オーデマ ピゲが複雑なパーペチュアルカレンダーの操作を全自動で行う革新的なウオッチボックスを開発
創業150周年を迎えたスイスの名門時計ブランド【オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)】が、ドバイ未来財団(DFF)との2年間にわたるパートナーシップを経て、パーペチュアルカレンダーを自動で調整し、巻き上げるウオッチボックスの開発を発表した。この画期的なデバイスは、先日の「ドバイウオッチウィーク」で初公開され、大きな注目を集めた。
複数の技術が融合した革新的なウオッチボックス
今回発表されたウオッチボックスは、オーデマ ピゲが持つ時計作りの専門知識と哲学に、DFFのロボティクスおよび応用研究イニシアティブであるDubai Future Labs(ドバイ フューチャーラボ)の最先端技術が融合することで誕生。機械工学、ロボット工学、コンピューティング、AIといった複数の技術が交差するハイテクガジェットとなっている。「キャリバー7138」を搭載した直径41mmのパーペチュアルカレンダー搭載モデルに対応しており、時計を収めて蓋を閉じるだけで完全自動の設定プロセスがスタート。約5分間でシステムが調整を必要とするカレンダー表示を識別し、ユーザーの操作なしで修正を実行する。従来なら複雑な手順を要したパーペチュアルカレンダーの調整をボタンや工具を使うことなく、正確かつ安全に完了させるこのウオッチボックスは、複雑機構を扱ううえでの心理的ハードルを取り除く画期的な発明といえるだろう。
技術的には、機械式モジュールが人の指先のような精巧な動きを再現し、時計のオールインワンリューズを介してすべての調整を実行。内部に組み込まれた視覚モジュールがダイヤル上のカレンダー表示や針の位置を読み取り、その情報を多様な文字盤に対応するよう訓練されたAIがリアルタイムに解析することで、個別に適応する設定となっている。これら一連の操作は専用ソフトウェアによって統括され、設定の自動化に加えてエラー検知やBluetooth、フィードバックの伝達までが一元管理される。
画期的機能に加え、洗練されたデザイン性も特徴
また、デザイン面でも特筆すべき造形と質感が追求されている。ウオッチボックスは全長20cm×全幅12cm×全高15cm、重量約2kgとコンパクトなサイズ感で、側面はソフトタッチ、ボタンやパーツにはポリッシュメタルのディテールを施し、時計を収める行為自体を特別な体験に変える。直線的なフォルムの中にわずかな曲線を織り交ぜたその外観は、インテリアのテイストを選ばず上質な存在感を放ち、単なるツールではなく“オブジェ”と呼ぶにふさわしい仕上がりだ。
今回のプロジェクトは、複雑なパーペチュアルカレンダー機構をより使いやすく、より身近なものにするというブランドの継続的な取り組みに端を発している。結果、伝統的な時計製作の枠を超えた異分野の知見との融合が、業界全体に新たな革新をもたらすことを証明した。この先にオーデマ ピゲが描く未来への期待は、ますます高まるばかりだ。
問い合わせ先:オーデマ ピゲ ジャパン TEL.03-6830-0000 https://www.audemarspiguet.com/ja
Text/三宅裕丈