IWC新作「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」2週間テストでわかったバンド付け替えで広がる腕時計の可能性

1936年からの歴史を持つ航空時計の名作、IWCシャフハウゼン「パイロット・ウォッチ」に新たなバリエーションが加わった。2021年新作となる「ビッグ・パイロット・ウォッチ 43」と「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」は、いずれも既存品のサイズバリエーションである。のみならず、デザイン的にも趣向が凝らされていることを見逃してはならない。WNは、事前にIWCシャフハウゼンから「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」を借りることができた。2週間試用したインプレッションを、ここにお伝えする。

環境によって色彩が変わるブルーダイアルの妙

IWCシャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」Ref.IW388102 91万3000円/自動巻き(自社製キャリバー69385)。毎時2万8800振動。46時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース&ブレスレット。直径41mm。厚さ14.5mm。10気圧防水

まず、これまでのパイロット・ウォッチで主に“プティ・プランス”(星の王子様)限定色として展開されてきたブルーダイアルが、レギュラー品に採用されたことが大いに歓迎すべきポイントである。サンレイ仕上げの文字盤は直接的に強い光が当たるとシャイニーに輝き、反対に逆光や暗い場所では濃紺のような表情を見せる。こうした色彩の変化こそブルーダイアルの魅力であり、オンオフ問わず幅広いシーンで使いやすい所以だ。

IWCシャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」Ref.IW388101 82万5000円/自動巻き(自社製キャリバー69385)。毎時2万8800振動。46時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース。直径41mm。厚さ14.5mm。カーフレザーストラップ。10気圧防水。

ホワイトの表示系統はすべて蓄光塗料で、暗所でも時刻が識別しやすい。これは飛行機を操縦すうるパイロットのための配慮であり、こうしたデザインがパイロット・ウォッチの男性的でアクティブなデザインにもなっている。ただし、最新作が持つ光沢感のあるブルーダイアルとの組み合わせにより、本来のミリタリーな雰囲気が薄まり、気品さえ感じられる。

そうした雰囲気をさらに醸成させているのが、直径41mmというサイズ感だ。前年には、定番「ポルトギーゼ」から40mmのセンターセコンドモデルをだしていたことを鑑みるに、IWCシャフハウゼンはサイズに対する意識が非常に高まっているように思える。

43mmのクロノグラフと違いについて

話をパイロット・ウォッチに戻すと、41mmの自動巻きクロノグラフというのはその直径よりも厚みの方が気になってくるものだ。既存の43mmのクロノグラフは、自動巻きキャリバー79320を搭載し、その直径に対して厚みは15.4mmとなっていた。一方の最新作では自社製の自動巻きキャリバー69385を搭載し、厚みは14.5mmと約1mm薄くなっている。

さらにシースルーバックとなり、シャフハウゼンで作られた堅牢ムーブメントの動きが確認可能。軟鉄製インナーケースを止めることで強力な耐磁性能はないものの、防水性能が従来の約2倍となる10気圧防水へとスペックアップしている。

このあたりは、IWCシャフハウゼンのファンの間で議論が起こりそうだが、機械式時計にとって磁気が悪影響を及ぼすことを把握し、なるべく時期の発生要因から遠ざけるようにしておくことで、防水性能の向上とシースルーバックの恩恵が受けられるわけだから、筆者としては喜ばしいことだと思っている。

着用テストレポート

5連ブレスレットの光沢とブルーダイアルで上品な雰囲気に

肝心の試用期間中については、はっきりいって快適そのものだった。数ある自動巻きクロノグラフのなかで決して薄いわけではないが、重量バランスが計算されているのだろう。すべてのバンドで装着感が心地よく、とくにアイコニックな5連ブレスレットは自分にとっての最適なポジションがすぐに変えられるのがありがたかった。1日のうちに起きるむくみにより、帰宅したら腕時計の跡が手首にくっきりという状況はこのモデルでは起きようもない。

試用期間中にブランドのプロダクトデザイナー、クリスチャン・クヌープ氏にインタビューした際に確認したら「ブレスレットは人間工学に基づいてテーパーをかけた設計になっている」と言っていた。あとで確認すると、ブレスレットでありながら装着時には手首に沿って弧を描く設計となっており、これが着け心地の良さに貢献していたようだ。

驚いたのは、IWCシャフハウゼンが開発した「EasX-CHANGE」システムの簡単さと頑丈さだ。今回のテストでは、ブレスレットとカーフレザー、それに通常は別売りのラバーという3種類のバンドが私に与えられていたのだが、本当に簡単に付け替えることができ、普段はブレスレット、汗をかきそうな暑い日にはラバー、終日室内で過ごすような日はレザーという使い分けが簡単に行えた。ピンバックルまで含め非常に簡潔ではあるものの、一度着ければ落下の心配はなさそうな堅牢性が感じられた。

しかもどのバンドにしても、バランスが変わらず着け心地が良好だったことは、本体自体の重心が手首側に置かれていることと、「EasX-CHANGE」システムによって固定される角度からして最適化してあるものと考えられる。ちなみに、ブレスレットのコマ詰めも簡単に行えるよう設計されているので、せっかくの機会だからとコマ調整も自分でさせていただいたがとても簡単だった。

機能については、いくつかクロノグラフは所有しているが、正直に言ってほぼその機能を生活の中で使うことはない。けれども、時計好きあるあるとして、ふとしたときに操作感や針の動きを楽しむことはあって、パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41も同じように何気なく押して楽しんだが、押し心地と針がキビキビしておりクリック音も小気味良い。デイデイト表示がビジネスシーンで実用的であることは、触れるまでもないだろう。

購入したいかどうか、と問われたら?

地下鉄のホームでも映えるパイロット・ウォッチ。

本音を言えば、最初は同じ最新作の「ビッグ・パイロット・ウォッチ 43」にもかなりの魅力を感じていたのだが、本当に試用期間中「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」だけで過ごしてみたら、手首周りが16cmと細い筆者でもフィット感が高く、ストレスフリーで使うことができた。シリアスな打ち合わせの場面でも休日のタウンユースでも違和感なく使えたのも大きな発見だったが、これはEasX-CHANGEシステムで簡単にバンド交換ができたことが大きく貢献している。

今回借りたブルーのラバーストラップは別売りとなる

今回は3種類のバンドを借りることができたので、そうした付け替えを気兼ねなく楽しめたが、実際問題としていざ購入するかどうかと問われたら…。

まずブレスレットかレザーストラップかを選ぶなら、間違いなくブレスレットにするだろう。最も長く使ったこととサイズの微調整が可能なことが主な要因だが、約10万円の価格差はあとで買い足すよりも先に支払ってしまった方が精神的に良い。レザーやラバーのストラップは、自分のライフスタイルに応じて後から買い足すほうが経済的な計画も立てやすいというのもある。

そこまで考えてまで、と思うだろうか。少なくとも筆者は、そうまでしてでもいつかは自分のモノとして「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」を仲間に迎え入れたいと考えている。

新作を試したのは・・・
時計雑誌「WATCHNAVI」編集長/水藤大輔

問い合わせ先:IWCシャフハウゼン TEL.0120-05-1868 https://www.iwc.com/