「ENJOY LIFE」でアイスクリーム?? ノルケインの思いが詰まったPOPな最新ウオッチの開発秘話を副社長に直撃インタビュー!

若き創業者が率いるノルケインは、持ち前のチャレンジ精神と強固なスイス時計界のネットワークを武器に創業から7年目にして快進撃を続けている。だが、それは決して鬼気迫るシリアスな取り組みの結果ではない。それどころか、ノルケインチームは常に笑顔が絶えず、彼らのいるところは常にポジティブでアットホームな雰囲気が漂う。4月に行われた世界最大の時計ショー「WATCHES AND WONDERS GENEVA 2025」でも、スキーステーションをモチーフにした彼らのブースは常に多くの人で賑わっていた。そして筆者はそのブースの2階に設けられた部屋にて、創業者でもあるベン・カッファーCEOに6月に発表する新作を先出しで見せてもらい、顔を合わせながらふたりで大爆笑した。そのときはあいにくお互い時間が足らず開発秘話を詳しく聞けなかったため、後日、彼の弟でノルケイン副社長のトビアス・カッファー来日の際に改めてインタビューを行った。

「フリーダム 」がアイスクリームで彩られた理由

ノルケイン副社長、トビアス・カッファー氏。インタビューは都内にある時計店でのイベント前に、ミーティングスペースで実施

–今年のジュネーブでベンに見せてもらったアイスクリームマークの時計が発表になりましたね。あれは、いったいどのような経緯で「作ろう」となったんですか?

トビアス・カッファー副社長(以下、T):あれは「ENJOY LIFE」という、ノルケインからみなさんへのメッセージですよ(笑)。いまは時計業界含め、何かとシリアスな出来事が世界各地で起きていますから、せめて私たちだけでも笑顔をお届けしたかったんです。

–確かに私も初めて見たときは、思わず吹き出してしまいました。あなたたちが狙った通りですね(笑)。

T:喜んでもらえてよかったです(笑)。実は、4月にお見せした方々の反応は盛り上がる人とそうでない人がフィフティーフィフティーでしたから。で、どうして作ろうと思ったか、ですよね。きっかけはミーティング中に、ベンが「何か面白いことをしたいね」と言ったことから始まりました。それでプロダクトチームと打ち合わせをしながらフリーダムコレクションで新作を出そうということになり、プロダクトマネージャーのマテオから「こんな色をサブダイアルに使ってみたらどうかな」という提案があったんです。それを外周にも加えてみたら、チーム全員が「なんだかアイスクリームみたいだね」って。そこからもう新作のコンセプトはアイスクリームになりました(笑)。ちなみに、シースルーバックにENJOY LIFEのロゴやアイスクリームの絵を加えたのはプロダクトチームのマテオとマルチェロで、カレンダーの日付を7日ごとにアイスクリームに置き換えたのは私。「毎週、自分にアイスクリームをプレゼントしよう!」というポジティブなライフスタイルの提案なんです。気に入ってもらえましたか?

「フリーダム 60 クロノ 40mm “Enjoy Life” スペシャルエディション」。カレンダーのイラストに注目
「フリーダム 60 クロノ 40mm “Enjoy Life” スペシャルエディション」は、ケースバックも極めてユニーク

–ええ、とても(笑)。アイスクリームになった理由はわかりましたが、「ENJOY LIFE」というメッセージはどこからきているのですか?

T:アイスクリームは大人も好きな食べ物ですが、とくに子供にとっては大好物でしょう。子供って何を見ても新鮮で驚きと発見があったり、いつも全力で体を動かしたり、とにかくいつも楽しそうですよね。だから、私たち大人もときには肩の力を抜いて楽しく過ごそうよ、という思いを込めています。このメッセージを伝えるうえでも、やはり「フリーダム」コレクションが最適ですよね。ちなみに、「フリーダム60クロノ40mm “Enjoy Life” スペシャルエディション」のローンチイベントは、ラスベガスでプールパーティです。いかにも楽しそうでしょう?(笑)ウオッチナビチームもたまにはシリアスな顔をほどいて、人生を楽しんでくださいね!

