Journey of Watches – 第2回 ISHIDA「彩時」で出会う“プロの眼差し”

時計業界で活躍する “人” との出会いを紹介する「Journey of  Watches」。第1回のTOMIYA創業祭に続く今回は、東京・ISHIDAが毎秋開催する特別商談会「彩時(さいじ)」を訪れた。同行したのは、ウオッチナビ編集部に加わったばかりの新人・Ren君。彼がどんな“プロの選択”に触れ、どんな時計を薦められるのか——期待を胸に、会場であるマンダリン ・オリエンタル 東京のエントランスで待ち合わせた。

高級時計とジュエリー、ヴィンテージまでも一堂に

「彩時」は、ISHIDA新宿、ISHIDA表参道、ISHIDA N43°(札幌)、そしてタイム・ヴァレー 麻布台ヒルズが扱う主要な高級ブランドやインディペンデントウォッチが一堂に会する、まさに“時計好きの祭典”だ。魅力的な現行モデルに加え、ジュエリー、ヴィンテージウオッチまで並ぶ贅沢な空間は、丸一日いても飽きない。

今年の会場は、丸の内の名門ホテル「マンダリン ・オリエンタル 東京」。東京の時計専門店が、これほど大規模な催事を高級ホテルで行うのは、おそらくこの「彩時」だけだろう。

受付を抜けると、まずは高級シャンパンでウェルカム。時計イベントとは思えないほどのラグジュアリー感に、テンションは一気に上がる。

 一流ブランドが並ぶ空間で、プロならではの“瞬時の提案”

ジュエリーエリアを抜け時計会場へ入ると、パネライ、IWCシャフハウゼン、シャネル、カルティエ、ブレゲ、ジャガー・ルクルト、ゼニス、ノルケイン、クロノスイスなど、多くのブランドが所狭しとブースを構える。どれも見ごたえがあり、気づけば時間はあっという間に過ぎていく。

そんな中、Ren君が特に興味を持っ向かったのは、ジャガー・ルクルト。自然な空気感で迎えてくれたのは、ISHIDA新宿の荻原さんだった。筆者にとっても以前からよくしてくれた販売員のひとりで、久々の再会が嬉しい。

荻原さんが薦めたのは、ジャガー・ルクルトの「レベルソ・クラシック モノフェイス」。なんとRen君が気になっていたモデルそのものだった。

「この日は購入しませんでしたが、あとからもずっと気になっています。数あるモデルの中から、迷わず“その1本”を薦めてくださった洞察力に驚きました。」
Ren君の言葉が、プロの販売員の凄みをよく表している。

“時計選びの旅”を体験させてくれる販売員

会場中央のインディペンデントコーナーへ向かう途中、タイム・ヴァレー 麻布台ヒルズ店長の燕さんに遭遇。某プロ野球監督に似ていることで密かに有名(?)な方だが、接客は都内屈指の実力派である。

Ren君へのアドバイスがまた興味深い。

「良いと思わない時計も、とりあえず着けてみる。」

選択肢を自ら狭めず、試着を重ねることで“似合う時計”に出会えるという。一緒に時計を探す時間そのものが“旅”になる接客——燕さんらしい言葉だ。

そんな燕さんの腕にあったのは、ジャガー・ルクルトのYGレベルソ。濃紺のスーツに品よく馴染むその姿に、彼が“時計選びの羅針盤”であることを確信した。

 「彩時」で感じる石田社長の懐の深さと先見性

燕さんとの楽しい時計談義を終えて帰路につこうとしたところ、石田充孝社長自らお見送りをしてくれた。筆者としては、長く開催されてきている「彩時」の歴史を知るだけに、 今回は特に進化していることを実感した。石田社長の指揮のもと、会場を包む温かい雰囲気、スタッフの連携、お客様を楽しませる工夫の数々、ヴィンテージを含めた展開ブランドのマーチャンダイジング戦略、そしてなんと言っても販売プロフェッショナルの質の高さを感じる「Shopping Experience」。 「彩時」は招待制なので、各店の販売プロフェッショナルを通して是非、足を運んでみてはいかがだろうか?

 タイム・ヴァレー 麻布台ヒルズで体感する“選ばれる喜び”

数日後、Ren君を連れてタイム・ヴァレー 麻布台ヒルズを訪問。ここではパネライ、ヴァシュロン・コンスタンタン、IWCシャフハウゼン、ゼニス、シャネルなど複数ブランドの精鋭モデルが揃い、効率よく時計選びができる。

ここで出迎えてくれたのは、ISHIDA表参道で長年カルティエやショパールを担当してきた大島さん。会話が楽しく、指名客も多い人気販売員だ。

Ren君が辿り着いたのは、シャネルのJ12 パラドックス。白と黒のセラミックを融合した独創的なケースは、その日のRen君のモノトーンスタイルに絶妙にマッチ。実は別ブランドの定番モデルも候補にあったが、大島さんは会話の中から“Ren君はシャネル好き”という本音を引き出し、この1本を薦めたのだ。

「自分が想像していなかった時計との出会いを作ってくれる。大島さんに接客してもらうと、そんな楽しさがあります。」
大島さん自身も「予想外の1本をご提案し、それを気に入っていただけたときが何より嬉しい」と語ってくれた。

最終的にRen君の心に残ったジャガー・ルクルトのレベルソ クラシック モノフェイスとシャネルのJ12 パラドックス。筆者もこれらの二つの時計の魅力を堪能することができた。

心で接客するプロたちがいる場所

ISHIDAの販売員たちは、知識だけでなく“人を見る力”に長けている。その場の空気、服装、会話の端々から、最もしっくりくる1本を導き出す。その接客はまさに、時計選びを“体験”へと変えてしまうものだ。

ISHIDA各店には、まだまだ紹介したいプロフェッショナルが数多くいる。ぜひ、ISHIDA新宿、ISHIDA表参道、ISHIDA N43°(札幌)、タイム・ヴァレー 麻布台ヒルズの各店を訪れ、販売員さんとの出会いと共に心に響く1本との出会いを楽しんでみてほしい。

Text/Lou

[Lou] 学生時代のカジュアルウォッチチェーンの販売アルバイトから時計の魅力に取り憑かれ、29歳で大手スイス時計グループに入社後は、カジュアルから高級時計まで様々なブランドの事業部長を含む要職を歴任。ファッションの分野でも要職に就いて高級ファッションブランドの時計事業も担当し、営業、販売、マーケティングなど多くの分野で現場を経験。現在は、時計事業のアフターサービス業務を継続しつつ、自身のキャリアと欧米の時計業界との幅広く強固なパイプを活かし、カジュアルウオッチからインディペンデントウオッチまで数々なブランドのコンサルティングを行っている。