時計業界における古典となった「手巻き式クロノグラフ」には、ハイテク満載のモダンウオッチとは異なる楽しさがあります。今回は、その魅力を解説します。【ヴァシュロン・コンスタンタン編】
手巻き式クロノグラフの魅力
①「計測用の目盛り」には知的職業の名残がある
クロノグラフ秒針とダイアル外周部の目盛りを組み合わせると、より正確な計測機器となります。速度を計測する「タキメーター」は、スポーツ計時の名残。光と音の速度差で距離を計測する「テレメーター」は、軍用時計として将校が使用していたというルーツが垣間見られます。脈拍を計測する「パルスメーター」はもちろん医師用。どれもが知的職業人に愛されていたという名残です。
②古典機構ゆえに「積算計」は1つだけ
現代のクロノグラフは12時間積算計まで搭載していますが、これは飛行機や車の性能が向上した結果、長距離移動が可能になったためです。しかし手巻き式クロノグラフの時代は、長時間計測の必要ありませんでした。それゆえいまでも積算計は30(60)分計のみというのがセオリー。積算計が少ない分ダイアル上には適度な“間”が生まれ、余裕を感じさせるデザインに仕上がるのです。
③押すにこだわる「プッシュボタン」
現代のクロノグラフはスポーツウオッチのため、プッシュボタンにも耐衝撃性が求められますし、モダンなデザインの時計なら、ケースフォルムに馴染ませるなどの工夫が必要となります。しかし手巻き式クロノグラフは古典。特別なドレッシーウオッチであり、耐衝撃を意識する必要はほとんどないため、プッシュボタンは押しやすさと押し心地の良さを追求しているのです。
④「繊細なケース」でドレッシーさを高める
衝撃にさらされるスポーツ系クロノグラフはベゼル部分を分厚くすることで衝撃を軽減させますが、手巻き式クロノグラフは特別な時間を楽しむものですので、ベゼルは薄くてエレガント。さらには贅沢品なので細部の作り込みも良好です。このモデルでは“カウ・ホーン”型と称されるラグデザインを取り入れています。伝統的な審美性を楽しむという、ドレスウオッチに近い存在です。
⑤優雅な時計は「針」さえも優雅に動く
時計業界ではムーブメントの高振動化が進んでいます。たとえば10振動のクロノグラフムーブメントの場合は、1秒間に10回も針が動くのでせわしなく見えるのですが、古典的な手巻き式クロノグラフの場合は、そこまで正確な計測を求められないので振動数は抑えめで、針の動きも優雅です。また、ダイアル外周部の目盛りがしっかり読み取れるように、針を長めにデザインするのも特徴です。
問:ヴァシュロン・コンスタンタン TEL.0120-63-1755
https://www.vacheron-constantin.com/jp/home.html
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