カルティエ[パシャ]、IWC[ポルトギーゼ]、パネライ[ルミノール マリーナ]etc. [WATCHES & WONDERS 2020]発表最新作ダイジェスト
2020年は、世界的な高級腕時計の新作見本市として知られるSalon de International Haute Horlogerie in GENEVE(通称:S.I.H.H./ジュネーブ サロン)が、「WATCHES & WONDERS」(通称:W&W/ウオッチズ&ワンダーズ」と名を変え、ジュネーブ 空港にほど近いパレエクスポで開催される予定だった。しかし、世界的なCOVID-19の影響により会場での開催が不可能に。その代わり、この一大イベントが急遽デジタルプラットフォームで執り行われることになった。そこでウオッチナビでは、4月25日(土)19時(日本時間)に全世界に公開される前に、各社の新作の目玉をダイジェスト版でお送りする。
カルティエの名作「パシャ」が新世代へ移行
1985年の登場からカリスマ的な人気を博した「パシャ」は、ラウンド形の文字盤に繊細なスクエアのレイルウェイミニッツトラックと、大きな4つのアラビア数字を配置し、チェーンで結ばれたリューズを備えたデザインが特徴だった。これらアイコニックな意匠をより現代的にリファインした新世代機では、センターラグに対応するインターチェンジャブル ブレスレットは、1コマ単位での調整が行え、ストラップ変更から微細なサイズ調整まで自分好みのスタイリングができる。リューズを外したときにだけ確認できる位置に刻まれるエングレービングサービスにも対応し、パーソナライズも可能とした。搭載するムーブメントは、一部に非磁性素材を用いて磁気帯びを防ぐ高性能Cal.1847 MCを搭載。その美しい仕上げをサファイアクリスタルバックから眺めることができる。腕時計で「薄型」に分類される基準値10mmを切るサイズ感も絶妙で、直径は35mmと41mmでの展開。間違いなく多くの人々に歓迎されるであろうコレクションの再来となった。
カルティエはこの他、「タンク アシメトリック」や、昨年の大ヒット作「サントス デュモン」のバリエーション拡充など、イベントの筆頭メゾンに相応しい力作を発表する。
IWCは「ポルトギーゼ」コレクションをリニューアル
自社で展開している6つのコレクションを順次リニューアルし続けるIWCは、昨年の「パイロット・ウォッチ」に続いて、これまた人気コレクションの「ポルトギーゼ」の進化系を発表した。すでに店頭展開されていたマニュファクチュール化した「ポルトギーゼ・クロノグラフ 」はもちろん注目だが、これ以上にユニークなモデルが、実はこれまで展開のなかったシンプルな自動巻き3針ウオッチの新作。6時位置にスモールセコンドを持つ「ポルトギーゼ・オートマティック 40」は、ペラトン自動巻きシステムを搭載した自社製Cal.82200を搭載。毎時2万8800振動、60時間パワーリザーブを有するムーブメントで、ケースサイズは直径40.4mm、厚さが12.4mmとなる。さらに、IWCが得意とする永久カレンダー機構の新型も新世代ポルトギーゼから登場。西暦デジタル表示をなくした分、少し価格が抑えられており、コンプリケーションウオッチのデビューに最適な一本となっている。
これ以外にもポルトギーゼコレクションからコンプリケーションや新型ブレスレットを備えたヨットクラブなど、限定モデルを含む複数の新作が公開される。
技術革新を続けるパネライは驚愕の「70年保証」
1950年にパネライが開発したトリチウムベースの発光物質「ルミノール」誕生から今年で70周年の節目を迎えるにあたり、パネライはフラッグシップシリーズのルミノールシリーズの再構築に着手。コレクション再編して本格ダイバーズウオッチ「サブマーシブル」を独立させた昨年に続いて、ドラスティックな改革を断行するようだ。新世代ルミノールで注目すべきは、アニバーサリーイヤーにちなんで「70年保証」という驚異のフレーズで登場する最新作「ルミノール マリーナ チタニオ DMLS – 44mm」(PAM01117)だ。本機では、最新技術で作られた発光物質スーパールミノバX1を文字盤のロゴ、フランジ、リューズプロテクターのブリッジ、リューズ、レバー、ストラップのステッチにまで採用。真っ暗闇であっても、時計全体が視認できるほどの明るさを持って時刻を報せるのだ。さらにケースにもパネライの技術革新が宿っており、成型にDirect Metal Laser Sintering(DMLS/直接金属レーザー焼結方式)技術を用いた直径44mm、厚さ15.65mmのチタンケースは、ラバーのような質感に織られたパネライ スポーテック製ストラップを含めても100gという軽量さを達成。
洗練さを増したボーム&メルシエの角形時計「ハンプトン」
1830年からの歴史を持つジュネーブ の名門にして、リシュモン グループのウオッチメゾンのなかでも良心的なプライスレンジの時計を展開するボーム&メルシエは、長らくトピックのなかったハンプトンが今年、待望のリニューアルを果たす。アールデコ様式を讃えたデザインにしてシンプリシティを追求したデザインは、角形のシェイプを好む人々から支持を集めそうだ。これ以外には、ヒットシリーズ「クリフトン ボーマティック」のコンプリケーションが複数登場。由緒正しきメゾンの歴史を支えてきた豊かな想像力が発揮された新作に期待大だ。
これらのブランドほか、30ブランドの新作は、ウオッチズ&ワンダーズ公式ページ(https://www.watchesandwonders.com/)で誰でも見ることができる。これまではプレスやバイヤー、業界関係者など、主に招待客のみに門戸を開いてきたS.I.H.H.からW&Wへの名称変更、そしてデジタルプラットフォームへの移行に伴う一般愛好家への情報解禁と、約1年のうちに大変革を遂げたジュネーブ の一大時計イベント。その歴史が変わる瞬間を、機械式時計という究極のアナログアイテムに込められた世界トップブランドのノウハウ、歴史、情熱と共に見てみてはいかがだろうか。