腕時計は「色」でもっと楽しくなる vol.2 ―― ブラックもブルーもユニークな手法で魅せる“色時計”に進化している
時計専門誌・ウオッチナビも注目する時計のトレンド、“色時計”。文字盤だけではなく、ケース、ベゼル、ストラップなどに豊かなカラーリングを施すことで、これまでとは異なる魅力を放っている。
連載vol.1ではヴァシュロン・コンスタンタンとH.モーザーの人気モデルを取り上げたが、今回はスイスとドイツのマニュファクチュールブランド、ゼニスとグラスヒュッテ・オリジナルのマスターピースにクローズアップ。併せて識者の見解も紹介する。
話題のブルーは色合いの多様化を進め、先進マテリアルによって新しいブラックが誕生
全国的に知られる岡山の正規店、トミヤの時計部門マネージャーである山田恭裕さんは、リテーラーの立場から論じてくれた。
「ブルーダイアルは、いま圧倒的人気です。奇抜に見えずそれでも差別化を図りたい、というニーズに合致しています。さらなる違いを求める人にはグリーンをご紹介しています。とくに深い色味は遠目ですとブラック系に見えるため、堅実な時計として受け入れられる傾向にあります」(山田さん)
作り手側による“色”の差別化がある一方で、多種多彩はユーザー側が求めていたことでもあったわけだ。流行最先端の媒体に関わる編集者の安藤夏樹さんは、“色時計”について次のように語る。
「歴史から見て、色文字盤は決して腕時計の邪道ではありません。1970年代のクオーツ時計に機械式時計が対抗したのは、色文字盤を含むスタイリングでした。歴史に裏打ちされていると思えば、安心感もありますよね。色のトーンや生まれた背景、ダイアルとケースの組み合わせなど、自分なりの選びの目線を養うと、より楽しめるでしょう」(安藤さん)
技術の進展によって色の表現方法が増えた現在こそ、“色時計”の旬といえるのだ。
ベゼルとステッチにもスーパールミノバを合わせ、暗闇での存在感を高めたブラッククロノグラフ
ゼニス「デファイ エル・プリメロ21 カール・コックス」Ref.10.9001.9004/99.R941 226万6000円
1/100秒を計測可能な最先端の機械式クロノグラフと、世界的なDJにして音楽プロデューサーとしても知られるカール・コックスがコラボレーション。時分針とインデックスのほかに、カーボンファイバーベゼルやコーデュラ調のレッドラバーストラップのステッチにもスーパールミノバが含まれており、暗闇で神秘的に光る。毎時3万6000振動の時刻用脱進機、毎時36万振動のクロノグラフ用脱進機をひとつずつ搭載。自動巻き(自社製Cal.エル・プリメロ 9004)。カーボンケース。直径44mm。10気圧防水。スペシャルボックスとヘッドホンが付属。世界限定200本。
問い合わせ先:LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス TEL.03-3575-5861 https://www.zenith-watches.com/jp_jp
レトロチックだけどモダンさも感じさせる美しいグレイシャーブルーの3針ウオッチ
グラスヒュッテ・オリジナル「シックスティーズ・アニュアル・エディション」Ref.1-39-52-14-02-04 84万7000円
一年間だけ限定販売される“アニュアル・エディション”の3rdモデル。2018年の1stモデルのスタイリッシュ・グリーン、翌年の2ndモデルのファイアリー・オレンジ、そして本機はグレイシャーブルーの文字盤がセットされている。“氷河の青”という意味を持つ名称が示す通りに、中心部のアイスブルーからエッジに向かってダークブルーへとグラデーションしているさまは、まさに大自然が生み出した景観を表しているかのようである。ラッカー仕上げのドーム型ダイアルとブラウングレーのヌバックカーフスキンストラップによって、程よいヴィンテージルックに仕上げられている。自動巻き(自社製Cal.39-52)。ステンレススチールケース。直径39mm。3気圧防水。
問い合わせ先:グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座/スウォッチ グループ ジャパン TEL.03-6254-7266 https://www.glashuette-original.com/ja/
Text/WATCHNAVI編集部