ウオッチナビが選んだ腕時計の進化を体現するクロノグラフ20選――カルティエ編

腕時計の発展を牽引する現代の優れたクロノグラフを、ウオッチナビが厳選して紹介する新連載。不動の人気を誇るクロノグラフは、ブランドがあらゆる研究や開発を行い、その技術の進歩を確認できるジャンルともいえる。今回は、誰もが知る名門ジュエラーでありながら、世界初の紳士用腕時計を生み出すなど、ウオッチの歴史も深いカルティエの最新クロノグラフを取り上げる。

カルティエ「サントス ドゥ カルティエ クロノグラフ」Ref.WSSA0017 100万3200円/自動巻き。毎時2万8800振動。約47時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース。ラバーストラップ(アリゲーターストラップ付属)。縦51.3×横43.3mm、厚さ12.5mm。100m防水

サントスのパイオニア精神をモノプッシュ式で受け継ぐ

世紀のイノベーションは、ふたりの会話から始まった。ひとりは「操縦悍から手を離さずに時間を確認できる時計が欲しい」と訴えたブラジル人飛行家、アルベルト・サントス=デュモン。もうひとりは「ならば時計を腕に巻けばいい」と着想したカルティエの3代目当主、ルイ・カルティエ。それから3年後の1904年に完成したのが、“世界初の紳士用腕時計”とされる「サントス」である。

丸型ムーブメントをあえて角型ケースに収め、都市建築など近代化する時代背景をベゼルのビスで表現した。エッジを効かせたケースからラグへの曲線、視認性に優れた白い文字盤に黒いローマ数字という、実用的にしてエレガントな意匠も秀逸だった。そして何より、時計を腕に巻いて装うというライフスタイルを創造し、世に定着させた功績はとてつもなく大きい。

生涯に22体の飛行マシンを設計したサントス=デュモンは近代航空工学の第一人者であり、ライト兄弟と並ぶ名声を得る“飛行機の父”だ。1906年に欧州で初めて60mの動力飛行に成功した彼は、翌月の2回目の挑戦で220mを21秒で飛行したという。カルティエが今年発売した新しいクロノグラフがあれば、もっと簡単にそのスピ―ドを計測できていたはずだ。

その新たにサントスコレクションに加えられた「サントス ドゥ カルティエ クロノグラフ」は、初代サントスから受け継ぐ優美な角型シルエットを守るため、左側にクロノグラフのスタート/ストップボタンを設け、リセットはリューズのプッシュで操作するユニークな仕組みを取り入れた。クロノグラフでも独自の美学を貫く姿勢はさすがである。また、簡単にストラップが交換できるインターチェンジャブル機構を搭載しており、着用シーンや気分によってラバーとアリゲーター革を使い分けて楽しむこともできる。

問:カルティエ カスタマー サービスセンター TEL.0120-301-757
https://www.cartier.jp/

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