時計の機能を100%活用できる知識を紹介!実用機構の使い方完全丸わかりマニュアルVol.1【カレンダー編デイト・ムーンフェイズ】
腕時計には時刻を知る以外にも、日付や月齢などのカレンダー情報を確認したり、精密なタイム計測を行ったり、他国の現在時刻を知ったりと、さまざまな機能が装備されている場合が多い。そんな各種機能の基本的な使い方や機構の原理などを初心者にもわかりやすく丁寧に解説していく。知っておけば役立ち度は満点なので、しっかり学習しておこう!
カレンダー機能 <デイト表示>
腕時計に伝統装備されるカレンダーの基本
スケジュール管理など、ビジネスシーンに必須の機能といえるデイト表示。1~31の数字が記された日付ディスクがムーブメントに内蔵されており、24時間で1日分進み、31日で1回転する。このディスクの数字を小窓に表示し、その日の日付を示す。小窓の位置は3・4・6時位置など、ダイアルデザインとの統合性を考慮して配置される。なお、7日で1回転する曜日ディスクと小窓を併設したモデルもあり、その場合は「デイデイト」と呼ばれている。
デイト表示搭載モデル ノモス グラスヒュッテ「タンジェント 38 デイト」
バウハウスの伝統を彷彿とさせる、モダンクラシックで機能的なデザインが魅力のスモールセコンドモデル。6時位置に設置された特大サイズのデイト表示や同社独自の超精密脱進機構(スウィングシステム)などを搭載した自社製手巻きキャリバーDUW 4101搭載。直径37.5mm。ステンレススチールケース。3気圧防水。
問い合わせ先:大沢商会 時計部 TEL.03-3527-2682 https://nomos-glashuette.com/
【基本操作】数日使わないなどして日付がズレた場合の調整方法
↑このモデルは日付の単独調整がついていないため、時間を進めて調整する。
↑リューズを1段引き12時方向に回す。午前0時を過ぎると日付が1日進む。
【機構の仕組み】
↑日付ディスクの内側には31の歯が刻まれており、それを送り爪や歯車などの部品で毎日1回、回転させる構造になっている。
カレンダー編 <ムーンフェイズ>
中世にヨーロッパで生まれた古典機構
地球に多大な影響を及ぼす月の周期をひと目で認識可能なムーンフェイズは、ダイアルに設けられた扇型の小窓に新月や三日月、満月など、その日の夜に現れる実際の月の形をそのまま表示する機構だ。
月の満ち欠けは潮位の変化や植物の生長などにも影響を及ぼすため、サーフィンやヨットセーリング、フィッシングなどのマリンスポーツ、農業・家庭菜園など活用範囲は意外に広い。また天体の運行を表示することで、ダイアルに雄大で幻想的なイメージを醸し出す効果もある。
ムーンフェイズ搭載モデル ロンジン「マスターコレクション」
Ref.L.2.909.4.78.6 36万8500円
190年以上の歴史を誇る同社ならではのエレガンスなデザインや、丹念に施されたダイアル装飾などが“伝統と格式を備えた上質感”を演出。6時位置には、ムーンフェイズ小窓と指針式の日付表示を装備。自動巻き最上位グレードのキャリバーL899搭載。直径40mm。ステンレススチールケース。3気圧防水
問い合わせ先:ロンジン TEL.03-6254-7350 https://www.longines.com/jp/
【基本の操作】数日使わないなどして月齢がズレた場合の調整方法
↑リューズを1段引き出し、ムーンフェイズが早送り可能な状態にする。
↑ネットなどでその日の月齢を調べ、その形に合わせて調整する。
【機構の仕組み】
月の満ち欠け(月齢)の周期が約29.5日であることから、59日で1回転する専用ディスクを活用。上下2か所に月を描き、それが毎日1/59ずつ回転する様子を小窓に出現させることで、日々変化していく月の様子を再現している。
デイトやデイ、ムーンフェイズなどのカレンダー機構は、午後8時~午前4時前後は早送り調整の操作がNGの場合(機構の損傷を招く)が多いので要注意。購入時に必ず販売店かメーカーで確認を!また、日付やムーンフェイズは先送り調整のみ可で、逆戻しは厳禁ということも覚えておこう!
Text/外山明秀(トイズハウス)、平野翔太(WN編集部) Photo/山口雅則
本記事は『ウオッチナビ 2023 Summer Vol.90』より抜粋・編集しています。