ウオッチナビが選んだ腕時計の進化を体現するクロノグラフ20選――ブレゲ、ブルガリ、パネライ編

腕時計の発展を牽引する現代の優れたクロノグラフを、時計専門誌・ウオッチナビが厳選して紹介する連載4回目は、陸・海・空の各ステージにおける理想的な時計デザインを追求した3モデルを解説。いずれもブランドを代表するポジションに位置づけられており、複雑な機構のクロノグラフにプラスαの機能を備えているのが特徴だ。

 

5代目ブレゲが開拓した航空分野の功績を受け継ぐ名機

ブレゲ「タイプ XXⅠ 3817」Ref.3817ST/X2/3ZU 165万円/自動巻き(Cal.584Q/2)。毎時2万8800振動。48時間パワーリザーブ。作動カム&キャリングアーム搭載。ステンレススチールケース。カーフストラップ。直径42mm。10気圧防水。問:ブレゲ ブティック銀座 Tel.03-6254-7211

ブレゲ5代目ルイ-シャルル・ブレゲは、ヘリコプターの原型を開発した偉人とされている。航空時計界に進出したブレゲ社がフランス軍からの要請を受け、1955年に完成させたタイプXXは、1980年代初頭までフランス空軍の制式装備品として使われていた実績を持つ。以後も着実に進化を続け、2004年に誕生した第5世代のタイプXXIは、秒・分のセンター同軸積算計を同時にフライバックできる仕様になっている。

 

“究極のエレガンス”を追求するための“世界最薄”というブルガリの冒険

ブルガリ「オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマティック」Ref.103068 207万3610円/自動巻き(Cal.BVL 318)。毎時2万8800振動。約55時間パワーリザーブ。コラムホイール&キャリングアーム搭載。チタンケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径42mm、厚さ6.9mm。3気圧防水。問:ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100

2014年の世界最薄トゥールビヨンに始まり、この世界最薄クロノグラフムーブメントで5回目のワールドレコードとなった。もちろん、記録達成のための薄型化ではなく、ブルガリの永遠のテーマ“究極のエレガンス”を体現するため、誕生したのがこのモデルである。水平クラッチ(キャリングアーム)とペリフェラルローターを採用し、GMT機能まで搭載しながら、3.3㎜厚に318個の部品を収める集積技術は、いまやブルガリの独壇場だ。

 

センター秒・分積算計と左プッシュボタンでアイデンティティを守る

パネライ「サブマーシブル クロノ ギョーム・ネリー エディション-47mm」Ref.PAM00982 235万4000円/自動巻き(Cal.P.9100)。毎時2万8800振動。72時間パワーリザーブ。コラムホイール&垂直クラッチ搭載。チタンケース。ラバーストラップ。直径47mm。300m防水。問:オフィチーネ パネライ Tel.0120-18-7110

パネライのクロノグラフは、1943年のイタリア海軍将校用「マーレ ノストゥルム」がルーツ。かたやサブマーシブルの起源は、1956年のエジプト海軍向け「エジツィアーノ」である。この2つの強烈な個性を橋渡しするのが、まさしく自社製のキャリバーP.9100。操作ボタンを左に、60分計はセンターにブルーで配してオリジナルの意匠を堅持した。最新作となる本機はフリーダイビング界のレジェンド、ギョーム・ネリーとのコラボレーションモデル。世界限定500本の希少な逸品だ。