【FASHIONスナップ】Vol.7「ショーツスタイルと 高級腕時計」中里 彩のWatch × Fashion Conscious
夏まっさかり。こんなに暑い夏はショーツが履きたくなりますよね。連載の第7回目はショーツスタイルをテーマに着こなしと腕時計を解説します。毎年1月と6月にイタリア・フィレンツェで開かれる「Pitti Uomo」も夏は気温30℃超え。日本のようなジメジメとした暑さはありませんがそれでもとにかく暑いため、セットアップでもショーツでも色柄や素材でいかに涼しげにエレガントに着こなせるかがポイントになります。それでは、Pittiのファッショニスタのショーツテクニックを見ていきましょう。
ミリタリーアウター &イタリア軍グルカショーツ × 「OMEGA(オメガ)」スピードマスター
こちらはかなりミリタリー色の強いコーディネートです。前回の記事でもご紹介したミリタリースタイルでは“いかに泥臭さを消せるか”がおしゃれに着こなすポイントでしたね。
トップスはアメリカ軍の「ファティーグジャケット」と呼ばれる名作アウター。サラサラ素材が特徴のファティーグジャケットは元もとベトナムなどの熱帯地域で使われたため、30度超えのフィレンツェでも快適なようです。ショーツはウエスト部分の2本のバックル(アジャスターベルト)がアイコンのイタリア軍の「グルカショーツ」。やはり最近のミリタリーブームは確実にPittiにも押し寄せてきています。
このグルカショーツは日本の古着屋や軍モノのお店でもたまに置いてあります。かなりマニアック&ディープな組み合わせなので、日本人が休日のオフスタイルとして同じように着るのは難易度が高いかもしれません。また太ももから裾幅がとても太いので、野暮ったくならないように全体のバランスを合わせるのが難しいのですが、今年秋から吹き荒れそうな「太パンブーム」を先取りしたい方にはオススメです。日本の方がこのショーツを合わせるとしたら、白やネイビー、カーキ、ボルドーあたりのポロシャツでまとめると落ち着くかと思います。
時計は「OMEGA(オメガ)」のスピードマスター。ベルトをグレーの“NATOベルト”に変えてミリタリー色を統一しています。名作の中でも有数の定番モデルですが、こうすることでオリジナリティが出ますよね。オメガのスピードマスターはこのようなカスタマイズができるのでリバイバルしています。
リネンシャツ&イタリア軍グルカショーツ × 「LONGINES(ロンジン)」コンクエスト・クラシック
こちらの方も白いイタリア軍のグルカショーツにリネンシャツの裾をタックインしています。股上が深いのでタックインすると足が長く見えますね。シャツの裾はピッタリと入れ込んでしまうのでなく少しだけふわっと出すことで全体のバランスが整って見えるので試してみてください。
夏ですが首にスカーフを巻いていますね。先の男性も首にバンダナを巻いていましたが、実はこれはPiitiでのここ数年のトレンドなのです。夏はコットン素材、冬はシルク素材が一般的で、時代によってスカーフの大きさ・長さの違いこそはありますが、巻き方自体は昔からあります。顔まわりが華やかになりますが、おしゃれ過ぎてしまう印象もあり、特に日本では難易度が高めです。もし初めてトライするなら、小物に合わせてネイビーやブラウンなどのダーク系の色のスカーフを選んでみるといいかもしれません。
時計は「LONGINES(ロンジン)」のコンクエスト・クラシック。こちらはおそらく復刻のヘリテージモデルかと思われます。ロンジンの歴史を遡ると、スポーティなモデルの先駆けともいえるモデルで50年代の時計の復刻です。
ロンジンはアンティークショップではロレックスに次ぐ人気ブランドで、海外では日本よりもかなり高く評価されています。もうこの連載では何度も解説してきましたが、この方も当然ながらベルト変えて革ブーツのバーガンディー色を合わせています。革ベルトはやっぱり色気がありますね。
半袖白シャツ&シンプル黒ショーツ × 「ROLEX(ロレックス)」のデイトジャスト
こちらの男性は日本でも見かけそうな着こなしですね。日本的な半袖の白シャツに、黒い膝丈のショーツ、白スニーカー。ソックスの2本線のデザインや丈がレトロに見えますが、実はこれもじわじわ舞い戻ってきている80年代の復刻トレンド。先にトレンドとなったストリートスタイルとも相性がよく再注目されています。なんか、ちょっとダサい。古臭い感じをほんの少しだけ隠し味で入れたテクニックはSNSでも流行しています。流行は巡りに巡って戻ってくるからおもしろいですよね。シンプルなノームコアをベースにレトロやストリート要素を取り入れた着こなしは、流石はファッショニスタならではです。
時計は王道「ROLEX(ロレックス)」のデイトジャスト。写真だと分かりづらいのですが、ベーシックなSSケース&ブレスで黒文字盤のもの。いまや時計業界では何にでも合わせられる時計として定着しています。独自のフルーテッドベゼルは金を使われることがほとんどで上品な輝きを放つのも特徴です。
ショーツを履くときに気をつけたいこと。それは脚のすね毛の見え方です。せっかく素敵な時計やおしゃれな服・靴をまとっても、ヘアのマネジメントができていなければせっかくのコーディネートが台無しですね。正直、女性ウケもあまりよくありません…。脚がちゃんと日焼けしている、もしくは適度に長さを整えるとすね毛が目立たずきれいにショーツを履きこなせるので意識してみてください。ツルツルにする必要はありませんが、剛毛の方はカットを考えてもいいのではないでしょうか。
まだまだ暑さ続く日本の夏。今回はミリタリー色が強めではありましたが、ショーツスタイルの着こなしと腕時計の遊びかた、ぜひ参考になさってみてくださいね。
▼ライタープロフィール
中里 彩(Aya Nakazato)
メンズスタイルデザイナー。コラムニスト。日本にて熟練の仕立て職人のもとでテーラリングを学んだ後、エグゼクティブの男性を対象に装いのコンサルティング・スタイリングを行う。WEBメディア「Aya Nakazato Official Medium」では、独自の目線からメンズファッション業界におけるものづくりの魅力やメンズ服の着こなし解説などを発信している。
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