時計の祭典GPHG 2025:ブレゲ、ゼニス、ショパール、ダニエル・ロート、ジェラルド・ジェンタが受賞
2025年ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)において、【ブレゲ(BREGUET)】、【ゼニス(ZENITH)】、【ショパール(CHOPARD)】、ダニエル・ロート、ジェラルド・ジェンタの5つの名門ブランドが、それぞれの部門で栄冠を手にした。ブレゲは最高賞“Aiguille d’Or(金の針賞)”、ゼニスはクロノメトリー賞、ショパールはスポーツウォッチ部門とレディース・コンプリケーション部門、ダニエル・ロートはタイムオンリー部門、ジェラルド・ジェンタはレディース部門で受賞。それぞれの受賞作は、ブランドの伝統と革新性を体現するとともに、ジュネーブの舞台でその卓越した技術力と美意識を世界に示した。
クラシック スースクリプション 2025が金の針賞を受賞
ブレゲはジュネーブ時計グランプリ(GPHG)において、最高賞である“Aiguille d’Or(金の針賞)”グランプリを「クラシック スースクリプション 2025」で受賞した。この賞は全カテゴリーを通じて最も優れた時計に授与されるもので、時計業界を象徴する最高栄誉である。
「クラシック スースクリプション 2025」は、創業250周年を祝うアニバーサリーモデルとして発表された一作であり、アブラアン–ルイ・ブレゲの革新的精神へのオマージュを込めたものだ。18世紀末のスークリプション・ウォッチに着想を得ており、一見シンプルな外観の中に新たな技術的解釈を宿す。一本針表示の構成や、スークリプション・キャリバーおよびタクトウォッチからの引用によって、歴史的デザインコードを現代的に再構築している。
特徴として、サテン仕上げのケース、シュヴェ型ガラス、グラン・フーエナメル文字盤、シークレットサイン、手仕上げのブルースチール製ブレゲ針が挙げられる。ケースバックには、手彫りの「ケ・ド・ロルロージュ」ギヨシェ模様と、創業者の言葉を刻んだ特別装飾が施される。
ブレゲは受賞に際し、250周年の節目で最高賞を得たことは大きな名誉であり、本作のみならず、メゾンを支える全スタッフの情熱と献身への賛辞でもあると述べ、深い謝意を示した。
問い合わせ先:ブレゲ ブティック銀座 TEL.03-6254-7211 https://www.breguet.com/jp
G.F.J.がクロノメトリー賞に輝く
ゼニスのG.F.J.は、第25回ジュネーブウォッチグランプリ(GPHG)においてクロノメトリー賞を受賞した。本作は、ゼニスが長年追求してきた精度とクロノメトリーの伝統を体現するタイムピースである。創業者ジョルジュ・ファーブル=ジャコにちなんで名付けられたG.F.J.は、160周年を記念して再構築された伝説的キャリバー135を搭載する。オリジナルの精神を尊重しつつ、大型テンプ、ブレゲひげゼンマイ、ストップセコンド機構、72時間パワーリザーブなどを備え、現代の最高精度を実現している。COSC認定も取得し、技術力と芸術性の融合を示す。
39mmプラチナケースに収められた文字盤は深いラピスラズリで、天然金色インクルージョンと「ブリック」ギヨシェ模様を配し、ル・ロックルのマニュファクチュールへのオマージュとした。CEOブノワ・ド・クレークは、クロノメトリー賞の受賞をゼニスの伝統と価値観への評価と位置付け、過去の功績を称えつつ未来に向けたコミットメントを示した。GPHGは「時計業界のオスカー®」とも称され、世界の時計製造の卓越性を広く讃えるイベントである。
問い合わせ先:LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス TEL.03-3575-5861 https://www.zenith-watches.com/ja_jp
アルパイン イーグルとインペリアーレ フォーシーズンズが部門賞を受賞
2025年ジュネーブ時計グランプリにおいて、ショパールは「スポーツウォッチ」部門および「レディース・コンプリケーション」部門で受賞した。授賞式は11月13日、ジュネーブのBFM劇場で開催され、共同社長のキャロライン・ショイフレとカール‐フリードリッヒ・ショイフレが壇上に上がった。
