IWC CEO クリストフ・グランジェ・ヘア氏が語る「2019年新作で伝えたかったこと」

今年のSIHHブースでもメインを飾ったスピットファイアやトップガンなど、IWCらしいタイムピースを披露してくれた同社。これらの新作に込めた思いを、CEOに聞きました。

多彩な新作で証明した素材のスペシャリスト

IWC CEO クリストフ・グランジェ・ヘア氏
1978年、ドイツ生まれ。スイスで建築家の経験を積んだのち、2006年にIWC入社。複数の部門でキャリアを積み重ね、2017年より現職に就任

「今年はスピットファイアとト ップガンから複数のモデルを発表しました。これらの新作に関連して、伝説的な英国製の戦闘機『スピットファイア』で世界を一周するというプロジェクトも進めています。

操縦するのは、英国人パイロットのスティーブ・ ボールトビー・ブルックスと、マット・ジョーンズの二人。経験豊かな彼らが航続距離750㎞のスピットファイアに乗り、約100の区間を経由しながら4万3000㎞もの距離を飛行するのです。その壮大な計画の主役となるのが、ブースに展示しているシルバースピットファイア。約14名の専門家が2年以上にわたってレストア・プロセスに携わり、美しい光沢を生み出すための研磨方法にもこだわっています。この世界一周飛行は、 必ず記録に残ることでしょう」(ヘア氏)

SIHHのIWCブースに展示されたスピットファイアの実機。この機体で、世界を一周する計画が進行中

壮大なプロジェクトとともに 発表された新たな「スピットフ ァイア」。これらはシルバーで 統一された戦闘機の姿に着想を得てきた従来機と打って変わり、 グリーンダイアルにブロンズケ ースというコンビネーションが登場。新色のブラックダイアル にもベージュ夜光を施すなど、 大きく印象を変えてきました。

パイロット・ウォッチ・クロノグラフ・スピットファイア 79万9200円/Ref.IW387902
「新しいカラーのクロノグラフは直径41㎜で着けやすさも魅力。有害な物質を出さずに変化が楽しめるブロンズを使っているんですよ」(ヘア氏)

「今年のスピットファイアは、 機体の持つ歴史が重要でした。 新作のヴィンテージルックは、 1940年前後の時代背景を考慮したもの。同じ機体からインスピレーションを得ていることに変わりはありません」

では、スピットファイアと共 に発表されたトップガンの新素材については、どのような経緯で開発されたのでしょうか。

「セラミックもチタンもIWC の得意な素材ですが、それぞれに長所と短所があります。それを補うためにどうすれば良いか をアメリカのラボと共同で研究して出来上がったのが、セラタニウムです。軽く、割れず、傷も付きにくい。コーティングではないので、内部まで黒いのも特徴です。

同じく今年の新素材 としてハードゴールドもあります。従来の18 Kに比べて5〜10倍の硬さを実現し、ビッグ・パイロット・ウォッチの大型ケー スでも傷が付きにくくなっています。それぞれの製法? もちろん秘密です(笑)。ただ、これらの発表でIWCがマテリアルのスペシャリストであることは、 改めて証明できたでしょう」

 

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