【IWCシャフハウゼン】の2大定番を比較してみた「ポルトギーゼ」&「パイロット・ウォッチ」

人気のウオッチブランドには、必ず“定番”と称されるロングセラーモデルがラインナップされている。つねに注目を集めるこの“定番”について、WATCHNAVIの視点より評価し、その歴史から最新作の魅力まで解説する。本記事では、創業時から高い技術力をもって数々の革新的な機構を生み出してきた【IWCシャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)】の2大コレクションをピックアップ。


(左)「ポルトギーゼ・クロノグラフ」、(右)「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ」

 

端正なアラビア数字とスリムなリーフ針は懐中時計から=ポルトギーゼ

IWCシャフハウゼンのコレクション中、デザインを変えずにもっとも長く続いているのが「ポルトギーゼ・クロノグラフ」だ。必要以上に主張しすぎない洗練された表情が魅力のドレス系クロノグラフで、41mm径のケースいっぱいに広がるシンプルな文字盤は美しく、優れた視認性を確保している。そんなポルトギーゼのルーツは、ポルトガルの商人から「マリンクロノメーターの精度を持つ腕時計」の製作を依頼されことで、1939年にファーストモデルが完成。当時においてはサイズが大きすぎたこともあって1950年代に姿を消したが、1993年にシリーズが復活した。

1939年の初代ポルトギーゼは懐中時計用のキャリバー74を41.5mmのケースに搭載。アラビア数字インデックスとリーフ針が印象的だ

 

「ポルトギーゼ・クロノグラフ」のデザインは、IWCシャフハウゼンのポケットウオッチの意匠と共通点が多い。繊細なリーフ針やアラビア数字インデックスはそこからインスパイアされたもので、縦2つ目のインダイアルを配したシンメトリーなフェイスを形成。複数のバリエーションを展開しており、ステンレススチールモデルのIW371604はゴールドカラーを品よく取り入れ、日常のライフスタイルに溶け込むさりげない上質感を演出。スーツからカジュアルなファッションまで、適応範囲の広さも魅力だ。

 

インナーケースを採用した伝統の耐磁機能を装備=パイロット・ウォッチ

ポルトギーゼと同じく、1930年代に始まる由緒正しい歴史と伝統を持つのがパイロット・ウォッチである。IWCが初めて手掛けた航空時計「マークⅨ」をルーツとしており、昼夜を問わない抜群の視認性に加え、上空の極端な温度変化やコックピット内の磁気環境に耐える構造が画期的。80年を超えて進化を続ける稀有な存在といえる。

1930年代の軍用航空機「Ju-52」のコックピット。整然と並んだ視認性重視の計器が、IWCパイロット・ウォッチ・シリーズのインスピレーションの源となった

 

直近では、戦闘機によるスカイ・アクションが話題となった映画『トップガン マーヴェリック』にIWCが登場していることからもわかるように、ブランドとして航空界と繋がりを長年継続している。フライトジャケットに合わせたり、バイクの乗車時に着用したりと、この映画の公開後はパイロット・ウォッチの購入を検討する人が増えたという。同シリーズのスタンダードなクロノグラフといえるIW377709は、汎用ムーブメントをIWCが独自に手を加えた仕様を搭載するため、比較的に手の出しやすいプライスとなっているのが魅力のひとつ。他社に先駆けて耐磁性の重要さに気づき開発した、伝統的な軟鉄製インターケースを採用している点も見逃せない。

 

<ポルトギーゼ>1939年誕生時から継承する気品漂うデザインコード


IWCシャフハウゼン「ポルトギーゼ・クロノグラフ」 Ref.IW371604 101万7500円

1998年に登場して以降、20年以上もヒットを続けるロングセラー。2019年に自社ムーブメントに改められたのを機にシースルーバック化され、機械式時計としての魅力をアップ。縦2つ目のシンプルかつ端正なダイアルに、繊細なインデックスとリーフ針が好相性。

スペック:自動巻き(自社製Cal.69355)、毎時2万8800振動、46時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)、アリゲーターストラップ。直径41mm、厚さ13mm。3気圧防水。

 

<ポルトギーゼ・クロノグラフ>の魅力まとめ

●約1世紀前の優雅な航海を思わせるノスタルジー
●スリムなベゼル、リーフ針、アラビア数字が秀逸
●コラムホイールを搭載する自社製ムーブメント

 

<パイロット・ウォッチ>航空黎明期から続く伝統をシンプルな表情に秘める


IWCシャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ」 Ref.IW377709 70万9500円(生産終了モデル)

マークⅨの流れを汲むクラシック・コレクションのクロノグラフ。43mm径ケースは伝統の耐磁仕様で、デイデイト表示付きの精悍なブラックダイアルを組み合わせ、秒針のレッドをアクセントとして効かせた。なお最新作IW378001(102万8500円)は、自社製造のキャリバー69385を搭載し、10気圧防水&シースルーバック仕様の構成となっている。

スペック:自動巻き(Cal.79320)、毎時2万8800振動、44時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース、カーフストラップ。直径43mm、厚さ15.4mm。6気圧防水。

 

<パイロット・ウォッチ・クロノグラフ>の魅力まとめ

●1936年から続くIWC航空ウオッチの正統な後継者
●PCやスマホに囲まれる現代人に必須の高耐磁性
●完成されたデザインと魅力的なプライスレンジ

 

問い合わせ先:IWCシャフハウゼン TEL:0120-05-1868 https://www.iwc.com/jp/ja/ ※価格はすべて記事公開時点の税込価格です。

Photo/山口雅則

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