ミニマルウオッチ好き必見! 新しくなった渋谷PARCO「TiCTAC UPDATE」のための限定ドイツ時計

11月22日にグランドオープンした渋谷パルコ。リニューアルオープン当日には雨天にも関わらず代々木公園にまで伸びた長蛇の列ができるほど、大きな注目を集めたファッションビルである。その5階にある腕時計ショップ「TiCTAC UPDATE」を、オープン当日に取材した。

 

TiCTACでしか見られないドイツ時計「STOWA」が限定品を製作

TiCTACは、パルコの時計専門店として長らく全国各地のパルコ内で時計を販売してきたショップ。学生時代には、自分や彼女のための時計購入でお世話になった人も多いだろう。少なくとも筆者はそうだった。なにしろ有名ファッションビルに入っている時計専門店である。それだけで時計のセレクトは、信頼できるものだった。やがて時は経ち、いまや筆者もアラフォーのおじさんだ。いまさら渋谷パルコで見るものなどあるのだろうか、とオープン初日に目的地であるTiCTAC updateへ向かう道すがら各フロアを流し見したが、なによりも驚いたのが人の多さ。このショッピングの名所の復活を待ち望んでいた人のなんと多いことか! ファッションはもちろん、サブカル、アート、イベント、“カオス”なフードに至るまで、脳が喜ぶ刺激に満ち溢れており、ジェネレーションもジェンダーも飛び越えて楽しめるスポットが満載で、思わず本来の目的を忘れそうになってしまった。

正気を取り戻したところで5階のTiCTAC UPDATEに到着。この日は贅沢にも日本でTiCTACだけが取り扱っているドイツブランド「STOWA」のオーナー、ヨルク・シャウアー氏が来日しており、インタビューすることができた。

約20年にわたるTiCTACとシャウアーの絆

「TiCTACとは、約20年にわたってとても良好な関係を築くことができています。最初は、私のプライベートブランドである『シャウアー』の取り扱いから始まったんです。『シャウアー』は、機械式時計でハンドメイドである部分も多く、TiCTACの他のラインナップと比べても高額でした。それでも、取り扱いを継続し、私の時計の価値を認めてくれる顧客とも関係を繋げてくれました。ですから、本来なら私がオーナーとなって展開している『STOWA』も、基本的にはオンラインでの受注と、ヨーロッパのごくわずかの店舗でのみ流通させているのみですが、日本だけは特別にTiCTACへ納品することに決めたのです。

日本とドイツは、モノ作りの考え方がよく似ていると感じています。日本の“禅”の考え方にも通じると思いますが、STOWAのプロダクトにはバウハウスの精神が宿っているのです。つまり、過度な装飾を排除して機能の本質のみを追求すること。ミニマリズムな設計思想ですね。TiCTAC UPDATEの完成に際して製作した限定モデルも、バウハウス的な思想のもとに製作したパイロットウオッチがベースとなっています。大きすぎず、小さすぎず、シンプルだけれども時刻はしっかり読める。そんな特徴を持った時計を、あえてフルブラックにしました。

黒い針やインデックスは蓄光塗料でできているので、暗い場所では明るく光ります。手に取ったときには、ぜひ明るい場所と暗い場所とのギャップを楽しんでください」

独STOWA社オーナーのヨルク・シャウアー氏
STOWA「Flieger Verus 40」13万2000円 自動巻き(Cal.ETA2824-2)。ステンレススチールケース。直径40mm。5気圧防水。限定30本。渋谷PARCOの新生オープンを記念した日本限定モデル。フルブラックのダイアルに、ベースモデルから踏襲されたサンドブラスト仕上げのケースが個性的
ブラックの針とインデックスは蓄光タイプになっており、暗所では別の顔を見せる

バウハウス100周年を記念した限定モデルも製作

2019年はバウハウス創設100周年の節目だったこともあり、今年は多くのドイツ系ブランドがアニバーサリー関連アイテムを出していた。シャウアー氏も同じく、STOWAからバウハウス100thアニバーサリーウオッチを発表している。

「この時計はフルポリッシュ仕上げを施した繊細なケースが特徴です。もしかしたら見たことがあるデザインと思われるかもしれませんが、STOWAというブランド自体は、ドイツで1927年に創業されています。長らく歴史に埋もれかけていた存在だったのですが、あまりにも魅力的な歴史を持つブランドだったので、1996年に私がブランドを買い取ったのです。いま流通しているドイツウオッチのシンプルな文字盤は、その多くをSTOWAが早くから作っていたもの。いわば、私たちがオリジナルといっても過言ではありません」

写真は、バウハウス100周年を記念した日本限定モデル第3弾。19万8000円 自動巻き(Cal.ETA2824-2)。ステンレススチールケース。直径36.5mm。カーフレザーストラップ。5気圧防水。アラビアとローマンの数字を組み合わせた文字盤が、シンプルな中にも存在感を示す

 

最後に、“アップデート”されたTiCTACの印象をシャウアー氏に聞いた。

「渋谷で注目を集めるショッピング施設に自分のタイムピースが並ぶことは、とても喜ばしいこと。時計の魅力がダイレクトに伝わるシンプルな内装もいいですね。TiCTACのラインナップは、若い人に向けたものが多いと思いますが、機械式時計を初めて購入してみようという人や、少し人とは違う時計が欲しいという人ならSTOWAは最適だと思います。渋谷パルコを訪れる高感度な人々に、私たちのブランドや、TiCTACのラインナップが琴線に触れることを願ってやみません」