日本生まれの究極クオーツウオッチにGMT針を初めて追加! このグランドセイコー新作は出来過ぎでしょ!?
セイコーは、1969年に世界で初めてクオーツ腕時計の量産化を実現した時計メーカーとして世界的に知られています。このクオーツウオッチのパイオニアが、「究極」を目指してグランドセイコー用に開発したムーブメントが「キャリバー9F」です。誕生当時から年差精度を誇り、基本設計もほぼ変わることなく25年間作られ続けてきた定番に、このたび初めてGMT機能が追加されました。四半世紀の歴史に加わる要注目作の出来栄えを見ていきます。
クオーツのパイオニア、そして最高峰ブランドに相応しい「究極」のクオーツ時計
世界トップレベルの機械式時計を目指して1960年に誕生したグランドセイコーは、10年以内のうちに海外の精度コンクールの上位常連になった国産最高峰ブランド。グローバルブランドとなった現在は、世界の腕時計市場に真っ向から挑戦を続けています。
そんなグランドセイコーにクオーツムーブメントが搭載されたのは、1993年のこと。「キャリバー9F」は、ブランドの冠に相応しい“究極のクオーツ”を目指して開発されたものでした。
このキャリバー9Fは、機械式時計よりもトルクの弱いクオーツ時計では不可能だった長くて太い針を回せるようにした「ツインパルス制御モーター」や、秒針のふらつきを軽減する「バックラッシュ・オートアジャスト機構」、カレンダーを瞬時に切り替える「瞬間日送り機構」を搭載。ローター部を組み合わせ軸受けで覆い保油性を高めると同時に、電池交換時における輪列部への異物の侵入を防ぐ「スーパーシールドキャビン構造」も採用するなど、精度追求に加えて見やすさと美しさ、メンテナンス性に至るまで徹底的にこだわり抜かれた設計となっていました。
特筆すべきは、裏蓋で隠されてしまうにもかかわらず、ムーブメントに装飾を施し、ゴールド色で美しく仕上げていること。まさに最高峰のブランドに見合ったハイレベルなクオーツムーブメントであり、それが誕生以来25年間にわたって市場から高い評価を獲得し続けている理由にもつながっているのです。
最新作では、この四半世紀に及ぶキャリバー9Fの歴史で初めて4本目の針を備えた「キャリバー9F86」が搭載されました。ムーブメントの写真は公式サイトに掲載されているので、興味のある方はご確認ください。
追加された1周24時間のGMT針は、異なる時間帯を表示するためのもの。グランドセイコーのメカニカルモデル、スプリングドライブモデルではすでに定番機構ではありますが、これにクオーツモデルも加わったわけです。
たかが針1本、されど針1本。
先ほども触れましたが、クオーツ時計はトルクが弱いため、針を追加するのも大変な苦労が伴います。それが、グランドセイコーのような視認性と美しさにこだわるデザインであれば、GMT針という大型の針の追加には並々ならぬ開発努力があったことでしょう。
実際に、セイコーは、トルクを最大限に生かした長く太い針に合わせるため、より剛性の高い部品で構成するなど、輪列部の見直しを図ったそう。その結果、ご覧の通りのGMT針を備えることができたわけです。
文字盤を回る4本の針には、それぞれの針を取り付ける軸が互いに干渉せずに、独立して回転する「4軸独立ガイド構造」と呼ばれる仕組みが用いられています。これにより、4本の針が単独でなめらかに回転できるようになるとのこと。
24時間表記を持つ固定ベゼルと対応する色分けが施されたインナーリングで、第2時間帯の昼夜判別も直感的に把握できる点も大きな特徴です。
これほどこだわり抜いた設計になっているのは、もちろんグランドセイコーに搭載されるムーブメントだから。日本の最高峰ブランドのために開発された新たなクオーツGMTウオッチは、紛れもなく世界最高峰の実用時計でもありました。