スタイリッシュ、904Lスチール外装、クロノメーターを上回る高精度。ボール ウォッチを新ステージへと導くブレスレット一体型の3針時計を大解剖

20世紀へと移りゆく時代、アメリカを世界一の経済大国へと押し上げることに貢献したのは、紛れもなく広い大陸を縦横断する鉄道の存在だった。1891年7月19日、同国オハイオ州クリーブランドにて創業した【ボール ウォッチ(BALL WATCH)】は、正確かつタフな鉄道時計でアメリカの鉄道運営を支えたのだ。その歴史と精神を受け継ぐ「ロードマスター M パーシビア」は、まさに究極の実用時計を追求したニューモデルとして注目に値する。

スタイリッシュで使いやすい人気デザインをアップデート

 

アメリカで「鉄道標準時計の基準」と「時計検査システム」を確立したウェブスター・クレイ・ボールは、その知見と宝石商としての経験をもとに「ボール ウォッチ・カンパニー」を設立した。鉄道員らに高精度の懐中時計と腕時計も提供し、アメリカの時計史とともに発展したのだ。その後、本社をスイスのラ・ショー・ド・フォンへと移し、ブランドエッセンスとして「あらゆる過酷な環境の下で正確に時を告げる」を掲げ、優れたタイムピースを輩出している。最新作となる「ロードマスター M パーシビア」もまた、そのコンセプトに基づく一本で、なおかつ市場のニーズを適格に捉えたデザインとスペックで話題をさらうことになる。

「ロードマスター M パーシビア」でまず目を引くのが、ロードマスターシリーズ特有のブレスレット一体型ケースデザインである。よりシームレスな設計へと進化させることでスタイリッシュさが増した印象で、ビジネススタイルからカジュアルなファッションにまで適応する、シーンを選ばないニュートラルな外観を形成している。とりわけ装着時の快適さは特筆もの。これはケース形状に合わせた専用ブレスレットを採用していることが大きく関係しており、他のロードマスターよりもH型のピースが小さく、バックル側に向けてシルエットをテーパードさせている。また、ねじ込み式ケースバックのボリュームを抑え、ムーブメントを内包するケースの重心を低く(腕側に近く)することにより、腕の上でグラつきにくくなっている。これらの理に適った設計が、無駄なストレスを感じさせないフィット感を生んでいる。

なおこのブレスレットもケースと同じ904Lステンレススチール製という贅沢な仕様だ。904Lステンレススチールの特性については別にまとめるとして、ケース&ブレスレットはサテン仕上げをメインに、ブレスレットの中央コマをポリッシュ、エッジ部に光沢を帯びる面取りを施し、エレガントさの中に存在感を示す外装を作り出している。ブレスレットの長さ調整前の重量は約137gで、腕への程よいズッシリした感覚も高級感を得られるポイントだ。また存在感を語るうえで外せないのが、標準的な日本人男性に適度なケースサイズ(直径40mm)を保ちつつ、ポリッシュ仕上げのベゼルの幅を狭くすることで、横ストライプをあしらった文字盤の範囲が広くなり、見た目のインパクトも時刻の視認性も高められている。こうしたディテールへのこだわりが貫かれている。

「904Lステンレススチール」の特性の代表例

◆316L ステンレススティールよりもクロム含有率が高く、酸や塩化物の影響を受けにくい。

◆耐食性の高いオーステナイト系ステンレスと高硬度なフェライト系ステンレスの性質を併せ持つ。

◆金属アレルギーを引き起こしにくい。

◆優れた加工技術によって、表面を美しい光沢仕上げとすることが可能。

◆極めて硬質なため成形加工には特殊な技術が必須。同素材の採用は技術力の高さを証明している。

 

こだわりは自社ムーブメントにも。すべてはユーザビリティ向上のため

さらにはボール ウォッチのこだわりはメカにも及ぶ。「ロードマスター M パーシビア」は、ハイスペックな「BALLキャリバー RRM7309-C」を搭載しているのだ。自社製造のこのムーブメントは、従来の汎用ムーブメントよりも長い主ゼンマイを使用しており、最大で80時間駆動を実現している。加えて、権威あるスイスC.O.S.C.認定クロノメーター検定(日差−4秒~+6秒以内)をクリアした後に、自社にてより厳格な精度テストとして日差−2秒~+4秒以内を基準とする独自の「BALLオフィシャル スタンダード」もパスしている(現在時点では、「エンジニア M エンドゥランス」と「エンジニア アウトライアー」のみ同規格に準拠)。要するに、同社屈指の精度を誇りながら、およそ3日間着用していなくても動き続けるロングパワーリザーブを実現しているのである。


