【試着レビュー付き】復活した「キングセイコー(KING SEIKO)」の実機に触れた感想をレポート。実用時計の決定版になるポテンシャルを持っていた!!
日本を代表するウオッチメーカー、【セイコー(SEIKO)】から1961年に誕生し、当時の国産高級時計市場を牽引した名作とされている【キングセイコー(KING SEIKO)】のレギュラーモデル復活が発表された。ラインナップは全5機種で、2022年2月18日(金)より全世界のセイコーブティック、同年7月8日(金)よりセイコーウオッチサロンにて発売開始となる。価格は各19万8000円。
1961年誕生のキングセイコーは、どんなタイムピースだったのか
1950年代後半、セイコーは国産時計の新時代を開拓すべく、ムーブメント設計やデザインに独自の思想を投影した、革新的コレクションを次々に発表していった。その代表格と言えるのが、1960年に誕生した国産時計の最高峰、【グランドセイコー(GRAND SEIKO)】であり、翌1961年に生まれたキングセイコーだ。キングセイコーは高級時計としての優れた性能、先進的デザイン、適正な価格を同時に実現し、グランドセイコーとともに高い人気を集めたが、クオーツウオッチの台頭(奇しくも、1969年にセイコーが発表した「クオーツアストロン」が世界初のクオーツウオッチ)により、一旦その役目を終えることとなった。
ちなみに今回のレギュラーモデル復活は、2021年に発売された「セイコー創業140周年記念限定モデル キングセイコー“KSK”復刻デザイン」の好評を受けてのもののようである。
復活キングセイコーのベースとなったのは、やはり2代目の“KSK”
レギュラー復活するにあたり、開発の土台となったのは“KSK”の愛称を持つ、2代目キングセイコーが選ばれた。“KSK”は、1961年発表の初代モデルに無かった防水性能、秒針を止めて時刻合わせができる秒針規制装置を備え、腕時計としての実用性を大きく発展させた機種である。さらに無駄のない文字盤デザインやエッジの効いたケース、ボックス型の風防(アクリルガラス製)などを採用し、キングセイコーのスタイルを確立したモデルとして高い評価を得た。現在のヴィンテージ市場においても、それらの理由から人気の一本となっている。
オリジナルキングセイコーのスタイルを現代の技術、発想で表現
レギュラーモデルとして復活した本コレクションは、オリジナルの“KSK”に近いコンパクトなサイズを受け継ぎながらも、太く存在感のあるカン足(ラグ)の特徴をさらに際立たせた、現代的なスタイリングへと発展させている。大胆な多面カットが施されたケースは鏡面仕上げとヘアライン仕上げのコンビネーションで、シャープな質感を演出。時計本体の重量は低重心化が図られており、心地良い装着感を確保している。
また、最大の個性と言えるクラシカルなボックス型の風防は、往時のキングセイコーの格調高くも柔らかな雰囲気を再現しつつ、傷が付きにくい硬質サファイアガラスで実現している。無論、視認性を上げるために内面無反射コーティングが施されており、この価格帯のモデルとしては実に凝った作りとなっている。
“盾”をモチーフにしたキングセイコーの象徴的なマークも復活
ラインナップされたダイアルは、全5種類と多彩。1965年の“KSK”のオリジナルカラーとなるシルバー、上下に流れる繊細なヘアラインパターンが施されたメタリックグレー、美しい放射仕上げのチャコールグレー、ブラウン、レッドとそれぞれ魅力を放つ。文字盤の12時位置に配されたインデックスは、”KSK”から受け継ぐユニークなフォルムで、天面に施された細かな刻みが大きな特徴だ。
また、当時の“盾”をモチーフとしたブランドマークも、よりフラットかつモダンな意匠に刷新され、リューズと裏蓋に刻印されている。そして、1960年代のキングセイコーをオマージュした多列ブレスレットも新たに開発。ケース同様、鏡面とヘアラインに仕上げ分けされた多面構成のブレスレットからは、快適な装着感とともにダイナミックな光の躍動を感じることができる。
別売りのキングセイコー専用ストラップも同時リリース
ムーブメントには自社製造の自動巻き、「キャリバー6R31」を搭載している。このメカは既存のキャリバー6R35のカレンダー機能を省いたもので、オリジナルの”KSK”と同じシンプルな文字盤を成立させている。当然、リューズは時刻調整のみの1段引き仕様であり、カレンダーの調整ポジションはない。信頼性が高いムーブメントがベースで、ロービート(毎時2万1600振動)の約70時間パワーリザーブを実現しており、実用性は申し分ない。
今回の発売に合わせて、キングセイコー専用の別売りレザーストラップが5種類揃えられた。セイコーブティックで用意されているほか、セイコー公式ウェブサイトのシミュレーター上では時計とストラップを組み合わせ、好みを探すことができるようになっている。
ケースからブレスレット、そしてボックス型のサファイアガラス風防まで、新生「キングセイコー」は非常にクオリティを感じさせる出来。手に取りやすい価格帯の実用的な3針ウオッチの市場における、新たなベンチマークとなるポテンシャルを持ったブランドの誕生と言える。
「キングセイコー」の専用コーナーもある【セイコーブティック 大阪心斎橋】がオープン大阪・心斎橋からまたひとつ、時計ファンの心を掴むニュースがもたらされた。【グランドセイコー(GRAND SEIKO)】を扱うグランドセイコーブティック 大阪心斎橋のすぐ隣に、「セイコーブティック」がオープンしたのである。両店は中で行き来できるようになっており、その面積は合計333㎡以上で、世界最大級のセイコー&グランドセイコーを扱う店舗となった。 当然、「キングセイコー」をフルラインナップしているほか、【セイコー プロスペックス(SEIKO PROSPEX)】、【セイコー プレザージュ(SEIKO PRESAGE)】、【セイコー アストロン(SEIKO ASTRON)】、【クレドール(CREDOR)】など、主力モデルやブティック限定モデルを中心に扱われている。
【セイコーブティック 大阪心斎橋】 ※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、休業日や営業時間の変更、一時休業などを行っている可能性があります。 |
問い合わせ先:セイコーウオッチお客様相談室 TEL.0120-061-012 https://www.seikowatches.com/jp-ja/
Text/三宅裕丈 & WATCHNAVI編集部