マスターピースを生む新製造拠点【オーデマ ピゲ】ル・ブラッシュに「アルク」完成
スイスの名門時計ブランド【オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)】が、本拠地であるスイスのル・ブラッシュに新たな製造拠点「アルク(Arc)」が完成したことを発表した。ブランドの長期的なビジョンを力強く支え、さらに未来へと前進させる拠点となる。
総面積2万3700平方メートルに及ぶ巨大施設
アルクは総面積2万3700平方メートルにも及び、これまでジュウ渓谷の各地に点在していた専門技術者や職人たちのチームを一つに集約するために建設された。321メートルという圧倒的な長さを誇るガラスファサードが印象的なこの建物は、工場としての役割に加えて、部門を超えた連携と自由な意見交換を促進する場所としての機能も備えている。設計を担当したジュネーブの建築事務所「de Giuli & Portier」は、第四次産業革命とも呼ばれるインダストリー4.0のコンセプトを色濃く反映させ、将来的な働き方の変化にも柔軟に適応できるインフラを構築。オーデマ ピゲ CEOのイラリア・レスタ氏は新たな製造拠点について、次のように語る。「この新しい建物によって、オーデマ ピゲは従業員のウェルビーイングと専門性への投資を続けています。協働とワークフローを最適化するために設計されたこの空間の柔軟性は、ブランドの未来を築いていく中で進化するニーズに適応することを可能にします」
高パフォーマンスを生む静的と動的の2つの空間
アルクの建物内部は、自然光がたっぷりと差し込む開放的な空間設計がなされており、最大700名の従業員が快適に勤務できる環境が整えられている。透明なパーテーションや広々とした会議室がチーム間のコミュニケーションを活性化させる一方で、極限の集中力が求められる時計製作において最適な静寂ゾーンも設置。ガラスファサードには最新の電気調光技術が採用されており、外光や熱の強さに応じて自動で色調が変化するため、景観を損なうことなく常に最適な室内環境が維持される。
最新の集中型ストレージシステムも新たに導入
この施設には、“技術的心臓部”となる集中型ストレージシステムも新たに導入されている。高さ15メートルの庫内で66台のロボットが稼働するGTP(Goods-to-Person)システムは、シャトルを用いて部品を各ワークショップへ迅速に配送。これにより、1回の部品受け取りにつき約15秒の短縮が可能となり、2030年までには1時間あたり最大1200回もの動作を実現する見込みとなっている。こうした自動化の恩恵は、単なる効率化にとどまらない。一部の手作業をシステムに委ねることで、職人たちがより高度な技能や精密さを要するクリエイティブな作業に、より深く没頭することを可能にしている。
スイス最高水準の環境基準「Minergie-ECO®」を取得
アルクはサステナビリティへの配慮も十分で、スイス最高水準の環境基準である「Minergie-ECO®」認証を取得し、屋上には昆虫や鳥類の生態系に配慮したグリーンルーフを設けている。エネルギー面では、隣接する木材燃料ヒーティングプラントからの再生可能エネルギーを利用し、太陽光パネルによる電力供給も確保。さらに、建物の周囲には自然の排水路へ水を誘導する80cmの壁を設置し、ガラスファサードには鳥の衝突を防ぐ意匠を凝らすなど、ジュウ渓谷の自然環境との共生が徹底されている。
過去を護り、さらに未来を切り開くための存在
オーデマ ピゲが創業の地であるル・ブラッシュに巨額投資を行い、最新のテクノロジーを携えて誕生したアルク。創業者一族による経営を守り続けている同社にとって、この新拠点は過去150年を超える遺産を保護する砦であり、同時に未来を切り拓くための強力なエンジンとなるはずだ。
問い合わせ先:オーデマ ピゲ ジャパン TEL.03-6830-0000 https://www.audemarspiguet.com/ja
Text/三宅裕丈