平成時計の覚書「平成元年〜10年」編――G-SHOCKの躍進、A.ランゲ&ゾーネの復活
2019/4/4 7:00
5月から新元号「令和(れいわ)」がスタート。バブルの崩壊、2度の大震災とオウム事件、インターネットやスマホの普及など、激動の「平成」を名機とともに振り返ります。【平成元年〜10年編】
クオーツ危機を乗り越えたスイス時計に資本再編の嵐
わずか7日で終わった昭和 64年に替わり、「平成」が始まりました。 当時の日本経済はバブルの真っ盛りで、同年12月には日経平均株価が3万8915円(終値)の史上最高価格を記録しています。
時計界では1969年日本発の凄まじい"クオーツショック" から、スイス時計界が立ち直りかけた時期にあたります。機械式時計は"時間を知る"という実用性だけではない、工芸的な価値を獲得することで、クオーツ危機は乗り越えられると考え、休眠状態にあった老舗ブランドも息を吹き返しました。
また、東西に分裂していたドイツが統合したことで古豪「A.ランゲ&ゾーネ」が 復活し、フランク・ミュラーの天才ぶりに世界の機械式時計ファンが舌を巻きました。
こうして1990年代にかけて本格的な機械式時計界の復興が始まると、巨大資本によるグループ再編が激化。1993年にヴァンドーム グループ(後のリシュモン グループ)が設立さ れ、LVMHの時計界本格参入(1999年)につながってきました。 これらに対し、パテックフィリップやロレックス、ブライトリングなどは、独立企業として独自の戦略を立て始めたのでした。