【ロレックス】【IWC】【A.ランゲ&ゾーネ】から考察する、時計界の注目トレンド「小型化」
21世紀初頭、時計界の一大トレンドは紛れもなく“デカ厚”だった。その象徴だったパネライ自身が2016年にコンパクトなルミノール ドゥエを発売。アジア人好みの小顔モデルが増える傾向もある。その潮流を汲み、2021年もいくつかのブランドで「小型化」が始まった。その代表作をここにピックアップする。
メリットを生かした小型化は広がり続ける
まずは、ロレックスだ。最近は大型化を推進していたが、今年エクスプローラーを3mmも小型化。伝統的なサイズである36mmに回帰して大きな話題となった。また、IWCのアイコニックなパイロット・ウォッチが2モデル、それぞれ3mmと2mm小型化を果たしている。カルティエのバロン ブルー ドゥ カルティエも、2mm小さくなった40mm版が追加された。
一方で新コレクションを最初から小さめに設計するブランドも目立った。たとえば、エルメスH08は39mm径、ブライトリングのプレミエ B09 クロノグラフは40mm径である。とはいえ、ブライトリングのもう一つの新コレクションであるスーパークロノマットは、現行クロノマットより2mm大きい44mmサイズ。ヴィンテージテイストの前者はコンパクトに、現代的なパワフルさが魅力の後者は大型ケースを採用するなど、コンセプトによる住み分けが進んでいるとも言える。
小型化で文字盤が整理されて表情がすっきりしたり、普段使いしやすくなったりとメリットは多い。大切なのは“適材適所”。意味のある小型化は、今後もどんどん増えていきそうである。
ロレックス「オイスター パーペチュアル エクスプローラー」
≪旧型 39mm径モデル≫
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≪新型 36mm径モデル≫
2010年に大径化した39mmケースが伝統の36mmに原点回帰
1953年に探険時計として誕生したエクスプローラーは、以来、基本デザインを変えずに進化を続けてきた。サイズも2010年に39mmに大型化されるまで、36mmを守り続けた。2021年は発展型のエクスプローラーⅡが誕生50周年のためモデルチェンジが既定路線だったが、エクスプローラーの36mm化はほとんど誰も予想しなかったことだろう。しかも、バリエーションの追加ではなく、歴代初のイエローロレゾールモデル(オイスタースチールと18Kイエローゴールドのコンビネーションモデル)まで誕生。原点回帰したからには、再び36mmが定着していくのは確実だ。
IWCシャフハウゼン
「ビッグ・パイロット・ウォッチ 43」
「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41」
アイコニックな航空時計をサイズダウンで使いやすく
1940年に軍用観測時計として開発されたビッグ・パイロット・ウォッチ・キャリバー52 T.S.Cは、55mm径の超大型だった。現在の「ビッグ・パイロット・ウォッチ」はそのデザインをルーツとするだけに、46.2mmの大型サイズの一択だった。だがしかし2021年、43mmの新サイズが誕生した。人気クロノグラフの「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ」も、現行43mmに対し、41mmのニューモデルが登場。いずれも使い勝手の向上だけでなく、見た目もすっきりした印象になっている。
問い合わせ先:IWCシャフハウゼン TEL.0120-05-1868 https://www.iwc.com/ja/
A.ランゲ&ゾーネ「リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ」
男性が36.8mmサイズのリトル・ランゲ1を着けたアピールのワンカット
ダイヤモンドベゼル仕様もラインナップするなど、36.8mm径の新作「リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ」はフェミニンな印象の強いコレクションである。しかし、ブランドが用意したイメージ写真の中には男性のスーツの袖口に収まるビジュアルも存在。やはりドイツの本社も、このモデルをメンズユースとして意識している証拠といえるだろう。
問い合わせ先:A.ランゲ&ゾーネ TEL.0120-23-1845 https://www.alange-soehne.com/ja/
Text/WATCHNAVI編集部