世界で愛される時計界の雲上ブランドの魅力を掘り下げる vol.2 ――【パテック フィリップ】キーワード編
時計趣味人にとって、雲上ウオッチブランドの名品はいつか手に入れたいもの。そんな至高のブランドを掘り下げる本特集のvol.2は、時計史に輝く数々の革新技術を生んできた【パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)】について5つのキーワードからひも解く。
Key words 1 <ジュネーブ>
ジュネーブとの絆を物語るローヌ通りの本店サロン
1839年ジュネーブで創業以来、パテック フィリップは常にこの地の時計製造の伝統とともにあった。ジュネーブ市内のローヌ通りにある本店の建物は、その象徴である。1853年にここに本社工房とブティックが設けられて以来、170年近い歴史を誇る。当初、この建物の2フロアを賃借していたが、フロアを買い進め1891年に全館を取得し、全面改築を経て歴史を刻んできた。2004年から2006年にかけて改めてリニューアルがおこなわれ、ベルエポック様式の歴史的サロンや、コレクションショールームがしつらえられた。ジュネーブとパテック フィリップとの深い絆が、ここに息づいている。
Key words 2 <イノベーティブ>
創業時から培われた先進機構への情熱
1840年代半ばにジャン・アドリアン・フィリップが開発した、リューズによるゼンマイ巻き上げと時刻合わせ機構のムーブメント。創業当初から、イノベーティブなスタンスが、パテック フィリップのDNAに組み込まれていたことが分かる。その後も数々の複雑機構をいち早く開発・製品化したことに加え、2005年に創設されたパテック フィリップ《アドバンストリサーチ》というコンセプトの下で、シリコン素材を用いた脱進機構や、チャイム・ウォッチの音響増幅機構「フォルティッシモ《ff》モジュール」などを開発している。
Key words 3 <カラトラバ>
1932年に誕生した完成された機能美
百合と剣を象ったカラトラバ十字は、11世紀のスペインの騎士団に由来し、勇気、礼節、独立を象徴する。その歴史性と造形美から、パテック フィリップ社は1887年に、これを自社のエンブレムとして商標登録する。その名を冠したコレクションは、1932年に発表された「Ref.96」をルーツとする。当時興隆してきたバウハウスの影響による端正な機能美を特徴とし、直径30.5mmほどながら、ドレスウオッチの完成形というべきスタイルを具現化。以降、時代にマッチした進化を重ねながらフラッグシップとしての地位を築いた。
Key words 4 <実用主義>
実用性への配慮から生み出された名機の数々
パテック フィリップは、複雑機構の開発に於いても実用性に主眼を置く。例えばワールドタイム機能。時計師ルイ・コティエが考案した機構をベースに、反時計回転する24時間リングとタイムゾーン表示によって、一目で世界の主要都市の時刻が分かるワールドタイムモデルは、1937年の初登場以降も進化を重ね、グローバルな時間を意識することが増えた時代の要請に応えている。
1996年には年次カレンダー機構の特許を取得。永久カレンダーより使いやすいこの機構のモデルは、現在もメゾンの“顔”の一つ。実用性への意識が名作の誕生につながっている。
Key words 5 <エクセプショナル タイムピース>
工芸性の高い伝統技法の継承・発展にも尽力
「スカイムーン・トゥールビヨン6002」は、2021年6月にジュネーブのパテック フィリップ本店で開催された『希少なハンドクラフト2020-2021』の展示会でお披露目されたもの。希少な伝統技法の継承・発展に尽力するスタンスもまたパテック フィリップらしい。
パテック フィリップを象徴する逸品
腕時計然としたラウンドフォルム、腕に沿う流麗なラグ、熟練の職人が面取りしたドルフィン針やインデックスなど、時計界随一の技術が詰まったドレスウオッチの最高峰。1932年誕生の初代カラトラバの意匠を継承する。ケースバックがインビジブル・ヒンジ付カバーになっており、サファイアクリスタル越しに自動巻きムーブメントを鑑賞できる隠しディテールを備える。
問い合わせ先:パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL.03-3255-8109 https://www.patek.com/ja