アストンマーティンとジラール・ペルゴがパートナーシップを締結!記念モデル「スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨン – アストンマーティン エディション」
“クルマ好きは時計好き”とはよく言われるフレーズだが、それは愛好家だけに限った話ではない。作り手側もまた両方を愛する人は多いのである。モータースポーツでの公式計時然り、ブランドとしてのパートナーシップもまた然り、だ。少し前にタグ・ホイヤーとポルシェのパートナーシップが話題を呼んだが、その直後にジラール・ペルゴもアストンマーティンも同様の発表を行なった。この記事では、ようやく発表された両社の関係を象徴する限定モデル「スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨン – アストンマーティン エディション」について触れていく。
創業230周年に新たなパートナーシップを締結
英国を拠点とするラグジュアリーカーメーカーのアストンマーティンとジラール・ペルゴのパートナーシップが発表されたのは、今年の2月22日。この関係について公式発表によれば“どちらのブランドも、洗練されたクラフトマンシップへの情熱を示しており、共同作業を通じて、デザイン、素材、テクノロジーの理解を共有してきました。”とある。
ジラール・ペルゴは、いま「ヴィンテージ1945」「ロレアート」「1966」に続く新たな柱として、「ブリッジ」シリーズの開発に注力している。この新シリーズは、それ以前は構造上必要なパーツに過ぎなかったブリッジ(受け板)に芸術性を持たせ、1867年に時計コンクールで優秀賞を受賞した伝説的なタイムピースに着想を得たものとなっている。
今でこそレギュラーモデルにも使われるようになった「ブリッジ」の意匠だが、本来は特別な時計にのみ使われてきたいわばブランドのシンボルである。これのデザインを委ねられたアストンマーティンは、自動車よりもはるかに小さい腕時計のスケールに自社のエッセンスを取り入れるため、相当に苦心したことだろう。だが、完成した「フライング ブリッジ」の機能美に溢れるデザインを見るに、さすがはトップカーブランドと唸るほかない。
構造のすべてをあらわにした新開発の「フライング ブリッジ」
一見すると手巻き式時計に見える本機は、実は12時側のブリッジが支える香箱の下層に18Kホワイトゴールド製マイクロローターがセットされており、腕の動きに合わせて主ゼンマイを巻き上げる自動巻き機構が備わっている。このように同軸セッティングされた回転錘の驚異的なメカニズムに加え、側面に記されたASTON MARTINのロゴもまた、このタイムピースの特別さを物語る特徴と言えるだろう。
6時側のブリッジに目を移せば、機械式時計の複雑機構の代名詞であるトゥールビヨンが見られる。コンプリケーションウオッチの名手としても知られるジラール・ペルゴの全トゥールビヨンに共通する意匠である「竪琴(リラ)」の形をしたトゥールビヨンキャリッジには秒針を取り付け、この装置が単なる装飾でないことを明らかにしている。ちなみにこのキャリッジはわずか10mmの直径の中に79個もの部品を組み上げるだけでなく、質量はたったの0.25グラムとなっている。
直径44mmのケースはアストンマーティンによって選ばれたというグレード5のチタン製。こちらにもブラックDLCコーティングを施すことで、スリー・ブリッジとの調和が図られた。スケルトン部に蓄光塗料の付いたドーフィン針はソリッドゴールド製でブラックゴールド加工が施されている。針に重みのある素材を使っても、マイクロローターと超軽量トゥールビヨンキャリッジにより安定したトルクが得られ高精度を維持。ストラップには、ラバー調アリゲーターストラップに加え、世界初の素材となる「ラバー合金(ホワイトゴールドを注入したラバー)」インサートを用いたブラックのカーフストラップも付属するという。
繊細さと力強さが共存した本機は、まさしくジラール・ペルゴとアストンマーティンという両社のデザイン、機能、テクノロジーの共有なくしては作り得ないものだっただろう。「ブリッジ」の伝統に新たな1ページを加えた新機軸は、ブランド創業230周年を迎えたジラール・ペルゴのさらなる飛躍の起爆剤となるに違いない。