最新フルメタルG-SHOCK2本を実機テストでわかった◯と×
2023年はまさしく誕生40周年のアニバーサリーイヤーとなったG-SHOCK。最近ではフルカーボンのG-SHOCKが発売開始となったほか、オークションハウスのフィリップスに出品したユニークピースが40万50ドルで落札されるなど、まだまだ話題満載だ。そのような盛り上がりのなか、筆者は10月に発売となったフルメタルG-SHOCKの4機種のうち、GMW-B5000PC-1JFとGM-B2100BPC-1AJFという2本を借りてテストする機会を得た。約2週間ほど比較してわかったことをまとめていく。
2018年の誕生以来、増え続けるフルメタルG-SHOCKの最新機種
オリジンの形状はそのままにフルメタル化を果たしたGMW-B5000が発売されたのは2018年のこと。この製品の開発背景に金無垢Gショックの存在があったことは、ファンにはよく知られたことだ。筆者は2019年にスイスで行われたバーゼルワールドの会場にてGMW-B5000を着用している海外の時計メディアの人に発見。話を聞くと、彼がよほどメタルG-SHOCKに惚れ込んでいたことがわかった。まさに世界に誇るG-SHOCKである。
一方の筆者はというと、このときすでにG-SHOCK誕生35周年記念「ビッグ・バン ブラック」のスクエアモデルを購入していたため、GMW-B5000が発表時には妻の許可が出ず見送ることに。そのままズルズルと手に入れる機会を逃しながら現在に至る。ゆえに、発売から5年が経ち、多くの愛用者がいるフルメタルG-SHOCKに対していまさらな内容に触れることがあるかもしれないが、気分を害することなくお付き合いいいただければ幸いである。
バンド調整も自分で簡単にできる仕様
カシオさんからは素の状態で届くので、当然コマ詰めは自分で行う必要がある。腕時計のブレスレットは割りピンが入っていたり、ネジで留まっていたりとコマの連結構造には複数のタイプが存在。このG-SHOCKは太めのバネ棒で連結されており、外側から押しこんで外せるのでずいぶん楽に作業ができた。とはいえ、外すのは楽でも取り付けには多少のコツがいるので実際に購入した人は購入店スタッフに任せたほうが絶対に良い。バネ棒外しがあるならまだしも、適当なピンとマイナスドライバーでなんとかしようとするとほぼ確実に傷をつけることになる。
着用する回数はブラックの2100の方が多かった
今回借りたグラデーションに限らず、ブレスまでフルメタルG-SHOCKは手に持つとかなり重厚。コマ詰めしたあとでもだいぶ重さを感じる。ただ、実際に着用してしまえばそれほどの重みは感じられなかった。軽いとは言えないが、ストレスを覚えるほどでもない。筆者の経験上、200gを超えてくるような腕時計だと疲労困憊の仕事帰りに腕から外したくなることもあるが、今回の2本ともそういった考えがよぎることはなかった。
それよりも気になったのがシルバーの光沢だ。普段、アウトドア系の服装が多い筆者は週の大半がアースカラーに包まれているのだが、そうなると手首のシルバーの存在感がかなり強く出ている印象を受けた。スタイルというよりは色の取り合わせによる要素が強いのかもしれない。時計メディアの編集者ゆえファッションには疎いのだけれども、結果的にブラックの2100の方が着用機会が多かったことは確かである。
ちなみにこの2100のマルチカラーはかなり面白く、しっかり観察しているとインデックスがさまざまな色に変化することがわかる。その色の移ろいに気を取られ、電車に乗っている時や信号待ちなどでふと時間を見るつもりが、そのまま時計を眺めることもしばしばあった。公式の商品説明にはオレンジとレッドのグラデーションとあるが、実際はかなりの色数が表出する。
このブラックの方で気になった点は筋目仕上げの入ったケース部分を汗ばんだ手で触れてしまうと、割と目立つ汚れがついてしまうこと。拭けば取れるものではあるが、出先などでうっかりやってしまうと軽く気分が盛り下がる。ただこれはG-SHOCKに限らず黒い時計には共通の仕様なので、そういうものと割り切るほかない。
スクエアの5000のグラデーションは、これも公式の商品説明によると「ブルーとグリーンのグラデーションカラーの蒸着」とあったが実際はマルチカラーほどの色の変化や存在感を感じなかった。これは、ベゼルの影が落ちる部位にカラーが入っている点と、ベーシックなブラックに見慣れた先入観が関係しているかもしれない。とはいえ「だからダメ!」というわけではまったくなく、むしろフルメタルにさりげなくブルーのアクセントカラーが入ったことで、これまでの上質感に軽快さが足されたような印象を受けた。よりカジュアルにGMW-B5000を使いたかった人にとっては、とても良い選択肢になるのではないだろうか。筆者もテスト期間が夏で、主に白Tと合わせるような日々だったら、もっと着用機会が増えていたと思っている。
さて、あれこれ眺め、着け倒した約2週間のテストを終えるというまさに直前になってふと気がつく。レビュー記事なのにスマートフォンリンクの機能を使っていない。どうりで時間にズレがあったわけだ(最初の写真で気づきました?)。ということで、返却間際になって「CASIOWATCHES」アプリを立ち上げ2本とも接続。これだけで時刻は自動修正され、2本の示す時間は完全にシンクロ状態になった。機械式時計のアバウトさもいいけれど、やはり実用面で考えればこのうえなく便利な機能である。
テストまとめ
サイズや厚み、重さはどちらも同程度で、他の一般的な腕時計と比べて突出した数値はない。装着感についての差異もほぼなく、純粋にデザインの好みで選ぶのが正解だと思う。筆者的にマルチカラーとグラデーションの新作の中だったら、テストしたモデルでなくて申し訳ないがブラックのGMW-B5000BPC-1JFを選ぶことになりそうだ。もしこれからG-SHOCKの購入を検討している人がいたら、一度はフルメタルG-SHOCKを見比べ、着け比べてみながら筆者と同じこの難しい問題に挑んでみてほしい。
問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.0120-088925 https://gshock.casio.com/jp/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/Daisuke Suito(WATCHNAVI)