宇宙船のような近未来的デザインを纏う【ユリス・ナルダン】の最新ウオッチ「フリークS」
安全な航海のため、かつて必須とされたマリンクロノメーターのスペシャリストとして名を馳せ、現在はマニュファクチュール(自社一貫生産が可能なメーカー)の代表格として知られる【ユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)】。針も文字盤もリューズもないブランドの革新的コレクション、フリークからツインリアクターを備えた宇宙船のような最新作「フリークS」が登場した。世界限定75本のレアピースで、年内に40本が先行生産される。価格は1650万円(税込)。
いまやブランドの“顔”となったフリークコレクションの最新作
ユリス・ナルダンの歴史を語る上で欠かせない出来事のひとつに、2001年の初代フリークの発表がある。針も文字盤もリューズも持たない、この革命的な時計は常識を打ち破った存在として、以来、ユリス・ナルダンは20年以上にわたって常に挑戦的なフリークコレクションを輩出してきた。そして2022年、さらなるアップデートを遂げたのが「フリークS」である。
ユリス・ナルダンCEOのパトリック・プルニエ氏は本機について、「フリークは、新しい技術的な挑戦によって常に革命的な魂を燃やし続ける時計です。『2001年宇宙の旅』という小説があるように、『2001年イノベーションの旅』という我々のストーリーもあります。ホメーロスの『オデュッセイア』の主人公が多くの未知の土地を訪れたように、私たちユリス・ナルダンは科学が提供するあらゆる道を探求し、計時機器の精度と機能性を常に向上させ続けているのです」と語っている。
フリークSは独自のメカニズムを多数搭載
宇宙船をイメージさせる独創的フォルムの「フリークS」には、多くの独自技術が採用されている。本機で初搭載となる「フリークS」の20度傾斜がついたダブルオシレーターは、自社製ムーブメント「キャリバーUN-251」の特徴のひとつ。まるで発射台の上にセットされているかのように見える2つの大型シリシウム製テンプはインカブロック付きで、ロケットの翼を模したローズゴールド製ブリッジで連結されている。2つのターボプロップエンジンを連想させる双子型のテンプは、ともに2.5Hzの振動数で時を刻む様子を表し、立体感と宇宙へのインスピレーションを強調しているディテールと言えよう。
巻き上げシステムのグラインダーが劇的進化
前述のように「フリークスS」には針も文字盤もリューズもない。ムーブメントの2つのブリッジがセンターを軸に回転することで、それぞれ時と分を表示する。下側のインデックス(スーパールミノバで覆われた矢印)は時を、上側のインデックス(テンプと脱進機を搭載したロケットのノーズコーン)は分を表しているのだ。
そして、調速脱進機を含むムーブメント全体がケース内で1時間に1回転し、時刻合わせはベゼルを回転させて行う。さらに注目すべきは、同社オリジナルの巻き上げシステムであるグラインダー。グラインダーは従来の自動巻きシステムに比べてエネルギー伝達効率が2倍となるメカニズムで、様々な方向に傾く手首のわずかな動きを利用し、効率的な巻き上げを可能とする。本機の振動錘は、4枚のブレードを搭載したフレームと接続しており、自動巻き上げの角速度の2倍化を実現している。
問い合わせ先:ソーウインド ジャパン TEL.03-5211-1791 https://www.ulysse-nardin.com/jp_jp/
Text/三宅裕丈