このブランドほど新旧の時計好きでイメージの異なる存在がいるだろうか–。
スイス時計界の名門ユリス・ナルダンは、8月末にスイス・ジュネーブで行われた「ジュネーブ・ウオッチ・デイズ」に参加し、市街地にあるブティックで新作を披露。2019年に提唱した「X」のテーマの進化系となる「ブラスト」は、ブランドが歩んできた革新の歴史を体現する一本となっている。
名作「スケルトン トゥールビヨン」にX-factorを追加
最新作「ブラスト」のインスピレーションの源は、火山の持つ爆発的なエネルギー。地球が内に秘めるマグマのごときパワフルな存在となるべく、スケルトンコレクションで初の自動巻きトゥールビヨンキャリバーUN-172を搭載する。回転するキャリッジとシンメトリーに配置されるのは、プラチナ製マイクロローター。リューズ巻き上げに連動する独創メカニズムを備えており、見るだけでなく実際に動かして楽しむこともできる。
一方で、ケースデザインに人工物であるステルス機を採用している点が「X-factor」(未知の要素)テーマのユニークな点。レーダーをかわす偵察機のごとくシャープな多面形状は、この時計が唯一無二の存在であることを象徴している。
スケルトンダイアルもまた長きにわたって愛されている「スケルトン トゥールビヨン」がベースではあるものの、その面影はほぼない。キャリバーUN-172の計算された輪列配置に加え、文字盤を横断するブリッジと同じ「X」のシンボルをシリシウム製トゥールビヨンのキャリッジにもとりいれることで、オリジナリティ溢れる一本に仕上げている。
ケースは形状だけでなく、仕上げにも見どころが満載。複雑なファセットはポリッシュ、サテン、サンドブラストの3つの仕上げを使い分けることで表情豊かに時計を演出。サイドビューからは徹底的にシャープに作られたケースのエッジが堪能できる。
ブラストは、色も素材も異なる全4種類での展開。Xテーマでブランドイメージを一新したユリス・ナルダンの最新作は、来年に創業175周年を迎える名門の革新性を知るうえで、極めて重要な一本といえるだろう。
問:ソーウインド ジャパン TEL.03-5211-1791
https://www.ulysse-nardin.com/jp