品質をさらにブラッシュアップ。ロレックスの堅実な進化がうかがえる「オイスター パーペチュアル GMT マスターII」

バーゼルワールドで気になった「ロレックス」

文/竹石祐三

バーゼルワールドの取材期間中、毎年利用しているホテルがある。そこは、同じく定宿にしている時計販売店も多く、特に朝食時や、会場へ向かう時間帯にはよく顔を合わせることになる。なかでも、とある時計販売店の人とはここ数年、必ずと言っていいほど、以下のようなやりとりが交わされる。

「今年は、どこが気になった?」
「うーん……。やっぱり、ロレックスじゃない?」

2018年のバーゼルワールドにおける、ロレックスのトピックは「オイスター パーペチュアル GMT マスターII」である。機械式時計にあまり詳しくない人でも、レッド×ブルーのベゼルを備えた意匠を見れば、ピンとくる人は多いのではないだろうか。

「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」95万400円(予価)/Ref.126710BLRO
©Rolex/Alain Costa

そもそも、このモデルの前身となる「GMTマスター」が発表されたのは1955年のこと。それ以前に、24タイムゾーンを同時表示する腕時計を展開していたロレックスは、パンアメリカン航空よりローカルタイムとホームタイムのみを表示できるモデルの開発を依頼され、それを具現したのがGMTマスターというわけだ。昼間を表すレッド、夜間を表すブルーの2色に色分けされた24時間計回転ベゼルはこの初代モデルから採用されており、同モデルのアイコニックな意匠になる。

やがて、1982年には「GMTマスターII」が誕生。従来のGMTマスターでは、時針、分針、24時間針が同期していたが、GMTマスターIIでは時針のみを1時間刻みで送ったり、戻したりできる機能を追加。次第にこの機能がスタンダードになるにつれGMTマスターは姿を消し、一方でGMTマスターIIは進化を重ねていくことになる。

 

再び魅力的な1本となった「GMTマスターII」

このGMTマスターIIの新モデル登場は、2014年の発表以来、実に4年ぶりだ。しかも、この時はオリジナルカラー(レッド×ブルー)のベゼルを装備したモデルが発表されたものの、ケース素材はホワイトゴールド。一般的にはちょっと手が出しにくい価格帯だったのは事実だ。それが2018年、ケースにオイスタースチール(904Lステンレススチール)を採用したことで、価格はアンダー100万円をマーク。初代モデルを想起させる意匠で、しかも、ぐっと身近な価格に設定されたことで、GMTマスターIIが、再び、魅力的な1本になったのだ。

もちろん、このバリエーションの追加はビッグニュースのひとつではあるのだが、最新GMTマスターIIの魅力はそれだけにとどまらない。

前述したようにケース素材はオイスタースチールで、他のステンレススチール(304や316L)よりも頑丈で腐食にも強い。さらに、ムーブメントは最新のキャリバー3285を搭載して耐衝撃性と耐磁性を高めるとともに、パワーリザーブも約70時間にまで延長されているというから、日常での使用にはほぼ死角なしと言えるだろう。

そして、新しいGMTマスターIIは、オイスターブレスレットからジュビリーブレスレットに変更されたのも大きな進化だ。5連リンクで構成されたジュビリーブレスレットを採用することで、装着感が格段にアップしたことに加え、よりラグジュアリーな雰囲気に昇華。スーツスタイルの手元をぐっと引き締めてくれるのはもちろん、カジュアルなシーンで着用しても華やかな印象を与えられるはずだ。

新モデルが発表されるたび、着実に進化を遂げるブランド

また、2018年は、このオイスター パーペチュアル GMTマスターIIに加え、シンプルなノンデイトの三針モデル「オイスター パーペチュアル」にホワイトとブラックのダイアルが追加された(あれ? 今までなかったの? という印象だが……)。もちろん、このモデルもロレックス高精度クロノメーター認定で、価格はなんと54万円だ。

いずれも、ケースのクオリティが驚くほど高く、しかも搭載されている自社製ムーブメントは信頼性が高いうえに価格も現実的。しかも、新モデルが発表されるたび、着実に進化を遂げている。現在のシーンを俯瞰した時、ここまで価格と品質のバランスに優れたブランドがどれだけあるかと問われれば、それは数えるほどではないだろうか。

だからこそ、2018年も、「気になったブランドは?」との問い掛けに、販売店の人も私も互いに「ロレックス」と答えてしまうのだ。

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