2023年新作時計を振り返る【H.モーザー】【アーノルド&サン】【アンジェラス】
昨年、スイスで開催された「ジュネーブ・ウオッチ・デイズ」(世界最大の時計見本市である「ウォッチズ&ワンダーズ」に継ぐ規模で開催)を、ウオッチナビは現在取材を行った。これをもとに、本エキシビションで特に印象に残った【H.モーザー(H. MOSER & CIE.)】、【アーノルド&サン(ARNOLD & SON)】、【アンジェラス(ANGELUS)】に焦点を当て、2023年ニューモデルを振り返る。
H. MOSER & CIE.
これ以上ないブラックとローズゴールドの調和
快進撃を続けるH.モーザーにおいて不可欠な存在になりつつある「ベンタブラック®」の文字盤。ジュネーブ・ウオッチ・デイズでは新たに、究極のミニマリズムを体現するエンデバーのレッドゴールドケースに、同文字盤を合わせた2本が発表された。
ひとつがフライングトゥールビヨンモデルで、ロゴやインデックスを省いた漆黒の文字盤上に、キャリッジが浮かび上がって見える独自のデザインを築いた。もう一方の中3針モデルは、スリムなバーインデックスと針に視線が集中し、読み取りをスムーズに行える仕様。趣味性と実用性で好みが分かれるところだ。
流行と一線を画すエンデバーに「ベンタブラック®」
(右)H.モーザー「エンデバー・トゥールビヨン コンセプト ベンタブラック®」 Ref.1804-0403 1263万9000円
(左)H.モーザー「エンデバー・センターセコンド ベンタブラック®」 Ref.1200-0411 420万2000円
先進のカーボンナノチューブで構成され、可視光の99.965%を吸収する「ベンタブラック®」を文字盤に用いたエンデバーが2モデル誕生。いずれも鏡面仕上げの18Kレッドゴールド製40mmケースを採用しており、トゥールビヨンがキャリバーHMC 804、センターセコンドがキャリバーHMC 200の共にマニュファクチュールムーブメントを搭載する。
スペック(右/トゥールビヨン):自動巻き(自社製Cal.HMC 804)、毎時2万1600振動、約72時間パワーリザーブ。18Kレッドゴールドケース(シースルーバック)、アリゲーターレザーストラップ。直径40mm。日常生活防水。
スペック(左/センターセコンド):自動巻き(自社製Cal.HMC 200)、毎時2万1600振動、約72時間パワーリザーブ。18Kレッドゴールドケース(シースルーバック)、クーズーレザーストラップ。直径40mm。3気圧防水。
問い合わせ先:エグゼス TEL.03-6274-6120 https://www.h-moser.com/ja/
ARNOLD & SON
限定数「88」と「5」の争奪戦必至の希少時計
アーノルド&サンの新作はひとつ目が、トゥルービートセコンドやデッドビートセコンドと呼ばれる秒単位の正確な表示を可能とした「DSTB」のコンパクトモデルだ。レッドゴールドケースは直径42mmで、厚さを12.95mmにとどめた装着性優先の新サイズを採用。再設計に合わせて自社製造のキャリバーA&S6203も開発した。こちらは88本のみのレアピースである。
「ルナ マグナ」には僅か5本の日本限定モデルが登場。文字盤と球体ムーンの影部分に隕石を使い、月の半球とオパール製サブダイアルにはスーパールミノバを塗布し、夜が楽しみになるデザインとしている。
アーノルド&サン「DSTB 42 レッドゴールド」 Ref.1ATCR.U01A.C200A 825万円
脱進機が1秒につき1回のリズムで振動し、これに呼応して秒針が正確に時を刻むトゥルービートセコンドを備える最新作。サンレイ仕上げのブルーPVD加工ダイアルに、オフセンターのエナメル製時分ダイアルをセット。
スペック:自動巻き(自社製Cal.A&S6203)、毎時2万8800振動、55時間パワーリザーブ。18Kレッドゴールドケース(シースルーバック)、アリゲーターレザーストラップ。直径42mm。3気圧防水。世界限定88本。
アーノルド&サン「ルナ マグナ プラチナ 日本限定モデル」 Ref.1LMAX.Z02A.C183C 1320万円
122年間調整不要な巨大ムーンフェイズ表示を搭載する日本限定バージョン。ケースはプラチナ製で、文字盤にはダークグレーのPVD加工を施したメテオライトを用いる。夜光が機能する暗闇での幻想的な演出も見物。
スペック:自動巻き(自社製Cal.A&S1021)、毎時2万1600振動、90時間パワーリザーブ。プラチナケース(シースルーバック)、アリゲーターレザーストラップ。直径44mm。3気圧防水。日本限定5本。
問い合わせ先:アーノルド&サン相談室 TEL.0570-03-1764 https://www.arnoldandson.com/ja
ANGELUS
クロノグラフの名門が人気作の新ブルーを発表
アンジェラスからは、2022年の登場当初より支持されている「クロノデイト チタン」の新顔が生まれた。
針式のカレンダーを特徴とする1942年製キャリバーにオマージュを捧げるこのクロノグラフは、水平クラッチ+コラムホイールという通好みのキャリバーA500を搭載。バランス感覚の優れた2カウンターを実現している。また、このメカはカーボンコンポジット製ボックスに収められており、6ピース構造のチタンケースがこれを囲むモダンで力強い外装も魅力。ここに流行を捉えたブルーを配色し、新たなファンの獲得を目指す。
アンジェラス「クロノデイト チタン ストームブルー エディション」 Ref.0CDZF.U03A.M009T 価格要問い合わせ
サテン仕上げのスポーティなチタン外装を特徴とする「クロノデイト チタン」に、メタリックブラックのカウンターとの対比が美しいストームブルーの文字盤が新加入。ポインター式のペリフェラル・デイトを備えるマニュファクチュールムーブメントを備える。
スペック:自動巻き(自社製Cal.A-500)、毎時2万8800振動、60時間パワーリザーブ。チタンケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径42.5mm。3気圧防水。
問い合わせ先:アーノルド&サン相談室 TEL.0570-03-1764 https://angelus-watches.com/
※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。本記事は『ウオッチナビ Vol.92』より抜粋・編集しています。
Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部)