高嶺の花に手が届く!? 憧れの“ジュネーブ御三家”の一角【ヴァシュロン・コンスタンタン】の最入門機を徹底レビュー
時計の本場スイス・ジュネーブで260年以上も歴史を閉ざすことなく腕時計を作り続けてきたヴァシュロン・コンスタンタンが、2018年に超戦略モデルを発表しました。その名も「フィフティーシックス」。いよいよ9月から取扱店での入荷が始まった話題作の魅力を、じっくり吟味してきました。
あの“マルタ十字”が130万円台で手に入る!?
ヴァシュロン・コンスタンタンは、パテック フィリップ、オーデマ ピゲとならび、“ジュネーブ御三家”とも称される時計界の最高峰ブランド。愛好家にとって、憧れの存在です。もしご存知なかった方は、バセロン・コンスタンチンって知ってる? とお父さんに聞いてみてください。きっと、「なんや、家やクルマよりも腕時計を買うんかいな!?」と驚かれることでしょう。
それぐらいのステータス性をもったブランドですから、同社のタイムピースを手にいれるには「ボーナスで狙う」とか、そんなレベルの話ではなかったのです。そう、いままでは……。
ヴァシュロン・コンスタンタンが発表した「フィフティーシックス」は、2018年1月に行われたジュネーブ国際高級腕時計展(=SIHH)でデビュー。ブランドの名に相応しい作り込みでありながら、オートマティックのステンレススチールモデルが税込130万円台という超戦略プライスで話題を呼びました。
その後、夏に全国各地で行われたワールドウオッチフェアでもかなりの反響があったそうです(ヴァシュロン・コンスタンタン担当者談)。ただ、このブランドはトータルの製造本数がかなり限られているので、9月に入荷が始まったといっても発表された全モデルを店頭で見せてもらうのはかなり難しそう……。というわけで、ヴァシュロン・コンスタンタンのオフィスに押しかけ、フィフティーシックスを見せていただきました。
ラグにオリジナルの意匠を残しながらも現代的な仕上がり
フィフティーシックスの第1弾コレクションは、オートマティック、デイ/デイト、コンプリートカレンダーの3型6リファレンスで登場。ステンレススティールとゴールドの両方を同時に発表するのは、260年以上あるブランドの歴史のなかでも初めてだそうです。
トータルデザインは、1950年代に製造していた自動巻きウオッチ「リファレンス 6073」にインスピレーションを受けたもの。その片鱗を、ラグの形状に見ることができます。
インデックスは、ビンテージ感のある飛びアラビアスタイルを採用。奇数のバーインデックスに施された夜光処理に、アクティブな雰囲気が漂います。偶数のアラビア数字インデックスは、現行モデルの「ヒストリーク・トリプルカレンダー 1942」にも似た、丸みを帯びた可愛らしさも感じる書体を採用。日付表示も同様の書体となっています。
盤面は仕上げを使い分けることで、モノトーンなのに表情は豊か。このデザインの妙は、さすが伝統あるブランドです。
ジュネーブ・シール未取得でも魅力的なオートマティック
次は、個別のモデルを見ていきましょう。やはり注目は、オートマティックのステンレススティールモデル。
直径40mmのこのタイムピースは、自社開発の新型キャリバー1326を搭載。ヴァシュロン・コンスタンタンの特徴でもあるジュネーブ・シールは未取得ですが、それが130万円台という価格を実現する理由のひとつにもなっています。ジュネーブ・シールのような証明を取得するためには、それなりの費用がかかるんですね。
ジュネーブ・シールは時計好きには憧れの刻印ですが、それがないからといって仕上げが妥協されることはありません。ローターは、マルタ十字を象った22Kゴールドが使われた高級仕様ですし、刻印の有無をどう捉えるかは個人の判断、というわけです。
ちなみに、フィフティーシックスは、ステンレススティールのモデルでも針とインデックスにホワイトゴールドを使っているそう。こうした素材の使い分けに、最高峰ブランドの矜持が感じられますね。
ピンクゴールドモデルもスペックは同様ですが、ステンレススティールではフォールディング式だったクラスプが18KPGモデルでは尾錠になります。個人的には、フォールディングクラスプの方が革へのダメージが少なそうで好み。尾錠タイプも使いやすいんですけどね。
デイ/デイトとコンプリートカレンダーにはジュネーブ・シールを刻印
お次は、デイ/デイトモデル。ピンクゴールドのモデルは見られませんでしたが、こちらはジュネーブ・シールを取得した自社製Cal.2475 SC/2を搭載。スネイル仕上げが施された2つのインダイアルで曜日と日付を示します。合計6本の針を備えた文字盤は、オートマティックモデルとうって変わって、テクニカルな印象。これほど作り込まれていながら、かなり魅力的な価格だと思います。
最後は、コンプリートカレンダー。こちらもジュネーブ・シール取得の自社製ムーブメント(Cal.2460 QCL/1)を搭載しています。
小窓式の月・曜日表示にセンター軸のポインターデイト針を備え、さらにムーンフェイズも示すセミコンプリケーションは、スイス時計の伝統的なスタイル。
厚さはデイ/デイトと同じく11.6mm。自動巻き機構に加えてカレンダーやムーンフェイズのディスクがあっても、ここまでの薄さに抑えている点が魅力的です。オートマティックはもっと薄い9.6mm(写真一番左)。
来年にはトゥールビヨンモデルも登場予定
上記3型、6モデルがフィフティーシックスの第1弾コレクションですが、つい先日、来年のSIHHを待たずにトゥールビヨンも発表されました。こちらの発売は来春になる模様で、価格も1000万円オーバーの予定とのことです。
フィフティーシックスは、どこに着けていっても胸を張れる戦略モデルだ!
ヴァシュロン・コンスタンタンらしいハイエンドウオッチ揃いのフィフティーシックスの中で、きらりと光るステンレススティールのオートマティックの破格さ。
着け心地もクオリティも文句なく、なにより“ジュネーブ御三家”の時計が、頑張れば正規・新品で手に入れられるかもしれない、というだけで夢があります。世界的にも知られたマルタ十字のシンボルを身に着けて、世のお父さんたちを驚かせてみてはいかがでしょう?
ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史はコチラから!
【腕時計ブランドの教科書 VACHERON CONSTANTIN】世界屈指の老舗ブランド(ヴァシュロン・コンスタンタン)