ウオッチナビ注目のクロノグラフ――独自のキャリバー&ケースで大きく躍進「IWC パイロット・ウォッチ・ダブルクロノグラフ」
腕時計の売れ筋ジャンルのひとつ、機械式クロノグラフの誕生から1世紀を数える。その歴史において様々なメカニズムやデザインが生み出され、なおも進化は継続中だ。では、時代のニーズや最先端技術を生かした現在の傑作クロノグラフとは、いったいどのモデルだろう。そんな疑問に答える「ウオッチナビ注目のクロノグラフ」の今回は、IWCがさらなるマニュファクチュール化を進めるうえで象徴的とされるキャリバーを搭載した、漆黒の航空クロノグラフについて解説する。
自社製スプリットセコンドで航空時計をさらなる高みへ
スイス時計産業の中心から遠く離れ、ドイツ国境沿のシャフハウゼンで創業したIWC。この立地的不利と、米国人創業者という特異性、さらには既存メーカーに対抗するため、時計製作には革新的なアプローチが必要だったことが、やがてすべてを自作するマニュファクチュールへの発展につながった。あるいは後年、時計界には馴染みがなかったチタニウムやセラミックの採用という独創性を生み出す要因になったといえる。
1936年から始まるIWCパイロット系ラインに、1992年に加わった「ドッペルクロノグラフ」も特異なモデルだった。モデル名はドイツ語で、“ダブルクロノグラフ”のこと。確かに、当時はスイス時計界がクオーツショックを克服して、すでに本格的な機械式時計の復興が始まっていた。とはいえ、中間ラップタイムを計測できるスプリットセコンドは、クロノグラフの頂点を極める複雑機構。1歩も2歩も他社に先んじたダブルクロノグラフの存在は、IWCの先進性を示すものだった。
高い完成度ゆえにCal.79230は長らく現役で活躍した。その後継Cal.79420を搭載して、今年新たなスプリットセコンドが登場。セラタニウムという新素材を纏った、歴代一番の精悍な顔つきである。
問:IWC TEL.0120-05-1868
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