって腕に沿うようなフォルムで心地よい。腕が細めの人にもフィットしやすく、多くの日本人が好むケースといえるだろう。また、同デザインの42mmタイプも発売されるため、より大きいモデルを好む人にはそちらをお薦めする。

「ロンジン スピリット」Ref.L3.810.4.53.0 27万2800円/自動巻き(Cal.L888.4)、毎時2万5200振動、64時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース、両面に多層反射防止コーティングしたドーム型サファイアクリスタル風防、レザーストラップ。直径40mm。10気圧防水

 

新開発キャリバー搭載の42mmパイロット・クロノグラフ

過酷な冒険にチャレンジしてきたパイオニアたちへの敬意を表す「ロンジン スピリット」には、ハイグレードなクロノグラフバージョンも登場。こちらには新たに開発されたロンジンのエクスクルーシブムーブメント、「キャリバーL688.4」が搭載されている。

インダイアルは3時位置から時計回りに、30分積算計、12時間積算計、スモールセコンドの並びで、クロノグラフ計測をクラシカルな丸型プッシュボタンで操る。COSC認定クロノメーターの高精度やシリコン製ヒゲゼンマイの搭載は3針式と共通だが、クロノグラフの操作性と耐久性を向上させるコラムホイールパーツが採用されている点は見逃せない。

「ロンジン スピリット クロノグラフ」もバリエーションは3色展開。カレンダーを4-5時の間にレイアウトしたり、英字や5つ星のポジションを変えたりなど、3針式とは見た目が異なるが、伝統の航空時計スタイルや時刻の読み取りやすさ、美しいデザインはそのまま生かされた文字盤となっている。

「ロンジン スピリット クロノグラフ」Ref.L3.820.4.53.0 40万4800円/自動巻き(Cal.L688.4)、毎時2万8800振動、60時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース、両面に多層反射防止コーティングしたドーム型サファイアクリスタル風防、レザーストラップ。直径42mm。10気圧防水

 

歴史が深く、伝説的な飛行士や冒険家たちをサポートし続けてきたロンジンだからこそ、「ロンジン スピリット」コレクションが完成したと言っても過言ではない。彼らへのトリビュートモデルでもある本機は、まずは3針式とクロノグラフで登場。ダイアルカラーに合わせた色合いのレザーストラップのタイプまたはブレスレットモデルがラインナップされる。

なお3針式はインター チェンジャブルシステムを搭載し、ブレスレット、レザーストラップ、レザー製NATOストラップの3本がセットになったプレミアムモデルも発売。着用シーンやその日のファッションに合わせて手軽にバンドの付け替えができる、汎用性を追求したバリエーションとなっている。

 

問い合わせ先:ロンジン TEL.03-6254-7351
https://www.longines.jp/