クラシックウオッチに遊び心を加えたアラン・シルベスタインとルイ・エラールのコラボウオッチ第2弾
これは第3弾もあるな…。
そう思わずにはいられないほど、アラン・シルべスタインとルイ・エラールは意気投合しているようだ。2019年の第1弾に続くコラボレーションウオッチの最新作が、6月に発売されるという。最新作ではループファスナー式のチタニウムフラップ付きナイロンストラップを新たに採用。クラシックなデザインを旨とするルイ・エラールの腕時計が、こんなにもモダンアートのように変化するとはアラン・シルべスタイン恐るべし!
Text/Daisuke Suito (WN)
スマイル方式の曜日表示が復活
アラン・シルべスタインは、腕時計デザインにおいて名を馳せ、一時は自身のブランドも精力的に展開していたデザイナーである。ほぼ必ず三原色を取り入れた独自のスタイルは、時計好きならひと目で彼の手によるものだとわかるほど。そんな彼と手を組んだのが、クラシックウオッチを主に展開しているルイ・エラール。意外性しかないコラボレーションを結びつけたのは、スイス時計業界のサラブレッドで現在はアドバイザーとして活動しているマニュエル・エムシュだった。筆者は2019年の初コラボお披露目に合わせて来日したルイ・エラールCEOのアラン・スピネディを加えた3名にインタビューをしており、このコラボの経緯を聞いている。話の発端となったのは、ルイ・エラールが飛躍するために起爆剤を欲していたことだったという。そこで、旧知の仲だったエムシュに相談を持ちかけたところから話が進み、エムシュがアラン・シルべスタインを招聘。コラボレーションウオッチの完成に至ったというわけだ。
エムシュは、かつてスウォッチグループで要職を務めたのち、今はなきロマン・ジェロームの代表としても辣腕を振るった人物。アラン・シルべスタインとはロマン・ジェローム時代にもコラボレーションウオッチを制作したこともあり、長く良好な関係を続けていたのである。シックな時計の多いルイ・エラールに、三原色のデザインはあまりに思い切った決断ではないかと思ったが、そんな筆者の心配をよそに世界限定178本で発表された第1弾の2本は瞬く間に完売を記録。ブランドCEOの願った起爆剤として、十分な効果を果たしたのである。
それから約1年半の歳月を経て発表された第2弾は、さらにパワーアップしたシルべスタイン節が堪能できる。ベテランウオッチラバーなら、デイデイトモデルに採用された「スマイル」スタイルの曜日表示に歓喜することだろう。これは、無機質なアルファベット表記に変わって、表情で曜日を示すというアラン・シルべスタインの“発明”。笑顔の休日から怒りの月曜へと切り替わる表示は、オーナーの心を代弁しているよう。さらにアラン・シルべスタインにとって2回目となるレギュレーターウオッチのデザインは、パワーリザーブがなくなったことで、より独立した針の表示が際立つデザインに。モノプッシュ式のクロノグラフは赤いボタンがトレードマークとなっている。
これら第2弾の3モデルに共通してグレード2チタニウムをミドルケースに採用。ケースサイドのバーとリューズにはグレード5チタニウムを使うという、同系異素材のコンビ仕様となっている。チタニウムフラップ付きのナイロンストラップはループファスナー式で、誰でもジャストサイズで素早く着用できる心配りも嬉しい。
最後に、初見の人には極めて奇抜に見えるであろうデザインも、実際にはアラン・シルべスタイン流の考えがあることをお伝えしておきたい。まず彼が好んで使う三原色はバウハウスの考え方が根底にある。ひとつの表示や機能に対し、独特な色や形状と合わせて明快な個性を与えることにより、誤読を防げるというわけのだ。
これら3本の時計はそれぞれ178本の限定製造となるが、そのうちの78本は3本セットでの販売になるという。こうした販売方法もまた以前のルイ・エラールとはまったく異なる試みだと言える。果たして第1弾と同じく即完売となるのか。結果は6月のうちに判明することだろう。
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