《~12/16まで開催》「カルティエ、時の結晶」展で〝時〟を意識し、回遊する新たな鑑賞体験を

国立新美術館(東京・六本木)で10月2日からスタートした「カルティエ、時の結晶」展も、閉幕まで残すところあとわずかとなった。“王の宝石商”と呼ばれるカルティエのコレクションを、約300点も公開する一大スケールの展覧会とあって、連日、来観者が途絶えないという。

展示風景 序章「時の間」 新素材研究所 © N.M.R.L. Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida

老舗高級メゾンが提唱するラグジュアリーの本質

日本では10年ぶりとなる本展覧会は、1970年代以降のカルティエ作品に焦点をあて、その創作活動における革新性、現代性、独自性を歴史的作品とともに展示する、世界を見回しても稀有な試み。普段は公開されていない個人の所蔵品も並ぶ、貴重な機会となっている。

展示は“時間”をテーマとした「色と素材のトランスフォーメーション」「フォルムとデザイン」「ユニバーサルな好奇心」の3つの章に分けられ、イノベーションに満ちたカルティエの意匠を探求する仕組みになっている。長い時をかけて生成され、奇跡的に見出された宝石と、世界各地の文化や自然物に着想を得たデザインとを、卓越した技術を持つ職人が結実させることで生まれるカルティエの宝飾の数々。それは世界の縮図であり、時空を越えた地球や文明との対話とも表現できる。同社がいかにして各時代に呼応したタイムレスな作品をクリエイトしてきたのか、来観者はその連綿と流れる“時間”の断面を体感することとなる。

展示風景 第2章 新素材研究所 © N.M.R.L. Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida

今回の“時間”を横断する展示を手掛けたのが、新素材研究所/杉本博司+榊田倫之。「旧素材こそ最も新しい」という理念のもと、伝統的な職人技と最新技術を融合し、モダンなディテールの空間デザインを創出した。カルティエのレガシーを、“時間”を意識しながら回遊するという新たな鑑賞体験を通し、提示している。

杉本博司《逆行時計》ミクストメディア(作家本人により、逆行化され修復された1908年製造の時計[製造フォンタナ・チェーザレ、ミラノ]) © Hiroshi SugimotoCourtesy of N.M.R.L.

 

「Cartier, Crystallization of Time – カルティエ、 時の結晶」

会期:~2019年12月16日(月)
休館日:12月10日(火)
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで。最終入場は閉館30分前)
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)https://www.nact.jp/
観覧料:一般1600円、大学生1200円、高校生800円
※中学生以下および障害者手帳を持参の方(付き添いの方1名含む)は入場無料。

公式サイト:http://Cartier2019.exhn.jp