2025年に創業250周年を迎えた名門ウオッチブランド【ブレゲ(BREGUET)】が、アニバーサリーモデル第3弾を発表した。ブレゲが1955年に世に送り出した民間用クロノグラフから着想を得た新作「タイプ XX クロノグラフ 2075」は、本数限定モデル(621万5000円)と非限定モデル(596万2000円)の2種類が登場。いずれもブレゲゴールド製ケースに、自社ムーブメントを搭載する。
創業250年を祝う2つの航空クロノグラフ
ブレゲは創業250周年を記念するコレクションとして、「クラシック スースクリプション 2025」、「トラディション 7035」に続く、メゾンの歴史に深く名を刻む人々への敬意を表す「タイプ XX クロノグラフ 2075」を発表した。創設者でブランド名にもなっている伝説的な時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲの5代目の子孫であり、航空機製造者でもあったルイ-シャルル・ブレゲ。加えて、1930年9月1日から2日にかけて、ブレゲ19TFスーパービドンでパリからニューヨークへの飛行を成し遂げた飛行士、デュドネ・コスタとモーリス・ベロン。彼らの成し遂げた偉業とブランドにまつわる歴史が、今作の誕生に深く関わっている。
「タイプ XX クロノグラフ 2075」のインスピレーションの源は、1955年に発売された民間用の航空クロノグラフだ。ブランドのアーカイブによると、このモデルの文字盤は当初サテン仕上げのシルバーだったが、後にブラックに置き換えられたという経緯がある。ブレゲは今回、この2つの歴史的なモデルの再現に挑み、アルミニウム製のブラック文字盤をセットした非限定モデルと、250本のみ製造される限定のシルバー文字盤モデルのラインナップとなっているのだ。
ブレゲ独自の新素材、ブレゲゴールドを採用
「タイプ XX クロノグラフ 2075」は、1955年の歴史的モデルと同一の38.3mmサイズを採用。ケース素材には、アニバーサリーイヤーを華やかに彩るべく開発された独自の新素材、ブレゲゴールドが使われている。75%のゴールドとシルバー、コッパー、パラジウムの組み合わせとなり、ブロンドの色調を帯びたこの合金を用いたことで、左右非対称のケースや緩やかな曲線を描くラグの美しさがより強調された印象だ。このブレゲゴールドは、民間用モデルの特徴であるノッチと目盛りが備わる細身の両方向回転ベゼルにも使用。ベゼルの数字は、ブラックのアルミニウム文字盤モデルにはブラック、シルバー文字盤のモデルにはブルーでデザインされ、それぞれゴールドとの鮮やかなコントラストを生み出している。また、リュウズにはブレゲのイニシャル「B」が刻まれており、細部へのこだわりも見どころのひとつ。文字盤カラーに応じてベルトも異なり、アルミニウム文字盤モデルにはブラック、シルバー文字盤モデルにはブルーのグラデーション加工が施されたレザーストラップが装備されている。
最先端技術で再現される歴史的なブラック文字盤
文字盤にも革新的な試みが見られ、シリーズ史上初めて、航空機の機体にも使われる95%アルミニウム合金のジュラルミンを文字盤素材に使用している。これはルイ・ブレゲが名航空機「ブレゲXVI」にジェラルミンを用いたエピソードへのオマージュとなり、文字盤の7時と8時の間には控えめに刻まれた「AL」のサインを見ることが可能。特徴的なアプライドによる「Breguet」の文字や立体的なアラビア数字インデックスは、ケースと同じくブレゲゴールドが採用されている。また、ブラック文字盤モデルは1955年の歴史的な傑作を現代に蘇らせるため、航空宇宙分野の最先端技術である陽極酸化を駆使。表面に酸化アルミニウムの強固な皮膜を生成し、腐食から完全に守るこの技法を用いたことで、深みのあるブラックの色合いと優れた剛性を獲得した。一方、シルバー文字盤モデルもオリジナルデザインを忠実に再現しており、文字盤外周に経過時間から速度を計測できるタキメータースケールを装備。ブラシ仕上げが施されたシルバー925製の文字盤は、光を受けて繊細な輝きを放ち、時を超えた品格を演出する。7時と8時の間には、この高級素材を示す「Ag925」の文字が刻まれる。
キャリバー728から派生した2つのムーブメント
2モデルともに、2023年にブレゲが開発した5Hzの高性能ムーブメント、キャリバー728の派生キャリバーを搭載。キャリバー728では初となる手巻き式となり、ブラックのアルミニウム文字盤モデルには3時位置に15分積算計を配したキャリバー7279、シルバー925文字盤モデルには3時位置に30分積算計を配したキャリバー7278が内蔵される。どちらのムーブメントも、4時位置のボタンを1回押すだけでクロノグラフ機能のリセットと再スタートが行えるフライバック機能を装備。裏ブタはサファイヤクリスタルのため、大西洋を横断する「ブレゲXIX」や1930年の正確な飛行経路など手作業による彫金が施された美しく精巧なムーブメントの姿を存分に鑑賞できる。
ブランドの輝かしい歴史と、それを築き上げてきた人物たちへの尊敬と愛情が詰まった「タイプ XX クロノグラフ 2075」。ブレゲというブランドの創業250周年を祝うモデルとして、ファンの期待に十分に応える仕上がりといえるだろう。また、今作には1950年代にブレゲが使用していたモロッコ革のケースを模した赤いレザーのスペシャルエディションボックスも付属。高価格帯の商品となるが、その価値に納得できるタイムピースである。
ブレゲ「タイプ XX クロノグラフ 2075」 Ref. 2075BH/99/398 596万2000円/手巻き(Cal.7279)、毎時3万6600振動、約60時間パワーリザーブ。ブレゲゴールド製ケース(シースルーバック)、カーフレザーストラップ、サファイアクリスタル風防(両面無反射加工)。直径38.3mm、厚さ13.2mm。5気圧防水。
ブレゲ「タイプ XX クロノグラフ 2075」 Ref. 2075BH/G9/398 621万5000円/手巻き(Cal.7278)、毎時3万6600振動、約60時間パワーリザーブ。ブレゲゴールド製ケース(シースルーバック)、カーフレザーストラップ、サファイアクリスタル風防(両面無反射加工)。直径38.3mm、厚さ13.2mm。5気圧防水。世界限定250本。
問い合わせ先:ブレゲ ブティック銀座 TEL.03-6254-7211 https://www.breguet.com/jp ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/三宅裕丈
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