【開発責任者インタビュー】タフウオッチ「デブグル」から見るボール ウォッチの新時代

「マイクロ・ガスライト」と「セーフティロック・クラウンシステム」を引っ提げ、2004年に日本に上陸したボール ウォッチは、その優秀な機構により時計ファンから注目を集めました。
それ以降も、自動巻きローターをロックする「アモータイザー耐衝撃システム」や、リューズビルトイン型の自動減圧バルブなど、約10年のうちに数多くの独創機能の製品化を行ってきました。

そして、2017年には新たな特許技術を駆使した「デブグル」を作り上げた同社。
同製品について、最高執行責任者(COO)のダニエル氏と、開発責任者のヴァン氏に話を伺いました。

ボール ウォッチ最高執行責任者(COO)
ダニエル・アリオト氏
2006年よりボール ウォッチに入社後、ヴァイスプレジデントに就任。
現在は、COOとして同社のあらゆるプロジェクトを取り仕切る。

 

R&D部門「パトリック・ラボ」部門長
フィ・ヴァン・トラン氏
グルーベル・フォルセイでひげゼンマイ分野を担当後、ペキニエにて自社ムーブメントの開発に貢献。2015年5月より現職に就任。

「私は設計の責任者ですが、前職では実際にムーブメントを触っていた時計師でもあります。そこで、ボール ウォッチの独自技術を見たときに、メンテナンス性を高める必要があると感じました。たとえばスプリングロック。従来の方式では、ひげゼンマイが見えにくく、中心を出すのが非常に難しかったんです。そこで、中が見えるようにスケルトン化しました。あとは、緩急針もずれないよう新たに『スプリングシール』を加えました。これで、あらゆる衝撃にあってもより強固な精度維持が可能になっています」(ヴァン氏)

 

もちろん、デブグルにおけるヴァン氏の功績はこれだけではありません。象徴的な違いが、レッドカラーのインナーケースです。

「これは、エラストマーを主成分とする合成素材で、外部のスイス企業と共同開発したもの。日本の耐衝撃時計は点で支える構造ですが、機械式ムーブメントは重いので全体を取り囲むように素材を配置して緩衝材としています。デブグルでは、リューズ周りも変更しました。スクリュー式のカバーを新たに取り付けることで、徹底的に衝撃からムーブを保護したのです。また、巻き真を支えるガスケットも改良を施し、軸が折れるような故障を未然に防いでいます」(ヴァン氏)

「実は、ボール ウォッチが創業当時に手がけていた鉄道時計は、整備が済むとリューズを動かせないように固定してから現場の人々に渡していたそうです。こうした事実から生まれたのが『セーフティロック・クラウンシステム』であり、今回ヴァンが開発した新型のコンセプトにもなっているのです」(ダニエル氏)

 

すでに完成度の高かったエンジニアハイドロカーボンは、ヴァン氏の手によって劇的な変貌を遂げました。これほどの変化は、まさに「新時代の到来」といっても過言ではないでしょう。

「熱心な時計愛好家はご存知かもしれませんが、私が責任者となって自社製ムーブメントを開発中です。そう遠くない時期に皆さんにお披露目できる予定ですので、お楽しみに」(ヴァン氏)

 

驚くべきは、これほどの改良を施してなお、従来同様の「ボール ウォッチプライス」を保っている点。手の届く価格帯で、圧倒的なスペックを具現化し続ける同社ほど、「ハイコストパフォーマンス」という表現が相応しいブランドは、他にありません。

「ボール ウォッチ エンジニア ハイドロカーボン デブグル」
(※世界限定1000本発売)

24万8400円/Ref.NM3200C-SJ-BKRD 
自動巻(Cal.RR1102-SL)。ステンレススチールケース。直径42mm。100m防水

ムーブメントを囲む耐衝撃システムは、エッフェル塔やスニーカーの緩衝構造に着想を得て素材から開発し、10m上空からコンクリートへの落下試験に耐えた高性能を誇っています。この機構はボール ウォッチの特許技術。もちろん針とダイアルに合計14個の自発光マイクロ・ガスライトがセットされており、視認性にも優れています。

歪みや折れなどの破損事故を防ぐ「耐衝撃クラウンプロテクション」は、リューズをブラックのステンレススチール製カバーで締め込み、保護する方式を採用。

 

機械式時計の概念を覆す、衝撃のタフネスウオッチ。この一本があれば、ハードな現場から会議室での交渉まで、毎日めまぐるしく大勢の人々と対峙する人の役に立つことは間違いありません。