本記事では、時計専門誌「ウオッチナビ」の編集者が最近触れた時計の中で、“コスパ◎”と思ったモデルを解説する。今回は、アメリカにルーツを持つ1875年創業の老舗ウオッチブランド、「ブローバ(BULOVA)」の新作について掘り下げる。
本格時計を初めて買う人にも安心して提案できるダイバーズ
時計雑誌に携わっていてよく聞かれる質問が、「手頃な値段で、イイ時計はないか?」というもの。とくに時計に興味のなかった人たちにとって、本格的な時計というものが想像以上に高額と感じるであろうし、それは何ら不思議ではない。時間を知るための道具であれば携帯がある、という意見もわかる。しかし素早く時間を確認するには腕に着ける時計が便利だし、ファッションアイテムとしてや個性を主張するツールとしても、時計にはその役割りを担えるポテンシャルがある。
高額なモデルだけではなく、10万円まででも十分に楽しめるモデルが存在していることをぜひ知っていただきたい。先日出会ったブローバのニューモデルは、それを証明するのにぴったりな2本だった。
理想的なプライス・スペック・サイズの3拍子が揃った一本
ヴィヴィッドなオレンジダイアルに目を奪われる「オーシャノグラファー “デビルダイバー”」は、ブローバがかつてリリースしていた歴史的な時計にスポットを当てたブローバ アーカイブスシリーズの最新作である。オリジナルモデルは1970年代の同名ダイバーズウオッチで、これを現代のニーズにマッチするデザインとスペックにアップデートしたリバイバルモデルという位置づけだ。
一度耳にしたら記憶に残りそうな名称は、オリジナルモデルが実現した画期的な防水性能666ft(=200m)の数値になぞられたもの。文字盤にも表記された“666”とは、聖書の黙示録において獣(悪魔)の数字であり、デビルダイバーというユニークなニックネームがつけられた。このオリジナルモデルが人気を博した1970年代といえば映画『オーメン』(1976年公開)が話題で、登場人物のダミアンのことを思い出した人もいるのではないだろうか。
話がやや脱線したが、この新作「オーシャノグラファー “デビルダイバー”」は直径が41mmの比較的に装着しやすいサイズにおさめられている。しかしながらオレンジカラーを使ったインパクトは絶大で、これからの季節に向けて着る機会が増える白シャツに合わせるタイムピースとして好相性。スポーティなブラックラバーストラップも、様々なファッションに合わせやすい。
本格派の自動巻きムーブメントを搭載しており、ダイバーズウオッチらしい60分まで簡易計測ができるスケールがついた逆回転防止ベゼルや、立体的なインデックスと針に備えられた蓄光、カレンダー表示を拡大するレンズ付きの風防、そしてオリジナルモデルと同じ防水性能など、潜水にも普段使いにも十分なスペックが本機には与えられている。この満足感で、10万円を切るダイバーズもそうそう多くはないのだ。
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