時計の機能を100%活用できる知識を紹介!実用機構の使い方完全丸わかりマニュアルVol.4【ベゼル編(逆回転防止ベゼル・両方向回転ベゼル)】
腕時計には時刻を知る以外にも、日付や月齢などのカレンダー情報を確認したり、精密なタイム計測を行ったり、他国の現在時刻を知ったりと、さまざまな機能が装備されている場合が多い。そんな各種機能の基本的な使い方や機構の原理などを初心者にもわかりやすく丁寧に解説していく。知っておけば役立ち度は満点なので、しっかり学習しておこう!
ベゼル編 〈逆回転防止式ベゼル〉
潜水用ガスボンベの安全な使用限界時間を厳格に管理するツール
スキューバダイビングなどで安全を守る必須ツール
逆回転防止式ベゼルとは、主にスキューバダイバーが潜水時間を最大60分まで計測するために装備されるダイバーズウオッチ特有のパーツで、その名の通り一定方向(反時計回り)にしか回転しないベゼルのこと。反時計回りにしか回転しないのは、海藻が絡まったりしてベゼルが時計回りに動いてしまうと、実際の経過時間より短く誤認してしまう危険性があるからだ。
逆回転防止ベゼル搭載モデル ブランパン「フィフティ ファゾムス オートマティック」
1953年の初代モデル誕生以来、視認性と操作性に優れた大型針や逆回転防止式ベゼルなどを踏襲し、モダンダイバーズの源流として進化を続ける人気コレクション。トリプルバレル方式で120時間もの駆動を可能にした自社製キャリバー1315搭載。直径45mm。自動巻き。ステンレススチールケース。30気圧防水。
問い合わせ先:ブランパン ブティック銀座 TEL.03-6254-7233 https://www.blancpain.com/
【基本の操作】
↑親指と人差し指でベゼルを固定し、反時計回りに優しく回す。
↑計測開始時に、ベゼルの起点部(◇)を現在の分針位置に合わせる。
↑開始時からの経過分は、ベゼルの数値で読み取る(写真は15分経過)。
【機構の仕組み】
上はケースやリューズ、ベゼルなど外装パーツの展開図。ケースとベゼルの間にあるベゼルを回転させる2つのリング部品のうち、左から3番目のリングに小さな突起を設置(➡位置)。これがストッパーの役割を果たし、ベゼルが逆回転しないようになっている。
ベゼル編 〈両方向回転式ベゼル〉
分針や時針に合わせることで、経過時間計測や他国の時刻を表示するなど多目的に活用される
操作が容易な回転方式で経過時間などを表示
一定方向にしか回転しない逆回転防止式とは異なり、どちらの方向へも自由に回すことのできるベゼル。
1~24の数値を記してGMT機能付きのモデルに装備し、時針で第1国、GMT針で第2国、回転ベゼルで第3国の時刻を表示したり、0~60分や0~12時間の数値を記して時間経過を記録するパイロットウオッチなどに採用されることが多い。
両方向回転ベゼル搭載モデル ジン「104.ST.SA.A」
特殊な結合方式を採用することで、不意の衝撃でも絶対にはずれることがなく、2か所を同時に押した時だけ回る特殊なパイロット用両方向回転式ベゼルを装備。耐磁性はDIN(ドイツ工業規格)8309、防水性はDIN8310をクリアした高機能モデル。3時位置にはデイデイト表示も搭載。直径41mm。自動巻き。ステンレススチールケース。20気圧防水
問い合わせ先:ホッタ TEL.03-5148-2174 https://www.fortis.jp/index.html
【基本の操作】
左右どちらの方向にも回るので操作は簡単。計測を開始したい時に、ベゼルの起点部(▼)と分針などを合わせるだけだ。
※上のモデルは分針と合致させることで、60分までの経過時間を計測できるタイプ
【機構の仕組み】
ジンの特殊結合方式は両方回転式ベゼルのサイドに4本のネジを設置して本体内部の溝にしっかりと固定。アクシデントでコックピットの金属機器などにぶつかってもベゼルが決してはずれない、同社独自の安全性を考慮した構造になっている。
Text/外山明秀(トイズハウス)、平野翔太(WN編集部) Photo/山口雅則
◎本記事は『ウオッチナビ 2023 Summer Vol.90』より抜粋・編集しています。