アーティスト空山基氏にインタビュー/自身の原点を表現したコラボウオッチ「ブルガリ アルミニウム 空山基モデル」

艶かしいセクシーロボットのイラストや立体像、ペットロボット「AIBO」のデザイン、有名海外ミュージシャンのアルバムジャケットの作品提供など、世界的に知られた日本人アーティスト、空山基氏がブルガリとコラボレーションした。腕時計で取り組むことになった経緯やデザインに込めた意味について、本人にインタビューした。

TEXT/Daisuke Suito (WATCHANVI) Photo/Masanori Yamaguchi

かつて憧れた飛行機と同じ装飾を文字盤に入れたかった

–最初にブルガリからオファーを受けたとき、どう思われましたか?

「ブルガリの腕時計のデザイナーから連絡が来たんですよ。で、私の作品のファンだという。『自分に任せてくれたら必ず良い作品に作り上げる』というから、その熱意を汲んで腕時計でのコラボレーションを引き受けたんです」

ハイパーリアリズムアーティストの空山基さん。1947年、愛媛県生まれ。広告代理店勤務を経て1971年よりフリーランスのイラストレーターとして独立。驚異的な写実力を武器に、人体と機械の美を追求した1978年からの「セクシーロボット」シリーズにより、国内外で伝説的な存在に。

–ブルガリのウオッチデザイナー、ファブリッツィオ・ボナマッサ氏ですね。彼とは何度か打ち合わせしたのでしょうか?

「デザインのディレクションをして以降は、完全に彼に任せました。その道のプロに任せた方が間違いないものができるし、信頼できるだけの実績もあったから何も心配はしなかったですね」

ブルガリ「ブルガリ アルミニウム 空山基 限定モデル」Ref.103703 40万7000円 自動巻き(キャリバーB77)、毎時2万8800振動、約42時間パワーリザーブ。アルミニウムケース+ラバーベゼル+DLC加工チタンケースバック。直径40mm。ラバーストラップ(アルミニウムリンクとピンバックル付き)。世界限定1000本

–具体的にはどのようなディレクションをしたのでしょうか?

「私は幼い頃から乗り物とかが好きで、とくにチャールズ・リンドバーグが乗ったスピリット・オブ・セントルイス号がかっこよくってね。大西洋横断飛行を成功させたあの飛行機の機首に入っていたスピン模様を、今回の時計に使ってほしいというのがひとつ。あと、数字は2だけ入れてほしいとも伝えました。2はね、昭和22年2月2日生まれということもあって私にとってのラッキーナンバー。車のナンバーにも使っていますよ。あとは私のSORAYAMAロゴを入れること。その3つのデザインディレクションをしました」

文字盤に入ったスピン模様と2だけを数字にしたインデックス、6時側にはメタリックな質感のSORAYAMAロゴが入る

–実際に出来上がった「ブルガリ アルミニウム 空山基 限定モデル」を見て、どのような感想をお持ちになりましたか?

「スピン模様がびっしりと入った文字盤を見て満足しましたよ。自分がやりたかったことを、あのブルガリが忠実にやってくれるんだから、つくづくファブリッツィオに任せてよかったと。でも、私よりもっと喜んだのが家族かな。いままでコラボレーションしてきたアイテムは沢山あるけど、この時計は特に気に入ったのか直ぐに『欲しい』と言ってきたから、さすがだね」

過去の様々なコラボアイテムでは世界に知られた空山ワールドが表現されていたのに対し、今回のブルガリとのコラボウオッチはハイパーリアリズムアーティスト・空山基さん自身が投影された極めて珍しいデザインとなっている。この時計について本人は、ブルガリに対して「私が、金属や光り物、曲線美にエロスを感じるように、この時計をみて誰かがフェティシズムしてくれたら嬉しいね」と語ったという。

ブルガリ銀座タワーでの取材当日、現場に次の手書きアート作品を持ち込むなど空山さんは今なお勢力的に活動中だ。今後について話を聞くと「計画はあっても、夢はない」と語る、作品通りのリアリスト。そんな空山さんの原体験の片鱗が、「ブルガリ アルミニウム 空山基 限定モデル」から確かに伝わってきた。

 

問い合わせ先:ブルガリ・ジャパン Tel:03-6362-0100
公式サイト:https://www.bulgari.com/