フランス海軍も認めた【ブランパンフィフティファゾムス】のダイバーズウオッチとしての正統性とラグジュアリー化

2022/6/9 12:00

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創業1735年というスイス随一の歴史を持つ時計ブランド【ブランパン（BLANCPAIN）】が、以前にも増して存在感を高めている。「フィフティファゾムス」や「ヴィルレ」といった傑出したコレクションに注目が集まっていることに加え、本格的な機械式時計を厳選して扱うショップからの評価が高いこともその理由となっている。時計好きの期待に応え続けるブランパンの魅力をひも解く。

ブランパンの代表作、「フィフティファゾムス」。その名は1950年代、ヒトが潜れる最大の水深は50ファゾムス（1ファゾムがおよそ1.8288メートルで、約91メートル）と考えられていたことに関係しており、そこから「50 fathoms」の防水性能の設定とモデル名が授けられた

現存する世界最古の時計メーカーとしての威厳が生んだモダンダイバーズ

4年の開発期間を経て完成した自社製造のキャリバー1315。5日間も続く強力なパワーリザーブを有する

チタンケースモデルの裏はシースルーバックが採用されており、キャリバー1315の精緻な作りを堪能できる

ケースや回転ベゼルの細部にも、職人の手作業によるポリッシングが施されている。スリップ止めのあしらいの部分にも、一流ブランドならではの技が垣間見れる

アメリカ海軍にも採用された。写真はジョン・F・ケネディ大統領が海軍兵士と面会した際のもの。兵士の腕には「フィフティファゾムス」が巻かれている

スイスには設立から200年を越えるウオッチブランドが複数存在しているが、その中でも現存するブランドとしてもっとも歴史が長いのがブランパンである。コレクションの名にも使われているヴィルレ（ジュラ地方にあるヴィルレ村）でジャン―ジャック・ブランパンによって興され、現在でも一流職人によるハンドメイドを貫き、機械式時計のみの製造にこだわり続けている。そんなブランパンを語る際、外すことのできないコレクションが「フィフティファゾムス」だ。1953年に発表された本機は、フランス海軍のダイバーだったロベール・“ボブ”・マルビエ大尉が、同社に特殊潜水部隊向けのダイバーウオッチの開発を依頼したことから始まった。

フランス海軍のロベール・“ボブ”・マルビエ大尉は、第二次世界大戦に参戦した。1950年代初頭、同国海軍の特殊潜水部隊を新設するにあたり、装備品となる優れたダイバーズを探していた

ブラックダイアル＋回転ベゼルの定番スタイルを確立

こうして完成したフィフティファゾムスのオリジナルモデルは、フランス海軍特殊潜水部隊のほか、アメリカやドイツの軍でも採用されるなどして実績を積み、海のレジャーとしてダイビングが普及した背景も手伝って市販された。以降、これに続くダイバーズがフィフティファゾムスを模範としてきたことから、モダンダイバーズの礎を築いた傑作時計として頂点に君臨している。

＜ファーストモデル＞1953年にブランパンが開発した「フィフティファゾムス」のオリジナル。視認性最優先のアラビア数字を用いたブラックダイアルや潜水タイムを計るためのスケール付き回転ベゼルなど、ダイバーズのアイコンデザインを確立した。後継の現行モデルもこれらの機能と意匠を受け継いでいる

先進のスペックとラグジュアリー化によって唯一無二の存在に!!

ブランパンだけではなく、広くはダイバーズジャンルのシンボルとなったフィフティファゾムスは現在、第3世代がラインナップされている。半世紀以上も続く伝統のコンセプトを堅持しつつ、革新的な要素が加えられ、大きくアップデートを果たしているのだ。その代表的なディテールがサファイアクリスタル化されたベゼル。本機が発表された2007年当時、同素材の製造に高度な技術を必要としたため、風防への採用例はあってもベゼルに使っているブランドはほとんどなかった。しかしブランパンはいち早く開発を進め、硬質かつクリアなサファイアクリスタルベゼルを実現。下層のスケールにルミノバを塗布し、光が届かない水深でも確実に潜水時間が把握できる機能を獲得した。そのほか、約5日も続くパワーリザーブの自社ムーブメントの搭載、素材違いのバリエーションの新展開など、フィフティファゾムスは時代や用途に合わせて進化を続けている。