日本を代表するフレンチの巨匠、松嶋シェフと本誌編集長の対談で紐解くレイモンド・ウェイルの魅力。スイスメイド、繊細なディテール、オープンデザインなど、大袈裟にならないバランス感覚が同社コレクションの特徴です。そもそも時計の良さとは何か、そんなことまで考えさせてくれるレイモンド・ウェイルについての談義は、“ホンモノ”を知る2人にとっても有意義なひとときとなりました。
わかりやすいものが良い、そんな傾向に一石を投じる
一見するとオーソドックス。スイスのウオッチメーカー、レイモンド・ウェイルの時計は、決して奇をてらわない。ただし、ならではの信頼性やディテールワークは確かに存在し、それらは着用者自身を“ホンモノ”の世界へ誘ってくれる。
関口「料理をする時も外さないほど時計がお好きと伺いましたが、選ぶ基準はどこにあるのでしょうか?」
松嶋「時計って、着用する場面を想像しながら選ぶものだと思うんです。まあ、料理中にふさわしい時計って何? と言われると困っちゃうんですけど(笑)。この『マエストロ』の最初の印象はクラシカルで、スーツを着る際に合うかなと思ったけど、意外とラフな格好でもいけますね」
関口「デザインだけでなく重さやフィッティングなど、実際に着けてみて発見する良さってありますよね。細部までしっかり作り込まれたレイモンド・ウェイルの時計は、その典型と言えるのかもしれません」
わかる人にはわかる時計。でも、料理もそうですが、そういうモノ作りって本当に難しい
松嶋「スイスメイドでこのコストバランスをキープしているところも、同じくモノを作り続けるクリエイターとして僕が感服するポイントです。関口さんが着けている時計は、一見マッチョだけど絶妙な可愛らしさがありますね」
関口「というと?」
松嶋「シルバーのブレスレットでケースサイズは大きめだけど、色やオープンダイアルがチャーミングというか。先ほど時計を選ぶポイントはシーンを想像することと言いましたが、時計のデザインを見る際は、まず全体的なフォームを感じて、そのあとにチャームポイントを探る。人を見るときと一緒ですよ。そういう意味でその『フリーランサー』は、筋肉質だけどキュートな男性みたい(笑)」
関口「なるほど、面白い例えですね(笑)。確かにディテールワークも時計の醍醐味です。ブランドの特徴としては、創業者一家が慣れ親しむ、音楽などのアートな要素を落とし込んでいる点も見逃せません。例えば、ダイアル外周にレコード盤の溝を模したあしらいが施されていたり、オープン窓の曲線が音の波長をイメージしてデザインされていたり」
松嶋「見れば見るほどジワジワくる時計ですね。創業者にとってのオリジンをきちんと時計に反映している点でも、実にスイスらしいブランドと言えるのではないでしょうか」
関口「ブランドの持つアート的な感性は、松嶋さんの料理と近しいものがありますか?」
松嶋「う〜ん、どうでしょうね。ただ日本だと“アーティスティック”っていう言葉が、テクニカルなものや奇抜なものばかりを指すケースが多いように感じます。でも、アートって実は答えがないもの。相対する人がそれぞれどう感じるかが、アートの真髄だと思うんです」
関口「となると、レイモンド・ウェイルの時計はオーソドックな見た目とは裏腹に、着用者にとって“感じる”ポイントが豊富に用意されたアートな時計と言えるかもしれませんね」
松嶋「そうですね。ただそれって、歳と経験を重ねないとわからない感覚なのかな、とも思います。時が経つにつれて自分の反応が変わっていくところも、アートのユニークなところだと思うので」
関口「それは、知名度の高いブランドネームなど、わかりやすいものが良しとされる傾向に、一石を投じる価値観だと思います」
松嶋「仕事柄、僕はお客様の時計を目にする機会が多く、なかにはこれみよがしに腕元をアピールする方もいらっしゃいます。でも、自分が本当に良いと思える時計を大袈裟ではなく身に着けている人のほうが、本当にセンスがいいなと思ったりもするんです。わかる人にはわかるというか、モノの本質を見極められるようになるのが大切。この時計は、そういう本質の追求と近いところにあると思います」
関口「そんな本質を見極めるステージの入り口として、レイモンド・ウェイルは良いチョイスとなりそうです」
松嶋「そうですね。時計の良さはもちろん、自分の価値観を磨いてくれる点でも優れた時計だと思います」。
レイモンド・ウェイルとは!?
●創業年=1976年 ●創業地=スイス/ジュネーブ
●創業者=レイモンド・ウェイル ●現CEO=エリー・ベルンハイム
時計職人、レイモンド・ウェイルが創業したジュネーブの独立系時計ブランド。ミュージック&アートからインスピレーションされ、スイス時計創業の代表都市、ラ・ショー=ド=フォンで組み立てる質の高いクリエーションは一見の価値ありです。
松嶋シェフが着けた一本
KEISUKE MATSUSHIMAオーナーシェフ 松嶋啓介さん
20歳で渡仏し、25歳でニースにレストランをオープン。外国人最年少で仏・ミシュラン一つ星を獲得した。現在は東京の「KEISUKE MATSUSHIMA」のオーナーも務める。アパレルブランドのアドバイザーを兼任する。
関口が着けた一本
ウオッチナビ編集長 関口 優
1984年生まれ。埼玉県出身。2016年1月より現職。毎年バーゼルやジュネーブでの現地取材に赴き、年間500本以上の腕時計を見ている。自身で試すことがモットーで時計を買い続ける日々を送っている。
問:GMインターナショナル TEL.03-5828-9080
https://raymond-weil.jp/
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