すでに発売中の2025年新作は、グローバルでとても良い反響があるとのこと。ワイルド ワンの39mmのカラーバリエーションにも、今回の新作と通じるノルケインの思いが伝わってくる

 

[取材後記]今回発表となったフリーダム 60 アイスクリームは、賛否両論あって然るべきモデルだろう。これを買い付けるバイヤーにある種の勇気が必要であることにも異論はない。だが、ノルケインが日頃から発信しているチャレンジ精神や、彼らの「MY LIFE, MY WAY」というポリシーに共鳴した「ノルケイナー」と呼ばれる愛用者であれば、きっと「ENJOY LIFE」に込められたメッセージにも共感を覚えるに違いない。実際、高級時計の扱いにおいて世界的に知られた時計店であるブヘラは、ラスベガスのローンチイベントの主催をかって出るのみならず、このアイスクリームの特別モデルを製作してほしいというオーダーまでノルケインにしたという入れ込みようだ。

日本での反響はこれからだが、アメリカではすでに多くの注文が入っているとのこと。このエピソードが事実がどうかは、今後、ノルケインのオフィシャルサイトを確認すればひと目でわかるようになる。ノルケインは、各国における時計の割り当て数を公表していく計画があるのだという。こうした前代未聞の取り組みも含め、この新進気鋭のスイスブランドはこれからも時計業界に新風を吹き込み続けるに違いない。

フリーダム 60 クロノ 40mm “Enjoy Life” スペシャルエディション

写真の男性が着用しているサングラスとキャップが時計に付属する

まるでブルーベリー、ストロベリー、ピスタチオのジェラートのような色使いを、レトロシックな「フリーダム 60 クロノ」のデザインに合わせたプレイフルな一本。毎月1日、8日、15日、22日、29日の5日間はカレンダーの表示がアイスクリームのイラストに切り替わる遊び心は、ノルケインからの「毎週、自分にアイスクリームをプレゼントしよう!」というメッセージ。これを着ければ、アイスクリームひとつで心躍っていた子供時代の無邪気な喜びが蘇るはず!?

こうした文字盤のカラーリングに加え、シースルーバックのガラスにもENJOY LIFEのロゴとアイスクリームのイラストを配置。さらに専用ボックスにはスタイリッシュなサングラスとキャップが付属するとのこと。このモデルについてベン・カッファーCEOは、プレスリリースの中で、こう述べている。

「ノルケインの目的は何かとよく聞かれますが、 私にとって答えはとてもシンプルです。私たちはポジティブ なエネルギーを届け、喜びを広げ、人々を笑顔にする時計を つくるために存在しています。すべてのノルケインのタイム ピースは、この精神のもとにデザインされています。そして、 フリーダム 60 クロノ 40mm “Enjoy Life” スペシャルエデ ィションは、その想いを完璧に体現したモデルです。夏らしく て、新鮮で、思わず笑顔になる時計です。」

ノルケイン「フリーダム 60 クロノ 40mm “Enjoy Life” スペシャルエディション」ホワイトラバーストラップ(ピンバックル付き)仕様が78万1000円/ステンレススチール製ブレスレット仕様が79万7500円。自動巻き(ノルケインキャリバーN19)、毎時2万8800振動、62時間パワーリザーブ。SSケース(シースルーバック)。直径40mm。100m防水

ニュースサイトを見てもなかなか明るいトピックスが少ない中、こうした遊び心満載の新作の話題が出てきて思わず笑ってしまった人もいるだろう。もちろん、「なんだこれ?」と思う人がいて然るべき時計でもある。いずれにせよ、時計ブランドであるノルケインが一丸となって世の中に明るい話題を届けたいという思いは本物。どうせなら童心に返って彼らと一緒に面白がった方が、人生はきっと豊かで楽しいものになるはずだ。

Text/Daisuke Suito (WATCHNAVI)

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