手巻きクロノグラフのメカニズムを学ぶ【ブライトリング/キャリバー02】分解

クロノグラフとは、端的にいえば時計におけるストップウオッチ機能のこと。そのムーブメントは多くのパーツを組み合わせた複雑な構造となっており、時計好きやメカ好きの憧れとなっている。本記事では、クロノグラフムーブメントの中でも完成度が高いスイスの高級時計ブランド【ブライトリング(BREITLING)】が自社製造する「キャリバーB02」について解説する。

完成度の高いキャリバー01の手巻き式アレンジバージョンとなる「キャリバーB02」とは


完全なる自社製造ムーブメントの開発を掲げて始動したプロジェクトは、基幹となるキャリバー01から複数の派生型の製作まで構想内にあった。その延長上に生まれた「キャリバーB02」は、コスモノートへの搭載を前提とする24時間表示の手巻きクロノグラフムーブメントである。キャリバー01をベースに自動巻きコンポーネントを取り去り、時針が付く歯車を24時間仕様となる倍数歯車に換装したのが主なアレンジ。また、審美性を高める変更もなされている。

直径:30mm 振動数:毎時2万8800振動 COSC認定クロノメーター。

 

派生型のムーブの登場も総合的な設計構想ありき

長年にわたってブライトリングが蓄積してきたクロノグラフに関するノウハウや想いが込められたキャリバー01。その構想は単純にひとつのムーブメントの完成をゴールとしたものではない。2004年のプロジェクトスタート時において開発陣は、派生型ムーブメントまでプランに組み込み、総合的に設計を進めていたという。「キャリバーB02」は、そのバリエーションのひとつ。基本的にはキャリバー01から自動巻きの要素を外しただけで、シンプルな手巻き式となっている。

【キャリバーB02のケースバック側】

◆キャリバーB02専用受け:キャリバー01の自動巻き関連のパーツを取り去った「キャリバーB02」。審美性を考慮し、輪列とクロノグラフそれぞれの受けの形状の変更や仕上げにコート・ド・ジュネーブ装飾を加えている。
※写真では上が時計の6時側となる。

 

ブライトリングの技術者は、キャリバー02を次のように評価する。

「キャリバー01に共通するポイントでもありますが、やはりクロノグラフ機構がモジュール化されているところはキャリバーB02でも大きな特徴。それらを分解することなく香箱などにアクセスできるのは、修理の面で大変メリットです」

余計な手間を掛けずにピンポイントで整備可能なキャリバーB02、またはキャリバー01。実用性と合理性を追求するブライトリングならではのマニュファクチュールキャリバーといえる。

 

キャリバー02搭載モデル


ブライトリング「ナビタイマー B02 クロノグラフ 41 コスモノート」 Ref.PB02301A1B1A1 154万円

1962年に宇宙へ飛び立ったアメリカ人宇宙飛行士、スコット・カーペンターが装着した24時間表示の特注ナビタイマーの復刻版。ミッション60周年を記念し、限定リリースされた。

スペック:自動巻き(自社製Cal.B02)、毎時2万8800振動、約70時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径41mm、厚さ13mm。3気圧防水。世界限定362本。

 

問い合わせ先:ブライトリング・ジャパン TEL.0120-105-707 https://www.breitling.com/jp-ja/

※撮影に使った分解ムーブメントは修理トレーニング用のデモ機。価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。本記事は『ウオッチナビ Vol.88』より抜粋・編集しています。

Text/長谷川 剛(TRS) Photo/岸田克法