【SIHH2017パネライ】思わず耳を疑った「50年保証」を掲げたLaboratorio di Ideeの極致

SIHH2017で発表された新作を紹介していきます。今回は、パネライ。プレスカンファレンスの会場がどよめいた潤滑油不要の驚愕モデル「パネライ LAB-ID ルミノール 1950 カーボテック 3デイズ-49mm」を中心に取り上げていきます。

 

パネライが誇るイノベーションの力を極限モデルで証明

2017年のパネライは、SIHHで最も注目を集めたブランドといっても過言ではないでしょう。主役となったのは、「パネライ LAB-ID ルミノール 1950 カーボテック 3デイズ-49mm」です。

↑パネライ「パネライ LAB-ID ルミノール 1950 カーボテック 3デイズ-49mm」価格未定/Ref.PAM00700
↑パネライ「パネライ LAB-ID ルミノール 1950 カーボテック 3デイズ-49mm」価格未定/Ref.PAM00700

 

この時計は、パネライ独自の研究開発機関である「Laboratorio di Idee」の威信をかけたイノベーションによって誕生しました。製造限定は50本で、50年間潤滑作業が不要のムーブメントを搭載。それゆえ、「50年保証」を掲げているのです。

 

ケース形状は、歴史的な「ルミノール 1950」のデザインが採用されています。地層のような断面が特徴的な素材は、カーボンとPEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)を合成した「カーボテック」。セラミックやチタンよりも軽量でありながら、外部からの耐衝撃性に優れ、低刺激性で腐食しないという利点があります。

↑ケースサイズは直径49mm
↑ケースサイズは直径49mm

 

 

カーボンナノチューブでコーティングされたブラックダイアルは、あらゆる光を吸収。ブルーのスーパールミノバを下層に用いたサンドイッチ構造とのコントラストにより、視認性は非常に優れています。なお、素材の特性上、文字盤に印字することができないため、ブランドロゴなどはガラス面に記したとのことです。

 

本機の核心となるムーブメントは、3日間パワーリザーブを有する手巻きCal.P.3001/Cを搭載。メインブリッジとプレートには、タンタラムベースのセラミックと一体化した低摩擦の合成素材を使用。主要部品にシリコンを使い、歯車装置には特殊なDLCコーティングが施されています。これらが、自己潤滑や乾式潤滑を行うことで、液体潤滑剤が要らず従来の潤滑作業も不要となるそうです。

PANERAI_PAM00700_Det_4

 

この機械に使われているルビーの数はわずか4石。それらの受け石表面にDLCコーティングを施すことでインカブロック耐震装置さえも潤滑油が不要だと言います。

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時計をオーバーホールしなければならないのは、潤滑油の劣化が主な原因。これまでも潤滑油不要を謳った製品はありましたが、ここまで徹底したモデルはないように思います。

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パネライは約3世紀にわたって時計師を悩ませてきた問題に、ひとつの解決策を明示したことになります。「パネライ LAB-ID ルミノール 1950 カーボテック 3デイズ-49mm」は、間違いなく時計の歴史に名を残す一本となるでしょう。

 

BMG-TECHケースは、パネライの次期スタンダード素材に!?

2017年のパネライは、サブマーシブルイヤーでもありました。その中でも特筆すべきが、新素材BMG-TECHを外装パーツに用いた「ルミノール サブマーシブル 1950 BMG-TECH 3デイズ オートマティック-47mm」です。

↑パネライ「ルミノール サブマーシブル 1950 BMG-TECH 3デイズ オートマティック-47mm」115万5600円/Ref.PAM00692
↑パネライ「ルミノール サブマーシブル 1950 BMG-TECH 3デイズ オートマティック-47mm」115万5600円/Ref.PAM00692

 

BMGとは、BULK METALLIC GLASS(金属性ガラス)の略。ジルコニウム、銅、アルミニウム、チタン及びニッケルからなる合金を高温・高圧で噴射後、数秒間の急速冷却して素材を得るため、原子は規則的で整然とした構造に並ぶことなく、ガラスのように不規則な原子構造となるのだそう。

 

この不規則な構造は、優れた堅牢性、耐食性、耐衝撃性、耐磁性に加え、長期にわたる外観の美観を時計にもたらすため、サブマーシブルにとっては最適な素材と言えます。

↑鏡面仕上げのブルーダイアルも新鮮
↑鏡面仕上げのブルーダイアルも新鮮

 

革新的な素材ですが、本機は限定モデルではなく継続的に製造していくとのこと。海とともに歩んできたパネライにとって、耐食性に優れた堅牢素材は欠かせないもの。BMG-TECHがこれからどのような発展を遂げていくのかも含め、要注目です。

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