定番時計「フランク ミュラー カサブランカ」――高級ウオッチ市場にトノウフォルムを浸透させた存在

FRANCK MULLER(フランク ミュラー)」は、前例のない傑作時計を数多く創作しているスイスの機械式時計ブランドである。創業から30年も満たない後発ながら、高級時計界の最高峰に君臨する同社にも、いくつかの“定番時計”が存在する。そのひとつが、複雑時計の旗手として注目を集めていた1994年に発表された、ブランド初の量産型ステンレススチールモデル、「カサブランカ」だ。

天才時計師が黎明期に放ったデザインのコンプリケーション

天才時計師として知られるフランク ミュラーだが、世にその名に轟かせたきっかけは、世界初の複雑時計ではなく、デザイン&仕様のコンプリケーションともいえる「トノウ カーベックス」にある。ケースもサファイアクリスタルもダイアルも、いっさい平面のない究極の3次元フォルムを、当時は技術的に製造が難しかったステンレススチールで実現。これに、カーフストラップを採用することで、かつての冒険家や裕福なトラベルセッターたちのトランクを想起させるデザインを与えた。その成果が、「カサブランカ」である。

そのモデル名は1942年の名画のタイトルに由来し、当時のフランス領モロッコ最大のリゾート地であるカサブランカを源泉としている。砂漠の砂塵にも耐えられるよう、フランク ミュラーでは初めてステンレススチールケースを採用し、また街灯のない夜の通りに夜光インデックスで対応した。そして、同社初の量産モデルでもあったカサブランカは、アールデコに沸き返っていた20世紀初頭の欧米セレブにノスタルジックな旅の想い出を喚起させ、ブランドのなかでも代表的なロングセラーコレクションとなったのである。

 

25年目に誕生したノスタルジックなニューカラー

フランク ミュラー「カサブランカ」Ref.6850MCASA OAC 122万1000円/自動巻き、約42時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース&ブレスレット。縦47×横34mm。日常生活防水

名作の誕生25周年にあたる2019年の冬季に発表された、特別色グレー×イエローがノスタルジックな旅情をかき立てる一本。フランク ミュラーのなかでは希少なブレスレット仕様で、ストレートと斜めのコマを交互に並べた5連デザインが特徴的だ。同時にベージュ×ブルーの新色も発表された。

 

問:フランク ミュラー ウォッチランド東京 TEL.03-3549-1949
https://www.franckmuller-japan.com/