キレッキレなマイクロウオッチブランド「アーミン・シュトローム」が考えたドレスウオッチの理想形「トリビュート1」
スケルトンウオッチの製造を得意とした同名の時計師を創業者に持ち、2006年より現在の経営陣がブランドを正当継承。2009年よりスイスのビール/ビエンヌにマニュファクチュール体制を構築し、いまもスイスとドイツの時計製造の伝統が息づく少量生産の高級時計を作り続けているアーミン・シュトロームが、最新作を発表した。現コレクション中で最小、最薄となる手巻きウオッチは、25本のみの限定生産で、価格は198万円。
クラシックサイズの3針ウオッチに秘めた現代性と卓越性
少量生産ゆえのハイクオリティな製造体制と圧倒的な希少性、代表作の「グラビティ・イクォール・フォース」や「ミラード・フォース・レゾナンス」といったモデルで発揮された独創性など、様々な魅力を持ったアーミン・シュトロームのタイムピースは一部の高級時計愛好家から熱烈な支持を得ている。
そんなアーミン・シュトロームが新たに手がけた「トリビュート1」は、公式プレスリリースによれば“クラシックなドレスウオッチをコンテンポラリーな感性で新たに解釈したもの”だという。実際、このブランドが初見の人にはオリジナリティに富んだデザインのため驚くかもしれないが、すでに何度も見ているコアな時計ファンにとってはかなりシンプルに見えるのである。
もちろん、彼らがただの3針ウオッチを作るわけはない。右下に見える歯車は、内部にメインスプリングが格納された香箱(=バレル)で、パワーリザーブ時間はなんと100時間。その中心を支持するブリッジはホワイトゴールド製で、手作業による鏡面仕上げに12時間もかけているという。
ムーブメント裏側の3/4プレート風のブリッジに施された60度の面取りは、エッジを見ればそのキレッキレな仕上げに驚くはずだ。この仕上げは受け石の穴ひとつ一つにも施す徹底ぶり。表面は伝統的なコート・ド・ジュネーブ、ベースとなる地板には渦巻き状のサーキュラー・グレイン仕上げを採用。露出した1/4のスペースに見えるのは調速・脱進機構。これらの立体的な造形を引き立てるのも、やはり手作業で面取り研磨によって生み出された光沢である。
これに限らず、アーミン・シュトロームのムーブメントは、よく知られたドイツ・グラスヒュッテのハイブランドと共通の「二度組み」によって動作を入念にチェックしながら組み上げられている。彼らの顧客は、世界でも特に目の肥えた時計愛好家。彼らを満足させるには、ひたすらにクオリティを追求するしかないのである。
またこのモデルの発表を機に、これまで4つのエレメントに基づいてコレクション展開を行なってきたアーミン・シュトロームが、今後の時計製造について方針転換を行うという。
今回発表された「トリビュート1」は、“ファースト・エディション”という位置付けとなり、「世界同時公開」「ゴールド製ブリッジ」「特別なカラーリング」「10年の保証期間」「25本の限定生産」を満たす。その次“マニュファクチュール・エディション”は、ファースト・エディションの公開から約2か月後の発表。それぞれのコレクションのコアとなる役割を持ち「異なるカラーのダイアルを持つスチール製で2モデル」「ゴールド製は1モデル」「保証期間は5年」「モデルごとに80本の限定生産」になるという。最後となる“スペシャル・エディション”は、特定のスキームに従うことなく随時追加発表していくもので「メティエダール」「パートナーシップ」「マテリアル」「その他」などのごく少数作られるであろう特別なモデルだからこその幅広い条件が明かされた。
さて、話は戻って「トリビュート1」である。アーミン・シュトロームのエントリーコレクションになりそうだが、今回発表されたファースト・エディションを狙うべきか、約2か月後に明かされるであろうマニュファクチュール・エディション(たぶんスチール製の2本なら価格据え置きかもう少し下がると予想)を狙うべきか、それが問題だ。
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