↑上が一般的な汎用ムーブメントのの主ゼンマイ。下がより長い「BALLキャリバー RRM7309-C」の主ゼンマイ。パワーリザーブの延長は、直接的にユーザーの利便性の向上に繋がる。

 

そしてボール ウォッチはクラシックスタイルの「トレインマスター」の一部を除き、防水性や耐衝撃性、耐磁性といった機械式時計のウィークポイントを克服するスペックを実現している。これは開発理念「タフ&ディペンダブル(堅牢と信頼性)」に基づく仕様で、「ロードマスター M パーシビア」においても100m防水、耐衝撃性5,000Gs(高さ1.0mから自由落下にて木の床に落とした時に受ける衝撃と同等の衝撃)、耐磁性4,800A/mという通常の機械式時計を上回るスペックを備えているのだ。これらをベースに、スタイリッシュなデザインと自社ムーブメントを融合し、40万円台前半のプライスを実現していることも驚くべき点といえるだろう。


ケースバックには、風防と同じく傷に強いサファイアガラスをセット。ここを通して、搭載されているボール ウォッチのマニュファクチュールムーブメント「BALLキャリバー RRM7309-C」を鑑賞できる。

 

今回、トレンドカラーとして話題のアイスブルーが定番色ブラックに加えて文字盤バリエーションに加えられている。フレッシュな印象を与えるアイスブルー、汎用的に使えるブラックのセレクトは迷いどころだろう。いずれにおいても、針とインデックスに立体形状のマイクロ・ガスライトが計16個セットされており、昼夜を問わずに明瞭な視認性をもたらす。なお自発光タイプのマイクロ・ガスライトは、暗闇では12時位置と秒針のみがイエローに、それら以外はライトグリーンに光る。そして3時位置にはお馴染みのカレンダー表示がレイアウトされているが、直上のサファイアガラスに拡大鏡をセットすることで読み取りやすいデザインとなっている。


↑内側に蛍光塗料を塗布したガラス管にトリチウム(H3)を充填したマイクロ・ガスライト。四六時中自発光し、10年以上も継続する。

 

機械式時計のスペックや仕上げのクオリティは年を追うごとに進化している一方で、そのプライスは年々高騰し続けている。物価や人件費の上昇、為替レートも関係しての価格改訂のため致し方ない処置ともいえるが、機械式時計を複数本コレクションしづらい環境になったり、初めて本格的な腕時計を手に入れようと決心した人が購入しにくい価格帯では、時計のマーケットが縮小化するばかり。その中においてボール ウォッチは、オリジナリティを突き詰めながらリアリティのあるプライスのタイムピースを生み出し続けている。そこには、アメリカの繁栄の象徴である鉄道を支えた由緒正しき出自に裏打ちされた、時刻表示の正確性、堅固な外装から成る信頼性、そして手工業と機械工業をバランス良く組み合わせたコストパフォーマンス性があり、ボール ウォッチをさらなる高みへ押し上げる原動力となっているのだ。


ボール ウォッチ「ロードマスター M パーシビア」 Ref.NM9052C-S1CJ-BK 42万9000円/自動巻き(自社製BALLキャリバー RRM7309-C)、毎時2万8800振動、80時間パワーリザーブ。904Lステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット、反射防止処理済みサファイアガラス。針・文字盤に16個の自発光マイクロ・ガスライト。直径40mm、厚さ14mm。100m防水。

 

発売開始を記念した期間限定【M PERSEVERER Campaign】を実施

「ロードマスター M パーシビア」のリリース開始を告げるキャンペーンとして、「M PERSEVERER Campaign」がスタート。2025年1月13日(月・祝)までの期間中に、ボール ウォッチ日本公式オンラインブティック、またはボール ウォッチ正規販売店にて「ロードマスター M パーシビア」を購入すると、もれなく「オリジナル・ワインダー(非売品)」がもらえる。詳しくは下記の問い合わせ先まで。

 

問い合わせ先:ボール ウォッチ・ジャパン TEL:03-3221-7807

ボール ウォッチ日本公式オンラインブティック:https://www.ballwatch.co.jp/

※価格は記事公開時点の税込価格です。

Text/山口祐也(WATCHNAVI)

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