スポーツウォッチ部門で受賞した「アルパイン イーグル 41 SL ケイデンス 8HF」は、41mm径セラマイズドチタンケースにオレンジアクセントのピッチブラック文字盤を備え、クロノメーター認定の高振動ムーブメント「Chopard 01.14-C」を搭載する。軽量かつスポーティーな仕上がりである。
レディース・コンプリケーション部門での受賞作「インペリアーレ フォーシーズンズ」は、ダイヤモンドセットの18Kホワイトゴールドケースを持ち、季節に応じて装飾が変化する回転ディスクを備えたキャリバー「L.U.C 96.31-L」を搭載する高貴なタイムピースである。ショパールは長年にわたりGPHGで複数の受賞歴を持ち、2024年にはエコ・イノベーション賞とジュエリーウォッチ賞をダブル受賞。2017年にはミニッツリピーター「L.U.C フル ストライク」で最高賞「金の針賞(Aiguille d’Or)」も受賞しており、メゾンの卓越性と革新性を示す成果となっている。
問い合わせ先:ショパール ジャパン プレス TEL.03-5524-8922 https://www.chopard.jp/
エクストラ プラット ローズゴールドがタイムオンリー部門賞を獲得
第25回ジュネーブ時計グランプリにおいて、ダニエル・ロートの「エクストラ プラット ローズゴールド」が「タイムオンリー」部門賞を受賞した。本作は1990年代のブランド黎明期を思わせるウルトラスリム・ドレスウォッチであり、新開発キャリバーDR002を搭載する。開発と組み立ては「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が担当し、ロート氏の伝統とハイウォッチメイキングの精神を継承している。
ケースは5Nローズゴールド製で、象徴的なダブルエリプス形状と中央のひだ装飾を踏襲しつつ、ラグの再設計により装着性を向上。厚さ7.7mmに抑えたプロポーションがエレガントな印象を強める。ダイアルはソリッドホワイトゴールドに手彫りギヨシェを施し、5Nローズゴールドのチャプターリングを組み合わせたツートーン仕様である。
オープンケースバックからはキャリバーDR002の仕上げを鑑賞できる。ムーブメントはダブルエリプスのケース形状を反映し、大型ホイールと面取りされたブリッジなど、クラシカルな構造を持つ。4Hzのフリースプラング機構と可変慣性錘を備えたテンプは安定した精度を確保し、大型主ゼンマイにより65時間のパワーリザーブを実現する。ロート氏の理念を現代的に再解釈した本モデルは、ブランドの新章を象徴する存在である。
問い合わせ先:https://www.danielroth.com/
ウルサン ファイアーオパールがレディース部門賞を受賞
第25回ジュネーブ時計グランプリにおいて、ジェラルド・ジェンタの「ジェンティッシマ ウルサン ファイアーオパール」が「レディース」部門賞を受賞した。本作は「ジェンティッシマ ウルサン」コレクションの4作目であり、イエローゴールド製ケースの外周に137個のファイアーオパールをネジ留めした華やかなモデルである。宝石の鮮烈な色調を反映したオレンジのカーネリアン製ダイアルや、ファセットカットのクリスタルなど、随所にジェラルド・ジェンタ氏のデザイン哲学が息づく。
「ウルサン」の着想は1994年、コルシカ島でウニの造形に魅了されたジェンタ氏が描いたスケッチに始まる。彼の妻エヴリン氏は、同作がジェンタ氏にとって特に誇り高い作品であったと語り、宝石の光を眺めることを愛した姿を想起している。
ファイアーオパールは古来「生きる喜び」や創造性の象徴とされ、その意味がアーティスティック・ディレクターのマチュー・エジの創作意欲を刺激した。仕上げを担当した「ラ・ファブリク・デュ・タン」の職人は、デザインを引き立てるため細部まで配慮し、「ゼニス エリート」ムーブメント用に専用ローターを設計したと述べている。本作はジェンタ氏のレガシーを現代的に再解釈し、コレクションに新たな章を開く存在である。
問い合わせ先:https://www.geraldgenta.com/
Text/平野翔太(WN編集部)